複素数の積・商や極形式の三角関数要素が強い例題について見ていきます。
(例題1)
\(\displaystyle\frac{\sqrt{3}+i}{1-i}\) の結果を利用して、\(\cos75°\) の値を求めよ。
まずは分母分子を極形式にすると、商は偏角の差をとることになるので \(30°-(-45°)=75°\)。
また分母を実数化して普通に計算してそれぞれの結果を比較します。
(解答)
\(w=\displaystyle\frac{\sqrt{3}+i}{1-i}\)
\(=\displaystyle\frac{2(\cos30°+i\sin30°)}{\sqrt{2}\{\cos(-45°)+i\sin(-45°)\}}\)
\(=\sqrt{2}(\cos75°+i\sin75°)\)・・・①
また
\(w=\displaystyle\frac{(\sqrt{3}+i)(1+i)}{(1-i)(1+i)}\)
\(=\displaystyle\frac{(\sqrt{3}-1)+(\sqrt{3}+1)i}{2}\)・・・②
①と②は等しいので、実部を比較して
\(\sqrt{2}\cos75°=\displaystyle\frac{\sqrt{3}-1}{2}\)
したがって
\(\cos75°=\displaystyle\frac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4}\)
(虚部を比較すれば\(\sin75°\)も求めることができる)
(例題2)
次の複素数を極形式で表せ。ただし偏角\(θ\)は \(0≦θ<2π\) とする。
(1)\(z=-\cosα+i\sinα\) (\(0<α<π\))
(2)\(z=\sinα+i\cosα\) (\(0<α<\displaystyle\frac{π}{2}\))
(3)\(z=\displaystyle\frac{1-\sinα+i\cosα}{1-\sinα-i\cosα}\) (\(0<α<\displaystyle\frac{π}{2}\))
(4)\(z=1-\cosα+i\sinα\) (\(0<α<π\))
\(z=r(\cosθ+i\sinθ)\) (\(r>0\))
です。\(\cos,\sin\) の種類や、符号(\(+\))には注意します。
各\(α\)の範囲の設定により偏角はうまく \(0≦θ<2π\) に入るようになってますが、それの確認もしておきます。
(解答)
(1)
(\(\cos\)の符号を\(+\)にするために・・・)
\(z=-\cosα+i\sinα\)
\(=\cos(π-α)+i\sin(π-α)\) (\(0<α<π\) より \(0<π-α<π\))
(2)
(\(\cos,\sin\)が逆になっているので)
\(z=\sinα+i\cosα\)
\(=\cos(\displaystyle\frac{π}{2}-α)+i\sin(\displaystyle\frac{π}{2}-α)\) (\(0<α<\displaystyle\frac{π}{2}\) より \(0<\displaystyle\frac{π}{2}-α<\displaystyle\frac{π}{2}\))
(3)
そこでまずは基本通り分母を実数化をしてみます。
\(z=\displaystyle\frac{1-\sinα+i\cosα}{1-\sinα-i\cosα}\)
\(=\displaystyle\frac{(1-\sinα+i\cosα)^2}{(1-\sinα-i\cosα)(1-\sinα+i\cosα)}\)
\(=\displaystyle\frac{(1-\sinα+i\cosα)^2}{(1-\sinα)^2+\cos^2α}\)
\(=\displaystyle\frac{(1+\sin^2α-\cos^2α-2\sinα)+2\cosα(1-\sinα)i}{1-2\sinα+\sin^2α+\cos^2α}\)
\(=\displaystyle\frac{(1+\sin^2α-1+\sin^2α-2\sinα)+2\cosα(1-\sinα)i}{2(1-\sinα)}\)
\(=\displaystyle\frac{2\sinα(\sinα-1)+2\cosα(1-\sinα)i}{2(1-\sinα)}\)
(\(0<α<\displaystyle\frac{π}{2}\) より \(\sinα≠1\) だから)
\(=-\sinα+i\cosα\)
(極形式の形に合わせるために、\(\displaystyle\frac{π}{2}+θ\) の公式を利用して)
\(=\cos(\displaystyle\frac{π}{2}+α)+i\sin(\displaystyle\frac{π}{2}+α)\) (\(\displaystyle\frac{π}{2}<\displaystyle\frac{π}{2}+α<π\))
(4)
(2倍角(半角)の公式を使うと)
\(z=1-\cosα+i\sinα\)
\(=2\sin^2\displaystyle\frac{α}{2}+2i\sin\displaystyle\frac{α}{2}\cos\displaystyle\frac{α}{2}\)
\(=2\sin\displaystyle\frac{α}{2}(\sin\displaystyle\frac{α}{2}+i\cos\displaystyle\frac{α}{2})\)
(極形式の形に合わせて)
\(=2\sin\displaystyle\frac{α}{2}\left\{\cos(\displaystyle\frac{π}{2}-\displaystyle\frac{α}{2})+i\sin(\displaystyle\frac{π}{2}-\displaystyle\frac{α}{2})\right\}\)
(\(0<α<π\) より \(0<\displaystyle\frac{π}{2}-\displaystyle\frac{α}{2}<\displaystyle\frac{π}{2}\)
なお\(z\)の絶対値は、\(r=2\sin\displaystyle\frac{α}{2}\) となっている)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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