証明法の最後に転換法を紹介します。
・転換法
一連の真である命題、\(p_1→q_1\) , \(p_2→q_2\) , \(p_3→q_3,・・・\)において
①仮定 \(p_1,p_2,p_3・・・\) はすべての場合をつくしている
②結論 \(q_1,q_2,q_3・・・\) はどの二つも両立することがない
とき、一連の真である命題の逆、\(q_1→p_1\) , \(q_2→p_2\) , \(q_3→p_3,・・・\) も真である。
具体例をあげます。(2次方程式(数Ⅰ)を学習しているとさらに理解しやすくなります)
(例)\(a,b,c\)を実数とする。
2次方程式\(ax^2+bx+c=0\)と、判別式 \(D=b^2-4ac\) について
2次方程式\(ax^2+bx+c=0\)と、判別式 \(D=b^2-4ac\) について
Ⅰ \(D>0\) \(→\) 異なる2つの実数解をもつ
Ⅱ \(D=0\) \(→\) 重解をもつ
Ⅲ \(D<0\) \(→\) 実数解をもたない
は真である。このときそれぞれの逆もすべて成り立つことを示せ。
(例)は転換法の条件を満たしていますね。
(考え方)
まず、Ⅰの逆を証明しようと考えます。
背理法を用います。
「異なる実数解をもつ → \(D=0\) 」と仮定すると、Ⅱより、「異なる実数解をもつ → \(D=0\) → 重解をもつ 」となり矛盾。次に、「異なる実数解をもつ → \(D<0\) 」と仮定すると,Ⅲより「異なる実数解をもつ → \(D<0\) →実数解をもたない」となり矛盾。
\(D\)は 、\(D>0,D=0,D<0\) のいずれかで、\(D=0,D<0\) が背理法により否定されるので、残りの \(D>0\)が正しい結論になります。
したがって「異なる実数解をもつ→\(D>0\)」は真となります。ⅡとⅢの逆も同様です。
まず、Ⅰの逆を証明しようと考えます。
背理法を用います。
「異なる実数解をもつ → \(D=0\) 」と仮定すると、Ⅱより、「異なる実数解をもつ → \(D=0\) → 重解をもつ 」となり矛盾。次に、「異なる実数解をもつ → \(D<0\) 」と仮定すると,Ⅲより「異なる実数解をもつ → \(D<0\) →実数解をもたない」となり矛盾。
\(D\)は 、\(D>0,D=0,D<0\) のいずれかで、\(D=0,D<0\) が背理法により否定されるので、残りの \(D>0\)が正しい結論になります。
したがって「異なる実数解をもつ→\(D>0\)」は真となります。ⅡとⅢの逆も同様です。
(解答)
与えられた真である3つの命題の仮定はすべての場合をつくしていて、その結論はどの2つも両立することがない。したがって転換法よりこれらの命題の逆はすべて成り立つ。
与えられた真である3つの命題の仮定はすべての場合をつくしていて、その結論はどの2つも両立することがない。したがって転換法よりこれらの命題の逆はすべて成り立つ。
今まで紹介した、「対偶を用いた証明、背理法、転換法」は間接証明法とよばれます。仮定から間接的に結論を導いています。これに対して、仮定から順に論理を展開して直接結論を導く証明法を直接証明法といいます。直接証明法のほうが感覚的には真っすぐに証明しているので思いつきやすいです。間接証明法はすぐには思いつかないこともあるので、頭の引き出しに「対偶証明や背理法」を入れておいてください。
以上になります。お疲れ様でした。
ここまで見て頂きありがとうございました。