曲線と2次曲線の位置関係②(接する円と楕円)

接する円と楕円の例題です。

(例題)
\(a,b\)を正の実数とし、
円 \(C_1:(x-a)^2+y^2=a^2\)
楕円 \(C_2:x^2+\displaystyle\frac{y^2}{b^2}=1\)
を考える。

(1)\(C_1\)が\(C_2\)に内接するための\(a,b\)の条件を求めよ。
(2)\(b=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\) とし、\(C_1\)が\(C_2\)に内接しているとする。このとき、接点の座標を求めよ。

 

接する2曲線の例題では
(i)共有点での接線が一致する
(ii)\(n\)次式になる場合は、重解を調べる(判別式を調べる)
が基本的な解法になりますが、円が絡む場合には
(ア)接点と中心を結ぶ直線は、接線と垂直
(イ)円の中心からの距離の最小値が半径
も活用します。

(解答)
(1)

\(a,b\)が可変ですが、円\(C\)は中心\((a,0)\)で半径\(a\)の円(原点を通る)、楕円は \((1,0)\) を通ることなどに着目して図を考えると、\((1,0)\)で接するなど内接するパターンがある程度見えてきます。これらのことを頭の片隅に入れつつ、上記(イ)の方法で数式で処理したいと思います。一般的には(イ)だと外接する場合も含まれますが、今回は円が原点を通り、これが楕円の内部にあることから外接する場合は除外されます。
円と楕円 内接1

円と楕円 内接2

円の中心を\(A(a,0)\)、楕円上の点を\(P(s,t)\)とおくと
\(AP^2=(s-a)^2+t^2\)
\(s^2+\displaystyle\frac{t^2}{b^2}=1\) より
\(AP^2=(s-a)^2+b^2(1-s^2)\)
\(=(1-b^2)s^2-2as+a^2+b^2\)

円の半径は\(a\)で、\(x≧0\) の部分にあることから
\(f(s)=(1-b^2)s^2-2as+a^2+b^2\) (\(0≦s≦1\))
最小値が\(a^2\)となるような\(a,b\)の条件を求めればよいことになる。

(i)\(b=1\) のとき
\(f(s)=-2as+a^2+1\)
\(a>0\) より単調減少関数になるから最小値は\(f(1)\)で
\(-2a+a^2+1=a^2\)
よって \(a=\displaystyle\frac{1}{2}\)

(ii)\(0<b<1\) のとき
\(s^2\)の係数が正の値(2次関数は下に凸)であることに注意して、平方完成すると
\(f(s)=(1-b^2)s^2-2as+a^2+b^2\)
\(=(1-b^2)(s-\displaystyle\frac{a}{1-b^2})^2-\displaystyle\frac{a^2}{1-b^2}+a^2+b^2\)

\(=(1-b^2)(s-\displaystyle\frac{a}{1-b^2})^2+\displaystyle\frac{b^2-a^2b^2-b^4}{1-b^2}\)

(軸が\(s>0\) の部分にあるのでさらに場合分けします)

円と楕円 内接3

(ア)\(0<\displaystyle\frac{a}{1-b^2}<1\)・・・① のとき
\(f(s)\)の最小値は \(f(\displaystyle\frac{a}{1-b^2})\) であるから
\(\displaystyle\frac{b^2-a^2b^2-b^4}{1-b^2}=a^2\)
整理すると
\(a^2=b^2-b^4\)
\(a,b>0\) より
\(a=b\sqrt{1-b^2}\)・・・②
②を①に代入して
\(\displaystyle\frac{b\sqrt{1-b^2}}{1-b^2}<1\)
\(b^2<1-b^2\)
よって \(0<b<\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\)

(イ)\(\displaystyle\frac{a}{1-b^2}≧1\)・・・③ のとき
\(f(s)\)の最小値は\(f(1)\) だから
\((1-b^2)-2a+a^2+b^2=a^2\)
よって \(a=\displaystyle\frac{1}{2}\)
③より
\(\displaystyle\frac{1}{2(1-b^2)}≧1\)
\(\displaystyle\frac{1}{2}≧1-b^2\)
\(0<b<1\) も合わせると
\(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}≦b<1\)

(iii)\(b>1\) のとき
\(f(s)=(1-b^2)s^2-2as+a^2+b^2\)
\(=(1-b^2)(s-\displaystyle\frac{a}{1-b^2})^2+\displaystyle\frac{b^2-a^2b^2-b^4}{1-b^2}\)

\(1-b^2<0\) (上に凸の2次関数) であり、軸が\(s<0\)の部分にあることに注意すると、\(f(s)\)の最小値は\(f(1)\)だから(ii)(イ)と同様で
\(a=\displaystyle\frac{1}{2}\) (\(b>1\))

以上から、(i)、(ii)(イ)、(iii)をまとめると
\(a=\displaystyle\frac{1}{2}\) (\(b≧\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\)) となるので、求める\(a,b\)の条件は
\(a=b\sqrt{1-b^2}\) (\(0<b<\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\) のとき)
\(a=\displaystyle\frac{1}{2}\) (\(b≧\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\) のとき)

※上記結果をグラフと対応させると
\(a=\displaystyle\frac{1}{2}\) のときは、\(s=1\) のとき最小値となるので、\((1,0)\) で接していることになります。
\(a=b\sqrt{1-b^2}\) のときは、\(0<s<1\) の値で最小値になるので、\(0<x<1\) の部分で接していて、対称性を考えると上下2点で接していることになります。

円と楕円 内接4

 

(2)

\(b=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\) なので、\(a=b\sqrt{1-b^2}\) のケースです。\(a\)の値もこの式から分かるので、あとは接点(2曲線の交点)の座標を求めるだけです。連立方程式を解いてもよいですが、(ii)(ア)より接点の\(x\)座標は、\(x=\displaystyle\frac{a}{1-b^2}\) と分かるのでこれを用いてみます。\(y\)座標については楕円と円どちらの方程式から求めてもよいですが、楕円の方を使うと楽です。

\(b=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\) のとき(1)より
\(a=b\sqrt{1-b^2}=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\sqrt{\displaystyle\frac{2}{3}}\)
\(=\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{3}\)

接点の\(x\)座標は(1)の(ii)より
\(x=\displaystyle\frac{a}{1-b^2}=\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{3}\cdot\displaystyle\frac{3}{2}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\)

接点の\(y\)座標は、楕円 \(x^2+\displaystyle\frac{y^2}{b^2}=1\) より
\(y^2=\displaystyle\frac{1}{3}(1-x^2)\)
\(y=±\sqrt{\displaystyle\frac{1}{3}(1-\displaystyle\frac{1}{2})}\)
\(y=±\displaystyle\frac{1}{\sqrt{6}}\)

したがって接点の座標は
\((\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}},\displaystyle\frac{1}{\sqrt{6}}),(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}},-\displaystyle\frac{1}{\sqrt{6}})\)

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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