接線の方程式の選び方(2次曲線)

2次曲線の接線の方程式は、
①曲線上の点を (\(x_1,y_1\)) とおく
②\(y=mx+n\) とおく
方法があります。基本的には①の方法をとりますが、傾きが主役になる問題では②の方法をとることが多いです。

 

(例題1)
\(a\)を\(1\)より大きい実数とする。座標平面上に方程式 \(x^2-\displaystyle\frac{y^2}{4}=1\) で定まる双曲線\(H\)と、方程式 \(\displaystyle\frac{x^2}{a^2}+y^2=1\) で定まる楕円\(E\)が与えられている。\(H\)と\(E\)の第1象限における交点を\(P\)とし、\(P\)における\(H\)の接線を\(l_1\)、\(P\)における\(E\)の接線を\(l_2\)とする。

(1)\(P\)の座標を求めよ。
(2)\(l_1\)の傾きと\(l_2\)の傾き求めよ。
(3)\(l_1\)と\(l_2\)が垂直であるとき、\(a\)の値を求めよ。またこのとき\(H\)と\(E\)の焦点が一致することを示せ。

 

\(a\)が未知数なので、楕円の方が可変で双曲線は固定です。
図示すると分かりますが、\(a>1\) より楕円と双曲線は交点をもちます。(数式でも分かる)

(解答)
(1)
(2曲線の方程式の共通解がそのまま座標になります)

接線選び方 例題1

\(x^2-\displaystyle\frac{y^2}{4}=1\)・・・①
\(\displaystyle\frac{x^2}{a^2}+y^2=1\)・・・②

①×4+②より
\((4+\displaystyle\frac{1}{a^2})x^2=5\)
よって
\(x^2=\displaystyle\frac{5a^2}{4a^2+1}\)・・・③
\(P\)は第1象限の点だから \(x>0\) より
\(x=\displaystyle\frac{\sqrt{5}a}{\sqrt{4a^2+1}}\)

また③を①に代入して
\(y^2=4(\displaystyle\frac{5a^2}{4a^2+1}-1)\)

\(y^2=\displaystyle\frac{4(a^2-1)}{4a^2+1}\)
\(y>0\) だから
\(y=\displaystyle\frac{2\sqrt{a^2-1}}{\sqrt{4a^2+1}}\)

したがって
\(P(\displaystyle\frac{\sqrt{5}a}{\sqrt{4a^2+1}},\ \displaystyle\frac{2\sqrt{a^2-1}}{\sqrt{4a^2+1}})\)

(2)

曲線上の点 \((x_1,y_1)\) が分かっているので、この点における接線の方程式を求めて傾きを求めます。

\(P(x_1,y_1)\) とおくと、接線の方程式はそれぞれ
\(l_1:\ x_1x-\displaystyle\frac{y_1y}{4}=1\)
\(l_2:\ \displaystyle\frac{x_1x}{a^2}+y_1y=1\)

したがって傾きは
\(l_1\)では
\(\displaystyle\frac{4x_1}{y_1}\)\(=4\cdot\displaystyle\frac{\sqrt{5}a}{\sqrt{4a^2+1}}\cdot\displaystyle\frac{\sqrt{4a^2+1}}{2\sqrt{a^2-1}}\)

\(=\displaystyle\frac{2\sqrt{5}a}{\sqrt{a^2-1}}\)

\(l_2\)では
\(-\displaystyle\frac{x_1}{a^2y_1}\)\(=-\displaystyle\frac{1}{a^2}\cdot\displaystyle\frac{\sqrt{5}a}{\sqrt{4a^2+1}}\cdot\displaystyle\frac{\sqrt{4a^2+1}}{2\sqrt{a^2-1}}\)

\(=-\displaystyle\frac{\sqrt{5}}{2a\sqrt{a^2-1}}\)

(3)
\(l_1,l_2\)の傾きの積が\(-1\)となるから
\(\displaystyle\frac{2\sqrt{5}a}{\sqrt{a^2-1}}\cdot(-\displaystyle\frac{\sqrt{5}}{2a\sqrt{a^2-1}})=-1\)
整理すると
\(\displaystyle\frac{5}{a^2-1}=1\)
\(a^2=6\)
\(a>1\) より \(a=\sqrt{6}\)

よって
\(x^2-\displaystyle\frac{y^2}{4}=1\)・・・①
\(\displaystyle\frac{x^2}{6}+y^2=1\)・・・②
より、2曲線の焦点はいずれも
\((\sqrt{5},0),(-\sqrt{5},0)\)
であり一致する。

一般的に楕円と双曲線が交点を持ちその交点での接線が直交するならば、2曲線の焦点は一致します。(逆も成り立つ)

 

 

(例題2)
放物線 \(y=\displaystyle\frac{3}{4}x^2\) と 楕円 \(x^2+\displaystyle\frac{y^2}{4}=1\) に共通な接線の方程式を求めよ。

 

どちらも2次曲線(2次式)なので、片方の接線がもう一方に接する(重解をもつ)とすればよいでしょう。どちらの曲線からスタートしてもよいですが、放物線の接線の方程式からスタートすると文字設定が1文字で済みます。
両方で接線の方程式を立てて傾きと切片を比較するという方法もあるかと思いますが、面倒になりそうです。

(解答)

接線選び方 例題2

\(y=\displaystyle\frac{3}{4}x^2\)
上の点 \((t,\displaystyle\frac{3}{4}t^2)\) における接線の方程式は
\(x^2=4\cdot\displaystyle\frac{1}{3}\cdot y\) より
\(tx=\displaystyle\frac{2}{3}(y+\displaystyle\frac{3}{4}t^2)\)
よって
\(y=\displaystyle\frac{3}{2}tx-\displaystyle\frac{3}{4}t^2\)・・・①
(微分を使って求めてももちろんよい)

\(x^2+\displaystyle\frac{y^2}{4}=1\)・・・②
①を②に代入して
\(x^2+\displaystyle\frac{1}{4}(\displaystyle\frac{3}{2}tx-\displaystyle\frac{3}{4}t^2)^2=1\)
\(x\)について整理すると
\(4(9t^2+16)x^2-36t^3x+9t^4-64=0\)
①と②は接するから
\(\displaystyle\frac{D}{4}=0\)
\((-18t^3)^2-4(9t^2+16)(9t^4-64)=0\)
\(-64(9t^4-36t^2-64)=0\)
\((3t^2-16)(3t^2+4)=0\)
\(t^2≧0\) だから
\(t^2=\displaystyle\frac{16}{3}\)
よって
\(t=±\displaystyle\frac{4}{\sqrt{3}}\)

したがって接線の方程式は①より
\(y=\displaystyle\frac{3}{2}\cdot(±\displaystyle\frac{4}{\sqrt{3}})x-\displaystyle\frac{3}{4}\cdot\displaystyle\frac{16}{3}\)

\(y=±2\sqrt{3}x-4\)

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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