整数の除法

 

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整数の除法、つまり割り算について考えていきます。

 

 

・整数の除法とその一意性
整数\(n\)と正の整数\(m\)について、
\(n=mq+r\),  \(0≦r<m\) ・・・①
を満たす整数\(q,r\) がただ一通りに定まります。(一意性)
なお、①式は\(n\)を\(m\)で割ったとき、商が\(q\)余りが\(r\)であることを表しています。

 

 

\(43\)を\(5\)で割ると、商\(8\)余り\(3\)なので
\(43=5×8+3\)
と表すことができます。
\(-43\)を\(5\)で割ると、商は\(-9\)(\(-8\)ではない)余り\(2\)なので、
\(-43=5×(-9)+2\)
となります。商を\(-8\)とすると
\(-43=5×(-8)-3\)
であり、\(0≦r<5\) を満たさないので間違いです。
余り\(r\)は、\(m\)よりは小さいです。\(m\)以上の場合はまだ割れることになります。なお、\(r=0\)つまり余りがないとき、\(n\)は\(m\)で割り切れるといい、\(r≠0\)のときは、\(n\)は\(m\)で割り切れないといいます。

 

①を満たす整数\(q,r\) がただ一通りに定まることを次のように2段階で示します。

 

(\(0≦r<m\)であることの証明)
整数\(n\)と正の整数\(m\)について、次の不等式を満たす整数\(q\)が存在する。
\(mq≦n<m(q+1)\)・・・(1)

 

\(m(q+1)-mq=m≧1\) なので、範囲内に\(n\)をおさめることができる、\(q\)をうまくとることができます。たとえば、\(n=10,m=4\) のとき
\(4×2≦10<4×(2+1)\) となるので、\(q=2\) とすれば不等式を満たします。

 

ここで、\(n-mq=r\) とすると

(1)より
\(0≦n-mq<m\) なので
\(0≦r<m\)

また、\(n-mq=r\) は \(n=mq+r\) であるので

整数\(n\)と正の整数\(m\)について
\(n=mq+r\),  \(0≦r<m\)
を満たす整数\(q,r\) が存在する。

 

まだこれだけだと、\(q,r\)が存在するだけで、一通りしか存在しないことは示せてないので、一通りに定まることも示します。

 

(\(q,r\)が一通りに定まることの証明)
整数\(n\)、正の整数\(m\)について

\(n=mq+r\)・・・(2)  \(0≦r<m\)
\(n=mq’+r’\)・・・(3)  \(0≦r'<m\)
と2通りに表せると仮定する。

(2)-(3)より
\(0=m(q-q’)+r-r’\) だから
\(m(q-q’)=r’-r\)・・・(4)

(4)の左辺は\(m\)の倍数なので、\(r’-r\)も\(m\)の倍数。
しかし、\(0≦r<m\), \(0≦r'<m\) より
\(-m<r’-r<m\) だから、この範囲における\(m\)の倍数は\(0\)のみ。
よって \(r’-r=0\) つまり \(r=r’\)

また(4)より、\(m\)は正の整数だから、\(q-q’=0\) なので \(q=q’\)

 

以上より、\(q=q’\),\(r=r’\) なので、表し方は一通りである。

 

 

(例題)
\(a,b\)は\(6\)で割ると余りがそれぞれ\(2,5\)となる整数である。このとき次の数を\(6\)で割ったときの余りを求めよ。
(1)\(2a-b\)
(2)\(ab\)
(3)\(b^2\)

 

余りは\(r\)は、\(0≦r<6\) の範囲の値です。

(解答)
整数\(k,l\)を用いて
\(a=6k+2\), \(b=6l+5\)
と表すことができる。

(1)
\(2a-b=2(6k+2)-(6l+5)\)
\(=6(2k-l)-1\)\(=6(2k-l)-1+6-6\)
\(=6(2k-l-1)+5\)
よって余りは\(5\)

(2)
\(ab=(6k+2)(6l+5)\)
\(=6(6kl+5k+2l)+10\)
\(=6(6kl+5k+2l+1)+4\)
よって余りは\(4\)

(3)
\(b^2=(6l+5)^2\)
\(=36l^2+60l+25\)
\(=6(6l^2+10l+4)+1\)
よって余りは\(1\)

 

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。

 

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