対称な図形の面積

対称性のある図形の面積を求める問題について見ていきます。

 

(例題1)
曲線 \(y=x^3-3x^2+3x\) のグラフを\(C\)とする。直線 \(y=x\) に関して\(C\)と対称なグラフを\(C’\)とする。このとき\(C\)と\(C’\)で囲まれた図形の面積を求めよ。

 

 

 

2つの曲線の方程式の差をとるために、\(C’\)の方程式を求めようとすると大変です。
そこで、\(C,C’\)と\(y=x\)を対称性に着目して図示して、\(y=x\) と \(C\) の囲む面積を考えます。するとちょうどこの面積の2倍が\(C,C’\)の囲む面積になっていることが分かります。
なお積分する際には \(y=x\) と \(C\) の上下関係には気を付けておきます。

(解答)
\(C\)と\(y=x\)の交点を求めると
\(x=x^3-3x^2+3x\) より
\(x^3-3x^2+2x=0\)
\(x(x-1)(x-2)=0\)
\(x=0,1,2\)

したがって曲線\(C\), \(y=x\) と、曲線\(C’\)(\(C\)と対称) を図示すると次の通り。

対称図形 積分 例題1

図の\(A\)どうし,\(B\)どうしの図形の面積は等しいので、\(C,C’\)の囲む面積を\(S\)とすると

\(\displaystyle\frac{S}{2}=A+B\)
\(=\displaystyle\int_{0}^{1}\{(x^3-3x^2+3x)-x\}dx+\displaystyle\int_{1}^{2}\{x-(x^3-3x^2+3x)\}dx\)
\(=\displaystyle\int_{0}^{1}(x^3-3x^2+2x)dx+\displaystyle\int_{1}^{2}(-x^3+3x^2-2x)dx\)
\(=\left[\displaystyle\frac{1}{4}x^4-x^3+x^2\right]_{0}^{1}+\left[-\displaystyle\frac{1}{4}x^4+x^3-x^2\right]_{1}^{2}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{4}+\displaystyle\frac{1}{4}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}\)

よって
\(S=1\)

 

この問題だと3次関数の対称の中心(変曲点) \((1,1)\) が \(y=x\) 上にあるので、\(A\)と\(B\)の面積についても等しくなっています。

 

 

 

 

(例題2)
\(f(x)=x^3-x\) とし、\(t\)を実数とする。\(xy\)平面において、曲線 \(y=f(x)\) を\(C_1\)とし、直線 \(x=t\) に関して \(C_1\) と対称な曲線 \(y=f(2t-x)\) を\(C_2\)とする。
(1)\(C_1\)と\(C_2\)が3点で交わるとき、\(t\)のとりうる値の範囲を求めよ。
(2)\(t\)が(1)で求めた範囲を動くとき、\(C_1\)と\(C_2\)で囲まれた部分の面積\(S\)の最大値を求めよ。

 

 

対称な曲線\(C_2\)の方程式が親切に問題文に書いてありますが、自力で求める方法については解答の後に載せておくので必要な方は見てください。

(解答)
(1)

異なる3点で交わると解釈して、\(C_1,C_2\)の方程式から\(y\)を消去した、\(x\)の方程式(3次方程式)が異なる3つの解をもつ条件を考えます。その際、対称軸が\(x=t\)なので、\(x=t\) を解にもつことを意識しておきます。

\(y=f(x)=x^3-x\)・・・①
\(y=f(2t-x)=(2t-x)^3-(2t-x)\)・・・②

①②より\(y\)を消去して
\(x^3-x=(2t-x)^3-(2t-x)\)
展開して\(x\)について整理すると
\(2x^3-6tx^2+(12t^2-2)x-8t^3+2t=0\)
\(2\{x^3-3tx^2+(6t^2-1)x-4t^3+t\}=0\)
\(2(x-t)(x^2-2tx+4t^2-1)=0\)・・・③

\(x\)の方程式③が異なる3つの実数解をもてば3点で交わる。
③の1つの解は \(x=t\) だから、
\(x^2-2tx+4t^2-1=0\)・・・④ が \(x=t\) ではない異なる2つの実数解をもてばよい。

④で\(x=t\) とすると
\(t^2-2t^2+4t^2-1=0\)
\(t=±\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\)
よって
\(t≠±\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\)

④の判別式ついて \(\displaystyle\frac{D}{4}>0\) より
\(t^2-(4t^2-1)>0\)
\(3t^2-1<0\)
\(-\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}<t<\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\)

したがって異なる3点で交わる\(t\)のとりうる値の範囲は
\(-\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}<t<\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\)

 

(2)

囲まれた図形は\(x=t\)について対称なので、全体の半分の面積を積分により求めます。
積分計算はまともにやると大変なので工夫します。
まず、交点の\(t\)以外の\(x\)座標をとりあえず\(x=α,β\) とおいて(計算では\(α,β\)の一方しか使わない)、最後に代入します。積分計算も \((x-t)\)という形を作るようにして、下端 or 上端 の一方の代入が楽になるようにします。

対称図形 積分 例題2

\(C_1,C_2\)で囲まれた図形は\(x=t\)について対称。

2曲線の\(x=t\)以外の交点の\(x\)座標を\(α,β\) (\(α<β\))とすると(1)より
\(x^2-2tx+4t^2-1=0\) の2解が\(α,β\) になるので
\(α=t-\sqrt{1-3t^2}\),  \(β=t+\sqrt{1-3t^2}\)

よって
\(S=2\displaystyle\int_{t}^{β}\{f(2t-x)-f(x)\}dx\)
(被積分関数は③の左辺の符号を反対にしたものになるから)
\(=-4\displaystyle\int_{t}^{β}(x-t)(x^2-2tx+4t^2-1)dx\)
\(=-4\displaystyle\int_{t}^{β}(x-t)\{(x-t)^2+3t^2-1\}dx\)
\(=-4\displaystyle\int_{t}^{β}\{(x-t)^3+(3t^2-1)(x-t)\}dx\)
\(=-4\left[\displaystyle\frac{(x-t)^4}{4}+(3t^2-1)\cdot\displaystyle\frac{(x-t)^2}{2}\right]_{t}^{β}\)
\(=-(β-t)^4-2(3t^2-1)(β-t)^2\)

\(β=t+\sqrt{1-3t^2}\) を代入して

\(S=-(\sqrt{1-3t^2})^4-2(3t^2-1)(\sqrt{1-3t^2})^2\)
\(=-(1-3t^2)^2+2(1-3t^2)^2\)
\(=(1-3t^2)^2\)

中身の \(1-3t^2\) は、\(t\)の2次関数です(上に凸で\(t=0\)が軸)。
\(t=0\) と 端点 \(t=±\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\) のときの値を考えます。

(1)より \(-\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}<t<\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\) だから
\(0<1-3t^2≦1\)

したがって\(S\)の最大値は \(1^2=1\)

\(S\)の最大値 \(1\) (\(t=0\))

 

 

※\(x=t\)に関して \(y=f(x)\) と対称な曲線の方程式の求め方

対称図形 積分 例題2-2

\(y=f(x)\) 上の点を \((x,y)\), この点に対称な点を \((X,Y)\) とおく。

\(\displaystyle\frac{x+X}{2}=t\)・・・(i)
\(y=Y\)・・・(ii)

(i)より \(x=2t-X\)・・・(iii)

(ii),(iii) を \(y=f(x)\) に代入して
\(Y=f(2t-X)\)

\((X,Y)\) は、\(y=f(x)\) 上の点に対称な点の集まりだから、求める方程式は \(X→x\), \(Y→y\) と直すと

\(y=f(2t-x)\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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