無理方程式・不等式とグラフの共有点

無理方程式と不等式に関する例題です。

無理式を含む方程式・不等式を解く方法は
(1)式変形して解く (2)グラフを考える
です。

 

(例題1)
次の不等式を解け。ただし\(x\)は実数とする。
\(\sqrt{2x+4}>\displaystyle\frac{2}{3}x\)

 

(解答1)式変形で解く

無理式を解消するために2乗しますが、同値性に注意です。
例えば両辺が\(0\)以上ならば2乗しても不等号は変わりませんが、負の値になるときには不等号が入れ替わる場合があります(\(3>-5\) のとき2乗すると \(9<25\))。なので2乗する前に符号を考慮します。
また、ルートの中身の正負にも注意です。

\(\sqrt{2x+4}>\displaystyle\frac{2}{3}x\)・・・① について

\(2x+4≧0\) より \(x≧-2\)

(i)\(-2≦x<0\) のとき
①の右辺は負の値だから、不等式は成り立つ。
したがって、\(-2≦x<0\) は解。

(ii)\(x≧0\) のとき
①の両辺を2乗して
\(2x+4>\displaystyle\frac{4}{9}x^2\)
\(2x^2-9x-18<0\)
\((2x+3)(x-6)<0\)
\(-\displaystyle\frac{3}{2}<x<6\)
よって、\(0≦x<6\) は解。

以上より不等式①の解は
\(-2≦x<6\)

 

(解答2)グラフを考える

上記のように、式のみの変形は面倒な処理が出てきます。そこでグラフをかいて上下関係を調べることで不等式を解くのも有効です。なおグラフの交点を求める際には方程式を解きますが、やはり同様に正負については注意が必要です。

\(\sqrt{2x+4}=\displaystyle\frac{2}{3}x\)・・・② を解く。
\(2x+4≧0\) より \(x≧-2\)
また②の左辺は\(0\)以上の値だから、\(x≧0\)

②の両辺を2乗して
\(2x+4=\displaystyle\frac{4}{9}x^2\)
整理して
\((2x+3)(x-6)=0\)
\(x≧0\) を満たすのは \(x=6\)

先にグラフをかいて、1点で交わることとその位置から \(x=6\) が解としてもよいです。
ちなみにもう1つの解 \(x=-\displaystyle\frac{3}{2}\) については、折り返したグラフ \(y=-\sqrt{2x+4}\) との交点の\(x\)座標です。

ここで
\(y=\sqrt{2x+4}=\sqrt{2(x+2)}\)
\(y=\displaystyle\frac{2}{3}x\)
のグラフを\(x≧-2\)の範囲でかくと次の通り。

無理方程式 例題1

よって \(\sqrt{2x+4}>\displaystyle\frac{2}{3}x\) を満たす\(x\)は、無理関数が上側に位置する範囲を考えて
\(-2≦x<6\)

 

 

 

 

(例題2)
次の方程式の実数解の個数を調べよ。ただし\(k\)を実数の定数とする。
\(2\sqrt{x+4}=x+k\)

 

 

式変形のみでも解けますが、この問題についてはグラフ処理したほうが楽です。
式変形だと平方根を解消するために2乗することになりますが、正負の条件を考慮する(\(x≧-k\)という文字式で表された範囲がでてくる)ことになるのでやや面倒です。

(解答)
\(y=2\sqrt{x+4}\)
\(y=x+k\)
のグラフをかくと次の通り。

無理方程式 例題2-1

(まず共有点がなくなる境目を調べます)
\(2\sqrt{x+4}=x+k\)・・・①
①の両辺を2乗して
\(4(x+4)=(x+k)^2\)

同値性を意識するなら \(x+k≧0\) を加えることになりますが、今回は最後に①が成り立つことを確認する流れにしたいと思います。

\(x^2+2(k-2)x+k^2-16=0\)・・・②

判別式\(\displaystyle\frac{D}{4}=0\)より
\((k-2)^2-(k^2-16)=0\)
\(k=5\)
このとき①は \(2\sqrt{x+4}=x+5\)・・・③ となり、その解②より \(x=-(k-2)=-3\)
\(x=-3\) は③を満たすので、\(k=5\) のときは2つのグラフは1点のみで交わる。

もとの2つの関数は片方が整式ではないので単純に\(D=0\)のときは接するとしないほうがよいです。ただ今回は\(k=5\)前後でグラフを動かすと、「共有点なし、1点、2点」の変化となるので重解のとき接すると判断してもよいと思います。もしくは\(y\)の関数としてみれば\(y\)についての整式になる(\(y≧0\)という制約はつく。またこのとき\(x\)消去になる)のでこちらで判断してもよいです。

無理方程式 例題2-2

\(k=5,4\)が共有点の個数の変化の境目になっていて、
\(2\sqrt{x+4}=x+k\) の実数解の個数とグラフの共有点の個数は一致するから

\(k>5\) のとき なし
\(k=5\) のとき 1個
\(4≦k<5\) のとき 2個
\(k<4\) のとき 1個

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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