平均値の定理と不等式の証明

平均値の定理を利用する不等式の証明問題です。

 

(例題1)
\(e\)を自然対数の底とする。\(e≦p<q\) のとき、不等式
\(\log(\log q)-\log(\log p)<\displaystyle\frac{q-p}{e}\)
が成り立つことを証明せよ。

 

2変数の不等式なので、1文字固定して微分するなどのような方法も考えられますが、左辺が同じ形の差になっている(右辺も\(p,q\)の差になっている)ことに着目して平均値の定理を利用するとスマートです。

(解答)
\(f(x)=\log(\log x)\)  (\(x>1\)) とおく。
(\(x>0\) かつ \(\log x>0\) より、\(x>1\))

また
\(f'(x)=\displaystyle\frac{1}{\log x}\cdot\displaystyle\frac{1}{x}\)

よって \(e≦p<q\) より、\(f(x)\)は区間\([p,q]\)で連続、区間\((p,q)\)で微分可能だから、平均値の定理より

\(\displaystyle\frac{\log(\log q)-\log(\log p)}{q-p}=\displaystyle\frac{1}{c\log c}\)・・・①
\(p<c<q\)・・・②

を満たす\(c\)が存在する。

①式がほとんど目的の不等式に近い形なので、②や \(e≦p<q\) を用いて近づけていきます。

ここで②と \(e≦p<q\) より
\(e<c\)

よって自然対数をとると
\(1<\log c\)

正の値であることからこれら2式の辺々を掛けると
\(e<c\log c\)
ゆえに
\(\displaystyle\frac{1}{e}>\displaystyle\frac{1}{c \log c}\)・・・③

したがって①③より、\(q-p>0\) であるから
\(\log(\log q)-\log(\log p)\)\(=\displaystyle\frac{1}{c\log c}(q-p)\)\(<\displaystyle\frac{1}{e}(q-p)\)

 

 

 

(例題2)
任意の実数\(x,h\)に対して、次の不等式(1),(2)が成り立つことを示せ。

(1)\(|\sin(x+h)-\sin x|≦|h|\)
(2)\(|\cos(x+h)-\cos x+h\sin x|≦h^2\)

 

2変数の不等式で絶対値つきですが、同様に平均値の定理を利用すると証明できます。
今回は証明したい不等式に形が似ている\(θ\)型のほうで証明していきます。(もう一方の形式でもOK)
\(h\)の正負が定まってないので、正負で区間の両端が入れ替わるので場合分けしますが、結局は同じ式になります。

(1)
\(f(x)=\sin x\) とおくと、\(f(x)\)はすべての実数\(x\)で連続かつ微分可能。
\(f'(x)=\cos x\) だから

(ア)\(h≠0\)のとき
(i)\(h>0\) のとき
\(\sin(x+h)-\sin x=h\cos(x+θh)\) (\(0<θ<1\))
を満たす\(θ\)が存在する。

(ii)\(h<0\) のとき
\(\sin x-\sin(x+h)=-h\cos(x+θh)\) (\(0<θ<1\))
を満たす\(θ\)が存在する。

(ii) のとき区間は \([x+h,x]\) になるので
\(\displaystyle\frac{\sin x-\sin(x+h)}{x-(x+h)}=\cos(x+θh)\)

よって(i)(ii)はまとめることができる。
\(\sin(x+h)-\sin x=h\cos(x+θh)\) (\(0<θ<1\))

したがって
\(|\sin(x+h)-\sin x|\)\(=|h||\cos(x+θh)|\)\(≦|h|\)

(イ)\(h=0\) のとき
\(|\sin(x+h)-\sin x|=0\)
\(|h|=0\) より
\(|\sin(x+h)-\sin x|=|h|\)

以上より
\(|\sin(x+h)-\sin x|≦|h|\)
が成り立つ。

 

(2)

左辺 \(|\cos(x+h)-\cos x+h\sin x|\)
の前2項で平均値の定理を用いて、さらにもう1回平均値の定理を使います。
(1)で検討したように、\(h\)の正負で平均値の定理の等式は変わらないので、今回は \(h=0\) かどうかで場合分けします。

\((\cos x)’=-\sin x\)、\((\sin x)’=\cos x\)

(ア)\(h≠0\) のとき
(1)と同様に平均値の定理より、\(0<θ_1<1\)、\(0<θ_2<1\) 満たす\(θ_1,θ_2\)について

\(|\cos(x+h)-\cos x+h\sin x|\)
\(=|-\sin(x+θ_1h)×h+h\sin x|\)
\(=|-h||\sin(x+θ_1h)-\sin x|\)

(\(h\)が\(θ_1h\)におきかわっていると考えて)

\(=|h||θ_1h\cos(x+θ_2θ_1h)|\)

\(=h^2|θ_1||\cos(x+θ_2θ_1h)|\)\(<h^2\)

(イ)\(h=0\) のとき
\(|\cos(x+h)-\cos x+h\sin x|=0\)
\(h^2=0\) だから
\(|\cos(x+h)-\cos x+h\sin x|=h^2\)

したがって
\(|\cos(x+h)-\cos x+h\sin x|≦h^2\)
が成り立つ。

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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