関数方程式と導関数

関数方程式と微分に関する例題です。

以下の例題で扱うような、未知の関数に関する方程式を関数方程式とよびます。
よく扱う \(x^2+2x-1=0\) のような方程式の未知数\(x\)が関数\(f(x)\)におきかわったものです。

 

(例題1)
すべての実数\(x\)の値において微分可能な関数\(f(x)\)は次の2条件を満たすものとする。

・すべての実数\(x,y\)に対して
\(f(x+y)=f(x)+f(y)+8xy\)

・\(f'(0)=3\)

ここで、\(f'(a)\)は関数\(f(x)\)の \(x=a\) における微分係数である。

(1)\(f(0)\) を求めよ。
(2)\(\displaystyle\lim_{y \to 0}\displaystyle\frac{f(y)}{y}\) を求めよ。
(3)\(f'(1),\ f'(-1)\) を求めよ。
(4)\(f'(x)\) を求めよ。
(5)\(f(x)\) を求めよ。

 

誘導に沿って最終的に未知の関数\(f(x)\)を求めます。

(解答)
(1)

\(f(x+y)=f(x)+f(y)+8xy\) は任意の\(x,y\)で成り立つので、好きな値を代入することができます。\(f(0)\)を求めたいので、\(x=y=0\) を代入します。

\(f(x+y)=f(x)+f(y)+8xy\)
で、\(x=y=0\) を代入すると
\(f(0)=f(0)+f(0)+0\)

よって
\(f(0)=0\)

\(x,y\)両方に代入してうまくいかない場合には、片方だけ代入するとよいことが多いです。

 

(2)

(1)で\(f(0)=0\)と分かったので、微分の定義が使えます。

\(\displaystyle\lim_{y \to 0}\displaystyle\frac{f(y)}{y}\)

\(=\displaystyle\lim_{y \to 0}\displaystyle\frac{f(y)-f(0)}{y-0}\)

(微分可能だから)

\(=f'(0)\)

\(=3\)

 

(3)

微分の定義が使えるようにうまく関数方程式に代入します。

\(f(x+y)=f(x)+f(y)+8xy\)・・・①

①に \(x=1\) を代入して・・・(注)
\(f(1+y)=f(1)+f(y)+8y\)
よって
\(f(1+y)-f(1)=f(y)+8y\)
となるから

\(f'(1)=\displaystyle\lim_{y \to 0}\displaystyle\frac{f(1+y)-f(1)}{y}\)

\(=\displaystyle\lim_{y \to 0}\displaystyle\frac{f(y)+8y}{y}\)

\(=\displaystyle\lim_{y \to 0}\{\displaystyle\frac{f(y)}{y}+8\}\)

\(=3+8\) ((2)より)

\(=11\)

同様に①に \(x=-1\) を代入して
\(f(-1+y)=f(-1)+f(y)-8y\)
\(f(-1+y)-f(-1)=f(y)-8y\)

よって
\(f'(-1)=\displaystyle\lim_{y \to 0}\displaystyle\frac{f(-1+y)-f(-1)}{y}\)

\(=\displaystyle\lim_{y \to 0}\displaystyle\frac{f(y)-8y}{y}\)

\(=\displaystyle\lim_{y \to 0}\{\displaystyle\frac{f(y)}{y}-8\}\)

\(=3-8\) ((2)より)

\(=-5\)

(注)について
\(y\)も \(y=h\) と代入するとより分かりやすくなると思います。

 

(4)

(3)と同じ作業をします。\(f'(1),f'(-1)\) の \(1,-1\) が\(x\)になっているだけです。

\(f(x+y)=f(x)+f(y)+8xy\)・・・①

に \(y=h\) を代入して
\(f(x+h)=f(x)+f(h)+8xh\)
よって
\(f(x+h)-f(x)=f(h)+8xh\)

ゆえに
\(f'(x)=\displaystyle\lim_{h \to 0}\displaystyle\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\)

\(=\displaystyle\lim_{h \to 0}\displaystyle\frac{f(h)+8xh}{h}\)

\(=\displaystyle\lim_{h \to 0}\{\displaystyle\frac{f(h)}{h}+8x\}\)

\(=3+8x\) ((2)より)

 

(5)

\(f'(x)=8x+3\) と分かったので、積分します。積分定数があることに注意です。

(4)より
\(f'(x)=8x+3\)
よって
\(f(x)=\displaystyle\int(8x+3)dx=4x^2+3x+C\)

(1)より \(f(0)=0\) だから
\(f(0)=0+0+C=0\)
ゆえに \(C=0\) となるから

\(f(x)=4x^2+3x\)

 

(参考)
問題文に、\(f(x)\)が微分可能という明記があるので、関数方程式を直接微分して\(f'(x)\)を求めることも可能です。

\(f(x+y)=f(x)+f(y)+8xy\)・・・①
について、\(x\)を固定して(定数とみて)、\(y\)で微分すると
\(f'(x+y)\cdot1=0+f'(y)+8x\)

\(y=0\) を代入すると
\(f'(x)=f'(0)+8x=3+8x\)

よって
\(f'(x)=8x+3\)

あとは、(1)と同様に \(f(0)=0\) を導けば、\(f(x)\)が分かり、残りの問すべてが分かります。

\(x\)を固定するという意味は、具体例で考えると

\(x=1\) のとき①は
\(f(1+y)=f(1)+f(y)+8y\)
であり、\(y\)で微分すると
\(f'(1+y)=f'(y)+8\)
となり、\(y=0\) を代入して
\(f'(1)=f'(0)+8=3+8=11\)

\(x=-1\) のとき①は
\(f(-1+y)=f(-1)+f(y)-8y\)
であり、\(y\)で微分すると
\(f'(-1+y)=f'(y)-8\)
となり、\(y=0\) を代入して
\(f'(-1)=f'(0)-8=3-8=-5\)

であり(これらは(3)の結果と一致する)、この \(x=1,-1\) を文字定数\(x\)として扱うということです。

 

 

 

(例題2)
関数\(f(x)\)は、次の2つの条件を満たしている。

(A)すべての実数\(x,y\)に対して
\(f(x+y)=f(x)+f(y)+xy\)
(B)\(x=0\)で微分可能で、\(f'(0)=1\)

(1)\(f(0)\)の値を求めよ。
(2)すべての実数\(x\)において、\(f(x)\)が微分可能であることを示し、\(f(x)\)を求めよ。

 

今回は\(x=0\)以外では微分可能であることが分からないので(そもそも(2)で示す内容)、直接方程式を微分する方法ではダメです。よって微分の定義から求めていきます。

(解答)
(1)
\(f(x+y)=f(x)+f(y)+xy\)・・・①

①に \(x=y=0\) を代入して
\(f(0)=f(0)+f(0)\)
よって \(f(0)=0\)

(2)
①で \(y=h\) とすると
\(f(x+h)=f(x)+f(h)+xh\)
よって
\(f(x+h)-f(x)=f(h)+xh\)

ゆえに
\(\displaystyle\lim_{h \to 0}\displaystyle\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\)・・・②

\(=\displaystyle\lim_{h \to 0}\displaystyle\frac{f(h)+xh}{h}\)

\(=\displaystyle\lim_{h \to 0}\{\displaystyle\frac{f(h)}{h}+x\}\)

(1項目は、\(f'(0)\) の形にできる)

\(=\displaystyle\lim_{h \to 0}\{\displaystyle\frac{f(0+h)-f(0)}{h}+x\}\) ((1)の結果\(f(0)=0\) より)

\(=f'(0)+x\)

\(=1+x\)

したがって、極限値②が存在するので、\(f(x)\)はすべての実数\(x\)で微分可能で
\(f'(x)=x+1\)

さらに
\(f(x)=\displaystyle\int(x+1)dx=\displaystyle\frac{1}{2}x^2+x+C\)
であり、\(f(0)=0\) より
\(0=0+0+C\)
\(C=0\)

よって
\(f(x)=\displaystyle\frac{1}{2}x^2+x\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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