確率の分野は実生活で身近に感じる分野です。明日雨が降る確率(降水確率)や、模試の判定(○○高校、△△大学に合格する確率)など色々な確率があります。
今回は確率の分野を学習するにあたって、まず最初に色々な語句や確率の定義について学んでいきます。
・試行と事象
1個のサイコロを投げるとき出る目の数は、1,2,3,4,5,6のどれかで、どの目が出るかは偶然によって決まります。このサイコロを投げる行為のように、同じ状態のもとで繰り返すことができて、結果が偶然によって支配される実験や観測を試行といい、試行の結果として起こる出来事を事象といいます。
サイコロを投げるという試行において事象はいろいろなものが考えられます。例えば「1の目がでる」「偶数の目が出る」「4の目が出ない」などです。
この試行で起こりうる場合の全体は、1の目が出るということを数字「1」で表すとすると、1,2,3,4,5,6 となります。これを集合\(U\)として表すと、
\(U=\{1,2,3,4,5,6\}\)
となり、このように起こりうる場合全体の集合\(U\)で表される事象を、全事象といいます。
全体集合\(U\)の部分集合のうち、1個の要素からなる集合で表される事象を根元事象といいます。サイコロを投げる試行においては、根元事象は、集合{1},{2},{3},{4},{5},{6} と表されます。根元事象は起こりうる個々の事象であり、これ以上分けることができない事象です。
また、空集合\(φ\)で表される事象を空事象といいます。
今後、事象とそれを表す集合は同じものとして扱っていきます。
・確率の定義
1つの試行においてある事象Aの起こることが期待される割合を、事象Aの起こる確率といい、次のように定義します。
\(P(A)=\displaystyle\frac{事象Aの根元事象の個数}{全事象Uの根元事象の個数}=\displaystyle\frac{n(A)}{n(U)}\)
確率の値を定めるには、ある試行によって起こる根元事象が同様に確からしいことに基づいて定めます。
根元事象が同様に確からしいことが前提となります。コインを投げた時、裏と表の出る確率は、表と裏が出ることが同様に確からしいことからそれぞれの確率が\(\displaystyle\frac{1}{2}\) となるわけで、同様に確からしい状態ではない場合は\(\displaystyle\frac{1}{2}\)とはなりません。
簡単な例題を通して具体的に確率を求めてみます。
(例題1)
2枚の硬貨を投げるとき、1枚が表、1枚が裏の出る確率を求めよ。
硬貨Aの出方は表と裏の2通り。硬貨Bの出方は表と裏の2通り。よって全事象は2×2=4 通りです。
2枚の硬貨を区別せずに、①2枚とも表、②2枚とも裏、③1枚表、1枚裏 の全事象は3通りとしないように。2枚の硬貨を投げる間隔をあけるとして、③は1枚目が表、2枚目が裏 という場合と、1枚目が裏、2枚目が表という場合が考えられるので、③は①②より明らかに起こりやすいです。よって①~③は同様に確からしいとはいえません。
(解答)
起こりうるすべての場合は、
(硬貨A,硬貨B)=(表,表),(表,裏),(裏,表),(裏,裏)
の4通りで、1枚が表、1枚が裏の出る場合は2通り。よって求める確率は
\(\displaystyle\frac{2}{4}=\)\(\displaystyle\frac{1}{2}\)
(例題2)
2つのさいころを同時に投げるとき、目の和が3の倍数になる確率を求めよ。
このうち、目の和が3の倍数となるときは
和が3:(1,2), (2,1)
和が6:(1,5),(2,4), (3,3), (4,2), (5,1)
和が9:(3,6),(4,5),(5,4),(6,3)
和が12:(6,6)
の合計12通りだから
\(\displaystyle\frac{12}{36}=\)\(\displaystyle\frac{1}{3}\)
以上になります。お疲れ様でした。
ここまで見て頂きありがとうございました。