今回からの分野は積分です。
積分には不定積分,定積分の2種類がありますが、まずは不定積分から学んでいきます。
・不定積分
関数 \(f(x)\)が与えられたときに、微分して\(f(x)\)になる関数、つまり
\(F'(x)=f(x)\)
を満たす関数\(F(x)\)を\(f(x)\)の原始関数といいます。
例えば、
\((x^2+1)’=2x\)
\((x^2-5)’=2x\)
\((x^2-\sqrt{5})’=2x\)
となるので、 \(x^2+1\), \(x^2-5\), \(x^2-\sqrt{5}\) はすべて\(2x\)の原始関数となります。
定数部分は微分すると\(0\)になるため、関数\(f(x)\)の原始関数の1つを\(F(x)\)とすると、\(F(x)\)に定数\(C\)を加えた関数 \(F(x)+C\) も\(f(x)\)の原始関数となるので、\(f(x)\)の原始関数は無数にあることになります。丁寧に考えるなら次の通りです。
\(F'(x)=f(x)\), \(G'(x)=f(x)\) より
\((G(x)-F(x))’=f(x)-f(x)=0\)
となるから、\(G(x)-F(x)=C\) (定数)
よって \(G(x)=F(x)+C\)
\(f(x)\)の原始関数表すのに
\(\displaystyle\int f(x)dx\)
という記号を用います。\(\displaystyle\int\) は「積分」または「インテグラル」と読み、この記号に対応して\(f(x)\)の原始関数を不定積分とも呼びます。
先ほど説明したとおり、\(F(x)\)を\(f(x)\)の原始関数の1つとするとき、\(F(x)+C\) も原始関数となるので
\(\displaystyle\int f(x)dx=F(x)+C\) (\(C\)は定数)
となります。また、\(f(x)\)の不定積分を求めることを\(f(x)\)を積分する、定数\(C\)を積分定数、積分される関数\(f(x)\)を被積分関数、変数\(x\)を積分変数とよびます。
高校数学ではこのように (原始関数)=(不定積分) と定義しますが、大学数学では不定積分と原始関数の定義が違うために、(原始関数)≠(不定積分) となることもあります。ただし高校数学では連続関数の積分しか扱わないことと、この別の定義においても\(f(x)\)が連続関数ならば (原始関数)=(不定積分) となることから、(原始関数)=(不定積分) と定義しても問題がないことになります。
・整式の積分
原始関数(不定積分) \(F(x)\) を微分すると\(f(x)\)になるため、\(f(x)\)を積分するには微分の逆の操作をすればよいことになります。
例えば \(x^3\) の積分は \((x^4)’=4x^3\) 、つまり\((\displaystyle\frac{1}{4}x^4)’=x^3\) となることから
\(\displaystyle\int x^3dx=\displaystyle\frac{1}{4}x^4+C\)
です。(次数は1つ増えて、増えたあとの次数の逆数を調整用に掛けていることになる)
一般に \(x^n\) (\(n\)は\(0\)以上の整数) の不定積分を考えると次の通りです。
\((x^{n+1})’=(n+1)x^n\) より
\(x^n=(\displaystyle\frac{1}{n+1}x^{n+1})’\) だから
\(\displaystyle\int x^ndx=\displaystyle\frac{1}{n+1}x^{n+1}+C\)
特に\(n=0\)のとき
\(\displaystyle\int1dx(=\displaystyle\int dx)=x+C\)
また累乗の積分については、累乗の微分を考えると次の通りです。
\(\{(ax+b)^{n+1}\}’=a(n+1)(ax+b)^{n}\) より
\((ax+b)^{n}=\{\displaystyle\frac{1}{a}\cdot\displaystyle\frac{1}{n+1}(ax+b)^{n+1}\}’\) だから
\(\displaystyle\int(ax+b)^{n}dx=\displaystyle\frac{1}{a}\cdot\displaystyle\frac{1}{n+1}(ax+b)^{n+1}+C\)
特に \(a=1\) のとき
\(\displaystyle\int(x+b)^{n}dx=\displaystyle\frac{1}{n+1}(x+b)^{n+1}+C\)
積分計算に自信がないときは、微分するともとに戻るかどうかチェックするのもよいでしょう。
・不定積分の性質
定数倍・和・差の積分は、これらの微分を考えると導くことができます。
\(f(x)\), \(g(x)\) の原始関数の1つをそれぞれ \(F(x)\), \(G(x)\) 、\(k,l\)を定数とすると
\(\{kF(x)\}’=kF'(x)=kf(x)\)
\(\{F(x)+G(x)\}’=F'(x)+G'(x)=f(x)+g(x)\)
\(\{F(x)-G(x)\}’=F'(x)-G'(x)=f(x)-g(x)\)
より
定数倍:\(\displaystyle\int kf(x)dx\)\(=kF(x)+C\)\(=k\displaystyle\int f(x)dx\)
和:\(\displaystyle\int\{f(x)+g(x)\}dx\)\(=F(x)+G(x)+C\)\(=\displaystyle\int f(x)dx+\displaystyle\int g(x)dx\)
差:\(\displaystyle\int\{f(x)-g(x)\}dx\)\(=F(x)-G(x)+C=\)\(\displaystyle\int f(x)dx-\displaystyle\int g(x)dx\)
(注)
積分定数は任意の定数なので自由に他の文字に置き換えることができる。よって例えば定数倍の積分については、\(C→kC\) とすることで、
\(kF(x)+C=kF(x)+kC=k\{F(x)+C\}=k\displaystyle\int f(x)dx\)
と変形できる。他の2つも同様です。(\(C→C_1+C_2\) ,\(C→C_1-C_2\) など)
また、上記の定数倍・和・差の積分を組み合わせると次の等式を導くことができます。
\(\displaystyle\int\{kf(x)+lg(x)\}dx\)\(=\displaystyle\int kf(x)dx+\displaystyle\int lg(x)dx\)\(=k\displaystyle\int f(x)dx+l\displaystyle\int g(x)dx\)
具体的な積分計算の演習は次回にします。
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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