法線

法線の方程式について学んでていきます。

 

法線の意味は覚えておくようにしてください。法線が何を表しているか分からないと問題が解けない場合があります。

 

・法線

法線 微分

曲線 \(y=f(x)\) 上の点\(A(a,f(a))\) を通り、点\(A\)における接線と直交する直線を、点\(A\)における法線(ほうせん)とよびます。

点\(A\)における接線の傾きは、\(f'(a)\) なので、
\(f'(a)≠0\) のとき、直交するときは傾きの積が\(-1\)だから、法線の傾きは \(-\displaystyle\frac{1}{f'(a)}\)

したがって、点\(A\)における法線の方程式は

\(y-f(a)=-\displaystyle\frac{1}{f'(a)}(x-a)\)  (\(f'(a)≠0\))

 

 

(例題1)
(1) \(y=x^2\) 上の 点\(P(t,t^2)\) における法線の方程式を求めよ。

(2) 曲線 \(y=x^3-3x^2+2x+1\) について、傾きが\(1\)である法線の方程式と、この法線と曲線との共有点の座標を求めよ。

 

 

(解答)
(1)

\(y’=2x\) より、\(x=0\)で接線の傾きが\(0\)となるので、\(t=0\) と \(t≠0\) で場合分けしていきます。

法線 例題1 (1)

\(y’=2x\) より
\(t≠0\) のとき法線の方程式は
\(y-t^2=-\displaystyle\frac{1}{2t}(x-t)\)

両辺\(2t\)倍して整理すると
\(x+2ty-2t^3-t=0\)・・・①

\(t=0\) のとき法線の方程式は
\(x=0\) (\(y\)軸)であり、これは①で\(t=0\) とすればよい。

したがって法線の方程式は
\(x+2ty-2t^3-t=0\)

 

(2)
\(y=x^3-3x^2+2x+1\)・・・② において
\(y’=3x^2-6x+2\)

法線の傾きが\(1\)だから
\(-\displaystyle\frac{1}{3x^2-6x+2}=1\)
\(3x^2-6x+2=-1\)
(\(3x^2-6x+2≠0\)を満たす)
\(3(x^2-2x+1)=0\)
\((x-1)^2=0\)
\(x=1\)

\(x=1\) のとき \(y=1-3+2+1=1\) より
法線の方程式は
\(y-1=1\cdot(x-1)\)
\(y=x\)

また \(y=x\) と ②より \(y\)を消去して
\(x^3-3x^2+2x+1=x\)
\(x^3-3x^2+x+1=0\)・・・③

法線と曲線は 点\((1,1)\) を通るので、③は \(x=1\) を解としてもちます。方程式を解くヒントや計算間違いがないかの確認に使ってください。

\((x-1)(x^2-2x-1)=0\)

\(x=1,1±\sqrt{2}\)

\(y=x\) より共有点の座標は
\((1,1),(1+\sqrt{2},1+\sqrt{2}),(1-\sqrt{2},1-\sqrt{2})\)

法線 例題1(2)

 

 

(例題2)
曲線 \(C:y=x^3-tx\) 上の点\(P(a,a^3-ta)\)  (\(a>0\)) における接線が\(C\)と交わる点を\(Q\)とする。

(1)点\(Q\)の\(x\)座標を\(a\)を用いて表せ。
(2)点\(Q\)における\(C\)の接線が直線\(PQ\)と直交するための条件を求めよ。
(3) (2)を満たす \(a>0\) の値がただ1つ決まるのは\(t\)がどのような値のときか。

 

 

(解答)
(1)

接線の方程式を立てて、曲線\(C\)と連立します。

\(y=x^3-tx\)・・・① において
\(y’=3x^2-t\)

よって、点\(P(a,a^3-ta)\) における接線の方程式は
\(y=(3a^2-t)(x-a)+(a^3-ta)\)
整理すると
\(y=(3a^2-t)x-2a^3\)・・・②

①②より
\(x^3-tx=(3a^2-t)x-2a^3\)
\(x^3-3a^2x+2a^3=0\)

\(x=a\) で接しているので、\(x=a\) を重解にもちます。

\((x-a)^2(x+2a)=0\)

したがって 点\(Q\)の\(x\)座標は
\(x=-2a\)

 

(2)

直交するので、「傾きの積=-1」 です。

点\(Q\)の\(y\)座標は
\(y=(-2a)^3-t(-2a)=-8a^3+2ta\)

よって、直線\(PQ\)の傾きは \(a≠0\) より
\(\displaystyle\frac{a^3-ta-(-8a^3+2ta)}{a-(-2a)}\)

\(=\displaystyle\frac{9a^3-3ta}{3a}\)

\(=3a^2-t\)

また点\(Q\)における接線の傾きは
\(y’=3(-2a)^2-t\)\(=12a^2-t\)

したがって直線\(PQ\)と点\(Q\)における接線が直交する条件は
\((3a^2-t)(12a^2-t)=-1\)・・・③

 

(3)

③を満たす正の数\(a\)がただ1つ存在するような\(t\)を求めるという問題です。
\(a\)の4次式となっていますが、\(a^2=X\) とおくことで2次式におとせるので、\(X\)の2次方程式の解について考えていきます。

③において \(X=a^2\) とおくと

\((3X-t)(12X-t)=-1\)
整理して
\(36X^2-15tX+t^2+1=0\)・・・④

\(X\)の方程式④は、\(t\)の値によって正の解をもったり負の解をもったりすると考えられますが、\(X=a^2\) より、\(X\)がまず正の解でないと\(a\)が実数として存在しません。また、仮にその\(X\)を\(5\)とすると、\(5=a^2\) より、\(a=±\sqrt{5}\) であるから、正の解\(X\)1つに対して、正の数\(a\)が1つ存在することになります。また、\(X\)が異なれば\(a\)も異なるので、結局方程式④が正の解をただ1つだけ持てばよいことになります。正の解をただ1つもつ場合は (i)正の重解をもつ (ii)正の解1つと0以下の解1つ の2パターンですが、(ii)は④の左辺の2次関数のグラフを考えると不適であることが分かります。

\(X\)の方程式④が正の解をただ1つもつとき、③を満たす正の数\(a\)がただ1つ存在する。

方程式④が正の解をただ1つもつときは次の場合が考えられる。
(i)正の重解をもつ
(ii)正の解を1つもち、0以下の解を1つもつ

ただし
\(f(X)=36X^2-15tX+t^2+1\)
とおくと、\(f(0)=t^2+1>0\) より、(ii)は不適であることが分かるので、(i)だけを考えればよい。

\(36X^2-15tX+t^2+1=0\) が重解をもつから \(D=0\) より

\((15t)^2-4\cdot36(t^2+1)=0\)
\(t^2=\displaystyle\frac{144}{81}\)
\(t=±\displaystyle\frac{4}{3}\)

ここで、重解は
\(X=\displaystyle\frac{15}{72}t\) だから
\(t=-\displaystyle\frac{4}{3}\) のときは、負の重解となり不適。

よって
\(t=\displaystyle\frac{4}{3}\)

 

ちなみに\(a\)がどうなるか求めてみると、
\(X=\displaystyle\frac{15}{72}\cdot\displaystyle\frac{4}{3}=\displaystyle\frac{5}{18}\)
\(X=a^2\) だから
\(a^2=\displaystyle\frac{5}{18}\) より
\(a=\sqrt{\displaystyle\frac{5}{18}}\)
です。

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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