(e^x)×(三角関数) の積分

\(e^x\sin x,\ e^x\cos x\) の積分の計算方法について見ていきます。

 

・\(e^x\sin x,\ e^x\cos x\) の不定積分
\(\displaystyle\int e^x\sin xdx\)
を部分積分法を用いて計算しようと考えると、\(e^x\)を微分(積分)すると\(e^x\)のままで、\(\sin x\)を微分(積分)すると\(\sin x,\cos x\)を繰り返すことになるので、一方を消去することができません。しかし今言ったようにループ性があるので、同じ積分の形が出現することになり積分計算が可能になります。どちらを微分(積分)してもよいですが、\(e^x\)を積分することにして実際計算してみると
\(\displaystyle\int e^x\sin xdx\)
\(=e^x\sin x-\displaystyle\int e^x\cos x dx\)
\(=e^x\sin x-e^x\cos x+\color{red}{\displaystyle\int e^x(-\sin x) dx}\)

よって
\(\displaystyle\int e^x\sin xdx=e^x\sin x-e^x\cos x-\displaystyle\int e^x\sin xdx\)・・・①
が成り立つので、積分定数を考慮して、右辺の積分を左辺へ移項して両辺を2で割ると

\(\displaystyle\int e^x\sin xdx=\displaystyle\frac{1}{2}(e^x\sin x-e^x\cos x)+C\) (\(C\)は積分定数)

となります。

\(\displaystyle\int e^x\cos xdx\) も同様に求めると次のようになります。
\(\displaystyle\int e^x\cos xdx\)
\(=e^x\cos x+\displaystyle\int e^x\sin x dx\)
\(=e^x\cos x+e^x\sin x -\color{red}{\displaystyle\int e^x\cos x dx}\)
より

\(\displaystyle\int e^x\cos xdx=\displaystyle\frac{1}{2}(e^x\sin x+e^x\cos x)+C\) (\(C\)は積分定数)

 

ところで、部分積分はもともと積の微分から導かれているので、\(e^x\sin x,\ e^x\cos x\) の両方の微分を考えることにより、上記積分を求めることもできます。すなわち

\((e^x\sin x)’=e^x\sin x+e^x\cos x\)・・・①
\((e^x\cos x)’=-e^x\sin x+e^x\cos x\)・・・②

だから、(①-②)÷2 の後に積分すると
\(\displaystyle\int e^x\sin xdx=\displaystyle\frac{1}{2}(e^x\sin x-e^x\cos x)+C\)

また (①+②)÷2 の後に積分すると
\(\displaystyle\int e^x\cos xdx=\displaystyle\frac{1}{2}(e^x\sin x+e^x\cos x)+C\)

 

 

(例題)
(1)\(\displaystyle\int e^x\sin xdx,\ \displaystyle\int e^x\cos xdx\) を求めよ。
(2)\(\displaystyle\int \sin(\log x)dx\) を求めよ。
(3)\(\displaystyle\int xe^x\cos xdx\) を求めよ。

 

(解答)
以下積分定数を\(C\)とする。
(1)
(求める方法は上記解説参照)
\(\displaystyle\int e^x\sin xdx=\displaystyle\frac{1}{2}(e^x\sin x-e^x\cos x)+C\)
\(\displaystyle\int e^x\cos xdx=\displaystyle\frac{1}{2}(e^x\sin x+e^x\cos x)+C\)

(2)

(1)と同様に、部分積分をして同形を出現させるか、\(\log(\cos x)\) もセットにして積の微分を考えてもよいですが、置換積分を利用すると(1)の結果が使えます。

\(\displaystyle\int \sin(\log x)dx\) について

\(\log x=t\)  (\(e^t=x\)) と置換すると
\(\displaystyle\frac{1}{x}dx=dt\)
\(dx=xdt\)
\(dx=e^tdt\) だから

\(\displaystyle\int \sin(\log x)dx\)
\(=\displaystyle\int e^t\sin t dt\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}(e^t\sin t-e^t\cos t)+C\) ((1)より)

\(=\displaystyle\frac{1}{2}\{x\sin(\log x)-x\cos(\log x)\}+C\)

(3)

\(e^x\cos x\) の積分は(1)で分かっているので、\(x\)のほうを微分する部分積分をします。

\(\displaystyle\int e^x\cos xdx=\displaystyle\frac{1}{2}(e^x\sin x+e^x\cos x)+C\) より

\(\displaystyle\int xe^x\cos xdx\)
\(=x\cdot\displaystyle\frac{1}{2}(e^x\sin x+e^x\cos x)-\displaystyle\int\displaystyle\frac{1}{2}(e^x\sin x+e^x\cos x)dx\)

(さらに(1)の結果を利用すると)

\(=\displaystyle\frac{1}{2}x(e^x\sin x+e^x\cos x)-\displaystyle\frac{1}{2}e^x\sin x+C\)

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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