高次方程式の実数解のとりうる範囲

高次方程式の実数解の存在範囲に関する問題について見ていきます。

 

2次関数のときと同じようにグラフを書いて、\(x\)軸との共有点を考えたり、文字定数を分離してグラフとの共有点の\(x\)座標を検討します。

 

 

(例題1)
3次方程式 \(2x^3-3x^2-12x+a=0\) の解が、2つの異なる負の数と1つの正の数であるための\(a\)の条件を求めよ。

 

 

 

定数\(a\)が簡単に分離できます。

\(a=-2x^3+3x^2+12x\) (\(=f(x)\)) とすると

直線 \(y=a\) と 曲線 \(y=f(x)\) の共有点が3つであり、それら共有点の\(x\)座標が2つ負の数で、1つ正の数である場合を考えればよい。

\(f'(x)=-6(x+1)(x-2)\) より増減表とグラフは次の通り。

微分 実数解の範囲 例題1

グラフより、単に異なる3つの実数解をもつのは \(-7<a<20\) です。
このうち2つが負、1つが正のときは交点の\(x\)座標を考えると、\(-7<a<0\) です。
ちなみに、
\(a=0\) だと 「負,0,正」
\(0<a<20\) だと 「負,正,正」
となります。

したがって条件を満たす\(a\)の値の範囲は
\(-7<a<0\)

 

 

(例題2)
4次方程式 \(3x^4-4x^3-12x^2-k=0\) が互いに異なる4つの実数解をもつための\(k\)の値の範囲は \(□<k<□\) である。このとき、4つの実数解のうち最大のものを\(α\)とする。\(k\)が上の範囲を変化するとき、\(α\)のとり得る値の範囲は \(□<α<□\) である。

 

 

 

同様に定数分離します。

(解答)
(前半部分)
\(3x^4-4x^3-12x^2=k\) において \(f(x)=\)(左辺) とすると、
\(y=f(x)\) と \(y=k\) の共有点が4つ存在するときの\(k\)の値の範囲を求めればよい。

\(f'(x)=12x(x+1)(x-2)\) より
\(f'(x)=0\) となるのは、\(x=-1,0,2\) で増減表とグラフは次の通り。

微分 実数解の範囲 例題2-1

微分 実数解の範囲 例題2-2

したがって、方程式が異なる4つの実数解をもつときは
\(-5<k<0\)

 

(後半部分)

最大の解 \(α\)は、グラフの4つ交点のうち\(x\)座標が最大となるもの(点\(P\)とします)の\(x\)座標となります。\(-5<k<0\) の範囲で \(y=k\) が動くとき、点\(P\)は下図の \(A\)から\(B\)までを動くので、\(α\)は、\(A\)から\(B\)の\(x\)座標の間を動くことになるため、\(A,B\)の\(x\)座標を求めればよいことになります。
したがって、\(f(x)=-5\) と \(f(x)=0\) を解けばよいのですが、それぞれ重解が \(x=-1\), \(x=0\) となることに着目するとスムーズに解くことができます。

微分 実数解の範囲 例題2-3

4つの交点のうち\(x\)座標が最大となるものを点\(P\)とすると、点\(P\)は図の点\(A,B\)の間を動く。よって、
\((点Aのx座標)<α<(点Bのx座標)\)

点\(A\)について
\(3x^4-4x^3-12x^2=-5\) を解くと
\(3x^4-4x^3-12x^2+5=0\)
\((x+1)^2(3x^2-10x+5)=0\)

\(3x^2-10x+5=0\) より
\(x=\displaystyle\frac{5±\sqrt{10}}{3}\)

\(f(x)=-5\) の解は3つ(交点が3つ)で、そのうち1つが\(x=-1\)(重解)、残りが今求めた2つです。このうち点\(A\)の\(x\)座標は一番大きい \(x=\displaystyle\frac{5+\sqrt{10}}{3}\) となります。

このうち 点\(A\)の\(x\)座標は大きい方だから
\(x=\displaystyle\frac{5+\sqrt{10}}{3}\)

点\(B\)についても同様に
\(3x^4-4x^3-12x^2=0\) を解くと
\(x^2(3x^2-4x-12)=0\)

\(3x^2-4x-12=0\) より
\(x=\displaystyle\frac{2±2\sqrt{10}}{3}\)
このうち大きい方が点\(B\)の\(x\)座標となるので
\(x=\displaystyle\frac{2+2\sqrt{10}}{3}\)

以上から
\(\displaystyle\frac{5+\sqrt{10}}{3}<α<\displaystyle\frac{2+2\sqrt{10}}{3}\)

 

(参考)
残りの3つの解の範囲も同様に求めることができます。
実数解を小さい順に、\(β,γ,δ\) とすると図より

微分 実数解の範囲 例題2 参考

\(\displaystyle\frac{2-2\sqrt{10}}{3}<β<-1\)

\(-1<γ<0\)

\(0<δ<\displaystyle\frac{5-\sqrt{10}}{3}\)

 

\(\displaystyle\frac{2-2\sqrt{10}}{3},\displaystyle\frac{5-\sqrt{10}}{3}\) は解答で捨てた方の解です。

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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