グラフの概形まとめ(漸近線など)

グラフを書くときの手順について見ていきます。

 

・グラフの概形(グラフを書く手順)
\(y=f(x)\) のグラフを書くときには、次のような点に注意します。

①グラフの存在範囲(定義域)
もともと\(x\)の範囲に制限がある場合や、根号の中身が正、真数条件、分数式で分母が\(0\)になるときなど、除かれる\(x\)の範囲に注意する。

②対称性・周期性
対称性(\(x,y\)軸、原点対称)、周期性があれば、部分的にグラフを考えて最後に全体図を描く。
グラフを書く手間が格段に省けるので、できる限り見つけるようにする。

③関数の増減と極値
グラフを書くときの肝。増減表を作るとよい。

④定義域の端点での\(y\)
端点で\(y\)がどのような値になるか(どのような値に近づくか)について調べる。
特に、\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}f(x)\)、\(\displaystyle\lim_{x \to -\infty}f(x)\) は重要。

⑤曲線の凹凸、変曲点
増減表に凹凸についても書くとよい。

⑥座標軸との交点
\(x\)切片、\(y\)切片を求める。
\(x\)切片は、\(f(x)=0\) の実数解になる。

⑦特殊な点での様子
微分可能でない点や、不連続な点などについて気をつける。

⑧漸近線
これについては少し知識が必要なので、後述します。

問題を解く上で影響がなければ一部省略してもよいです。
①③④⑦は必須です。

 

 

・漸近線
曲線が限りなく近づくある一定の直線を、漸近線といいます。(グラフが原点から無限に遠ざかる場合について考える)
漸近線の方程式は、極限を考えることで求めることができますが、\(y=ax+b\) の形では \(x\)軸に垂直な直線の方程式を表すことができないので、場合分けして考えることになります。

(ア)漸近線が\(x\)軸に垂直な場合
\(\displaystyle\lim_{x \to α+0}f(x)\)、\(\displaystyle\lim_{x \to α-0}f(x)\) の少なくとも一方が \(+\infty\) または \(-\infty\) になれば、\(x=α\) が漸近線となります。

(例)
\(y=\displaystyle\frac{1}{x-1}\)
\(\displaystyle\lim_{x \to 1+0}\displaystyle\frac{1}{x-1}=+\infty\)、\(\displaystyle\lim_{x \to 1-0}\displaystyle\frac{1}{x-1}=-\infty\)
より、直線 \(x=1\) は漸近線。

\(y=\log x\)
\(\displaystyle\lim_{x \to +0}\log x=-\infty\) より、直線 \(x=0\) (\(y\)軸) は漸近線。

 

(イ) (ア)以外の場合
\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}\{f(x)-(ax+b)\}=0\)・・・(i) (\(\displaystyle\lim_{x \to -\infty}\{f(x)-(ax+b)\}=0\))
が成り立てば、\(y=ax+b\) が漸近線となります。

\(a,b\)を求めるには
(i)より
\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}\{\displaystyle\frac{f(x)-(ax+b)}{x}\}=0\)  (\(\displaystyle\frac{0}{+\infty}\) 型 で\(0\)になる)
となるので

\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}\{\displaystyle\frac{f(x)}{x}-a-\displaystyle\frac{b}{x}\}=0\)

\(\displaystyle\frac{b}{x} \to 0\) だから
\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}\{\displaystyle\frac{f(x)}{x}-a\}=0\) (\(b\)が消去できた)

つまり
\(a=\displaystyle\lim_{x \to \infty}\displaystyle\frac{f(x)}{x}\)・・・①

また(i)より
\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}\{(f(x)-ax)-b\}=0\)
なので、
\(b=\displaystyle\lim_{x \to \infty}\{f(x)-ax\}\)・・・②
この式に求めた\(a\)を代入すれば\(b\)も求まります。

特に、\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}f(x)=β\) (収束する)
場合には、漸近線が \(y=β\) (\(x\)軸に平行)となることはすぐに分かりますが、これは①②より \(a=0\)、\(b=β\) となることと合致します。

(例)\(f(x)=\displaystyle\frac{1}{x}+2\)
\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}(\displaystyle\frac{1}{x}+2)=2\)、\(\displaystyle\lim_{x \to -\infty}(\displaystyle\frac{1}{x}+2)=2\)
より、\(y=2\) は漸近線。

 

また、式変形で漸近線の方程式が簡単に分かる場合もあります。
例えば
\(f(x)=\displaystyle\frac{x^2+1}{x}=x+\displaystyle\frac{1}{x}\)
より、\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}\displaystyle\frac{1}{x}=0\) なので、\(x\)が十分大きいとき \(f(x)≒x\) となり、 \(y=x\) が漸近線であることが分かります。
(実際、\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}\{f(x)-x\}=\displaystyle\lim_{x \to \infty}\displaystyle\frac{1}{x}=0\) )

 

なお①②の極限値が存在しない場合には、漸近線は存在しないことになります。

 

 

(例題)
曲線 \(y=\displaystyle\frac{x^3}{(x+1)^2}\) の漸近線を求めよ。

 

(解答)
\(x=-1\) のとき分母は\(0\)。(他の有限な\(x\)に対しては\(y\)は有限)
\(\displaystyle\lim_{x \to -1+0}\displaystyle\frac{x^3}{(x+1)^2}=-\infty\)、\(\displaystyle\lim_{x \to -1-0}\displaystyle\frac{x^3}{(x+1)^2}=-\infty\)
より、\(x=-1\) は漸近線。

また、漸近線を \(y=ax+b\) とおくと
\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}\displaystyle\frac{y}{x}\)\(=\displaystyle\lim_{x \to \infty}\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{x^3}{(x+1)^2}}{x}\)

\(=\displaystyle\lim_{x \to \infty}\displaystyle\frac{x^2}{(x+1)^2}\)

\(=1\)
よって、\(a=1\)

\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}\{\displaystyle\frac{x^3}{(x+1)^2}-1\cdot x\}\)

\(=\displaystyle\lim_{x \to \infty}\displaystyle\frac{-2x^2-x}{(x+1)^2}\)

\(=-2\)
よって、\(b=-2\)

\(x \to -\infty\) の場合も同様に \(a=1\)、\(b=-2\) だから
漸近線は \(y=x-2\)

答 \(x=-1\)、\(y=x-2\)

(別解)
後半部分に関しては、分子の次数を下げると(割り算してもよい)
\(y=\displaystyle\frac{x^3}{(x+1)^2}=\displaystyle\frac{(x+1)^3-3x^2-3x-1}{(x+1)^2}\)

\(=\displaystyle\frac{(x+1)^3-3(x+1)^2+6x+3-3x-1}{(x+1)^2}\)

\(=(x+1)-3+\displaystyle\frac{3x+2}{(x+1)^2}\)

\(=x-2+\displaystyle\frac{3x+2}{(x+1)^2}\)

より、\(y=x-2\) が漸近線となることが分かる。

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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