空間における直線の表し方について見ていきます。
・直線のベクトル方程式(方向ベクトル表記)
定点\(P_0(\vec{p_0})\)を通り、\(\vec{0}\)でないベクトル\(\vec{d}\)に平行な直線を\(l\)とします。
この直線上\(l\)の点を\(P(\vec{p})\)とすると、\(\overrightarrow{P_0P}/\!/\vec{d}\) または \(\overrightarrow{P_0P}=\vec{0}\) だから
\(\overrightarrow{P_0P}=t\vec{d}\) (\(t\)は実数)
よって
\(\vec{p}-\vec{p_0}=t\vec{d}\)
\(\vec{p}=\vec{p_0}+t\vec{d}\)・・・① (方向ベクトルによる直線の方程式)
①において、\(t\)がすべての実数値をとって変化すると点\(P(\vec{p})\)は直線\(l\)上のすべての点を動くので①が直線\(l\)を表していることになります。そこで①を直線\(l\)のベクトル方程式とよびます。また直線\(l\)の方向を決める\(\vec{d}\)のようなベクトルを方向ベクトルとよびます。
ここでベクトル方程式①を成分表示にしてみます。
\(P(x,y,z)\), \(P_0(x_0,y_0,z_0)\), \(\vec{d}=(a,b,c)\) として、位置ベクトルの基準を原点\(O\)とすれば①は
\((x,y,z)=(x_0,y_0,z_0)+t(a,b,c)\)
よって成分を比較すると
\(x=x_0+at\)・・・②
\(y=y_0+bt\)・・・③
\(z=z_0+ct\)・・・④
となり、②③④を直線\(l\)の媒介変数表示といい、\(t\)を媒介変数とよびます。
さらに\(a,b,c\)のどれもが\(0\)でないとき、②③④より\(t\)を消去すると
\(\displaystyle\frac{x-x_0}{a}=\displaystyle\frac{y-y_0}{b}=\displaystyle\frac{z-z_0}{c}\) \((=t)\)
と表すこともできます。
また平面ではベクトル表示の他に \(ax+by+c=0\), \(y=mx+n\) という形をよく使いますが、空間の直線では主にベクトル表示のものを使っていくことになります。
・直線のベクトル方程式(2点を通る直線)
2点\(A(\vec{a}),B(\vec{b})\)を通る直線を\(l\)とすると
直線\(l\)は、「\(A(\vec{a})\) を通る 方向ベクトル\(\vec{b}-\vec{a}\) の直線」なので、直線上の点を\(P(\vec{p})\)とすると、直線\(l\)のベクトル方程式は
\(\vec{p}=\vec{a}+t(\vec{b}-\vec{a})\)・・・(i)
よって
\(\vec{p}=(1-t)\vec{a}+t\vec{b}\)・・・(ii)
ここで(ii)の右辺の係数の和が\(1\)になることに着目して、\(1-t=s\) とおくと次のように表すこともできます。
\(\vec{p}=s\vec{a}+t\vec{b}\), \(s+t=1\)・・・(iii)
また、(iii)は\(P\)が直線\(AB\)上にある条件そのものです。
また \(A(a_1,a_2,a_3)\), \(B(b_1,b_2,b_3)\), \(P(x,y,z)\) とおいて原点\(O\)を基準とする位置ベクトルを考えると、(i)より
\((x,y,z)=(a_1,a_2,a_3)+t(b_1-a_1,b_2-a_2,b_3-a_3)\)
成分を比較して
\(x=a_1+t(b_1-a_1)\)・・・(iv)
\(y=a_2+t(b_2-a_2)\)・・・(v)
\(z=a_3+t(b_3-a_3)\)・・・(vi)
\(a_1≠b_1\), \(a_2≠b_2\), \(a_3≠b_3\) のとき、(iv)(v)(vi)から\(t\)を消去して
\(\displaystyle\frac{x-a_1}{b_1-a_1}=\displaystyle\frac{y-a_2}{b_2-a_2}=\displaystyle\frac{z-a_3}{b_3-a_3}\) \((=t)\)
次回以降、空間の直線に関する例題ついて扱っていきます。
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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