z^n=1 の解と求値問題

\(z^n=1\) の解に関する色々な式の値を求める例題です。

 

(例題)
\(α=\cos\displaystyle\frac{2π}{5}+i\sin\displaystyle\frac{2π}{5}\) のとき、次の値をそれぞれ求めよ。

(1)\(α^4+α^3+α^2+α+1\)
(2)\((1-α)(1-α^2)(1-α^3)(1-α^4)\)
(3)\((1+α)(1+α^2)(1+α^3)(1+α^4)\)
(4)\(\displaystyle\frac{1}{1-α}+\displaystyle\frac{1}{1-α^2}+\displaystyle\frac{1}{1-α^3}+\displaystyle\frac{1}{1-α^4}\)

 

ドモアブルの定理を利用すると、偏角の分母が\(5\)より\(5\)乗して
\(α^5=\cos2π+i\sin2π=1\)
よって、\(α\)は 方程式 \(z^5=1\) の1つの解になります。これがまず1つ目のポイントです。

(解答)
(1)
\(α^5=\cos2π+i\sin2π=1\)
より、\(α\)は
\(z^5=1\)
の解の1つである。
よって
\(α^5-1=0\)
\((α-1)(α^4+α^3+α^2+α+1)=0\)
\(α≠1\) より (\(α\)は明らかに虚数だから)
\(α^4+α^3+α^2+α+1=0\)

(2)

(1)の結果と \(α^5=1\) を用いてゴリゴリ計算しても解けますが、少し工夫してみます。
\(z^5=1\) の解の1つが\(α\)で、これが最も正の偏角で小さいものなので、5つの解は
\(z=1,α,α^2,α^3,α^4\)
となります。また \(z^5=1\) より
\((z-1)(z^4+z^3+z^2+z+1)=0\)
なので、\(z^4+z^3+z^2+1=0\) の解は \(1\)以外の4つ。したがって因数定理を用いると
\(z^4+z^3+z^2+z+1\)
\(=(z-α)(z-α^2)(z-α^3)(z-α^4)\)
あとは \(z=1\) を代入すれば完了です。

\(z^5=1\)
つまり
\((z-1)(z^4+z^3+z^2+z+1)=0\)
の解は \(z=1,α,α^2,α^3,α^4\)
だから
\(z^4+z^3+z^2+z+1\)
\(=(z-α)(z-α^2)(z-α^3)(z-α^4)\)

\(z=1\)を代入すると
\((1-α)(1-α^2)(1-α^3)(1-α^4)\)
\(=1+1+1+1+1\)
\(=5\)

(3)

(2)とほとんど同じですが、( )内の符号を一致させるために、\(z=-1\)を代入します。符号の違いだけなら最後に調整するだけです。

(2)より
\(z^4+z^3+z^2+z+1\)

\(=(z-α)(z-α^2)(z-α^3)(z-α^4)\)

\(z=-1\) を代入して
\((-1-α)(-1-α^2)(-1-α^3)(-1-α^4)\)
\(=1-1+1-1+1\)
\(=1\)

よって
\((1+α)(1+α^2)(1+α^3)(1+α^4)=1\)
(今回は符号の調整必要なし)

 

(3)

通分して計算しますが、\(α\)と\(α^4\)、\(α^2\)と\(α^3\) を組み合わせて計算します。この組み合わせにする理由は、似た複素数(共役複素数になっている)だからです。複素数平面上に図示する(正5角形の頂点)とちょうど実軸対称の位置関係になっています。
もちろん今まで計算結果も利用していきます。

\(\displaystyle\frac{1}{1-α}+\displaystyle\frac{1}{1-α^2}+\displaystyle\frac{1}{1-α^3}+\displaystyle\frac{1}{1-α^4}\)

\(=\displaystyle\frac{(1-α^4)+(1-α)}{(1-α)(1-α^4)}+\displaystyle\frac{(1-α^3)+(1-α^2)}{(1-α^2)(1-α^3)}\)

\(=\displaystyle\frac{2-α^4-α}{α^5-α^4-α+1}+\displaystyle\frac{2-α^3-α^2}{α^5-α^3-α^2+1}\)

\(=\displaystyle\frac{2-α^4-α}{2-α^4-α}+\displaystyle\frac{2-α^3-α^2}{2-α^3-α^2}\) (\(∵α^5=1\))

\(=2\)

(別解1)
ほとんど本解答と同じですが、\(α^5=1\) を利用して次数下げをしてもよいです。
\(α^4=\displaystyle\frac{1}{α}\)、\(α^3=\displaystyle\frac{1}{α^2}\) より

\(\displaystyle\frac{1}{1-α}+\displaystyle\frac{1}{1-α^2}+\displaystyle\frac{1}{1-α^3}+\displaystyle\frac{1}{1-α^4}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{1-α}+\displaystyle\frac{1}{1-α^2}+\displaystyle\frac{1}{1-\displaystyle\frac{1}{α^2}}+\displaystyle\frac{1}{1-\displaystyle\frac{1}{α}}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{1-α}+\displaystyle\frac{1}{1-α^2}+\displaystyle\frac{α^2}{α^2-1}+\displaystyle\frac{α}{α-1}\)

(分母が同じ両側、中側で組み合わせて)

\(=\displaystyle\frac{1-α}{1-α}+\displaystyle\frac{1-α^2}{1-α^2}\)

\(=2\)

(別解2)

まとめて計算することもできます。その場合、分子が1つだけ式が欠けた形の和になるので、積の微分を利用するとうまく計算できます。

\(\displaystyle\frac{1}{1-α}+\displaystyle\frac{1}{1-α^2}+\displaystyle\frac{1}{1-α^3}+\displaystyle\frac{1}{1-α^4}\)

((2)の結果より分母の積は\(5\)だから)

\(=\displaystyle\frac{1}{5}\{(1-α^2)(1-α^3)(1-α^4)+(1-α)(1-α^3)(1-α^4)\)
\(+(1-α)(1-α^2)(1-α^4)+(1-α)(1-α^2)(1-α^3)\}\)

ここで
\(z^4+z^3+z^2+z+1\)
\(=(z-α)(z-α^2)(z-α^3)(z-α^4)\)
の両辺を\(z\)で微分して
\(4z^3+3z^2+2z+1\)
\(=(z-α^2)(z-α^3)(z-α^4)+(z-α)(z-α^3)(z-α^4)\)
\(+(z-α)(z-α^2)(z-α^4)+(z-α)(z-α^2)(z-α^3)\)

\(z=1\)を代入すると
\(10=(1-α^2)(1-α^3)(1-α^4)+(1-α)(1-α^3)(1-α^4)\)
\(+(1-α)(1-α^2)(1-α^4)+(1-α)(1-α^2)(1-α^3)\)

したがって
\(\displaystyle\frac{1}{1-α}+\displaystyle\frac{1}{1-α^2}+\displaystyle\frac{1}{1-α^3}+\displaystyle\frac{1}{1-α^4}\)

\(=\displaystyle\frac{10}{5}\)

\(=2\)

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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