置換積分①(基本)

置換積分の理論について見ていきます。

 

・置換積分
複雑な関数の積分には置き換えをしたくなりますが、置き換えをした場合に積分の式がどうなるかを検討してみます。(今回も\(f(ax+b)\)型の積分と同様に合成関数の微分を利用します)

\(f(x)\)の不定積分を \(F(x)=\displaystyle\int f(x)dx\) とし、\(x\)が\(t\)の関数として \(x=g(t)\) と表されているとします。すると、\(F(x)=F(g(t))\) は\(t\)の関数になり、\(F(x)\)を\(t\)で微分すると

\(\displaystyle\frac{dF(x)}{dt}=\displaystyle\frac{dF(x)}{dx}\cdot\displaystyle\frac{dx}{dt}=f(x)\cdot g'(t)=f(g(t))g'(t)\)

となるので、\(t\)で積分すると次の等式が成り立つことが分かります。
\(F(x)=\displaystyle\int f(g(t))g'(t) dt\)

したがって次の公式が成り立つことになります。また、このような置き換えをして行う積分の方法を置換積分法とよびます。

(置換積分法1)
\(\displaystyle\int f(x)dx=\displaystyle\int f(g(t))g'(t) dt\)
(\(\displaystyle\int f(x)dx=\displaystyle\int f(g(t))\displaystyle\frac{dx}{dt}dt\))
(ただし \(x=g(t)\))

\(\displaystyle\int f(x)dx=\displaystyle\int f(g(t))\displaystyle\frac{dx}{dt}dt\)
の右辺の分母を払うと、形式的にも等式が成り立つことが分かります。

置換積分法の等式が意味することは、\(t\)による置き換えをして\(t\)で積分する際には、\(g'(t)\) という調整用の式を掛ける必要があるということです。この\(g'(t)\)は合成関数の微分をする際に出てくる関数の中身の微分が由来です。

上記のようにもちろん、\(x=g(t)\) という置き換えをすることもありますが、実際には\(x\)の式\(g^{-1}(x)\)を \(t=g^{-1}(x)\) と置き換えることが多いです。具体例を挙げると

\(\displaystyle\int(2x+1)^4dx\)
において

\(t=2x+1\ (=g^{-1}(x))\)・・・①

と置き換えて、①より\(x=g(t)\) の形にすると (ちょうど逆関数になる)
\(x=\displaystyle\frac{1}{2}(t-1)\)・・・②
なので、
\(g'(t)=\displaystyle\frac{dx}{dt}=\displaystyle\frac{1}{2}\)・・・③
だから

\(\displaystyle\int(2x+1)^4dx=\displaystyle\int t^4\cdot\displaystyle\frac{1}{2}dt\)・・・④

となります。あとは\(t\)で積分して \(t=2x+1\) を代入して\(x\)の式に戻すだけです。

丁寧にやると以上の流れになりますが、④を見ると元の式 \((2x+1)^4\ (=t^4)\) に③の右辺を掛けて、\(dx\)を\(dt\)に変えていることになるので、③を形式的に
\(dx=\displaystyle\frac{1}{2}dt\)
として、代入するという方法をとると機械的に処理することが可能です。

また、\(x=g(t)\)の形にしなくても
\(t=2x+1\)・・・①
のまま、\(t\)で微分して(\(x\)で微分してもよい)
\(1=2\cdot\displaystyle\frac{dx}{dt}\)
\(\displaystyle\frac{1}{2}dt=dx\) (形式的)
としてもよいです。

 

 

(例題)
次の不定積分を求めよ。
\(\displaystyle\int x(3x+2)^6dx\)

 

展開すると大変なので、\(3x+2=t\) の置換をします。

(解答)
\(3x+2=t\) とおくと
\(x=\displaystyle\frac{t-2}{3}\)
よって
\(\displaystyle\frac{dx}{dt}=\displaystyle\frac{1}{3}\)
\(dx=\displaystyle\frac{1}{3}dt\)

ゆえに
\(\displaystyle\int x(3x+2)^6dx\)
\(=\displaystyle\int(\displaystyle\frac{t-2}{3})\cdot t^6\cdot\displaystyle\frac{1}{3}dt\)
\(=\displaystyle\int(\displaystyle\frac{1}{9}t^7-\displaystyle\frac{2}{9}t^6)dt\)

\(=\displaystyle\frac{1}{9\cdot8}t^8-\displaystyle\frac{2}{9\cdot7}t^7+C\)

\(=\displaystyle\frac{1}{72}(3x+2)^8-\displaystyle\frac{2}{63}(3x+2)^7+C\) (\(C\)は積分定数)

 

 

本格的な置換積分の演習は次回にしたいと思います。

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
next→e^x、無理関数の置換積分 back→f(ax+b)型の積分

タイトルとURLをコピーしました