実数係数の2次方程式について、判別式 \(D=b^2-4ac\) と解の種類の関係について見ていきます。
・判別式\(D\)
実数係数の2次方程式 \(ax^2+bx+c=0\)・・・①の解は
\(x=\displaystyle\frac{-b±\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\)
であり、ルートの中身の符号によって実数の解(実数解)となったり虚数の解(虚数解)となったりします。
よって、\(b^2-4ac=D\) とおいて\(D\)の符号で場合分けして考えると
2解を、\(α=\displaystyle\frac{-b-\sqrt{D}}{2a}\), \(β=\displaystyle\frac{-b+\sqrt{D}}{2a}\) として
(i)\(D>0\) \(→\) \(\sqrt{D}\)は\(0\)でない実数 \(→\) \(α,β\)は異なる実数 (①は異なる2つの実数解をもつ)
(ii)\(D=0\) \(→\) \(\sqrt{D}\)は\(0\) \(→\) \(α,β\)は同じ実数 (①は実数の重解をもつ)
(iii)\(D<0\) \(→\) \(\sqrt{D}\)は虚数 \(→\) \(α,β\)は異なる虚数 (①は異なる2つの虚数解をもつ)
ということが成り立ちます。またこの逆も成り立ちます。
\(D=b^2-4ac\) の値が正負\(0\)のどれかによって、2次方程式の解が実数解であるか重解であるか虚数解であるか判別できるので、この\(D\)を2次方程式の判別式とよびます。
(i)\(D>0\) \(\leftrightarrow\) 異なる2つの実数解をもつ
(ii)\(D=0\) \(\leftrightarrow\) 実数の重解をもつ
(まとめて \(D≧0\) \(\leftrightarrow\) 実数解をもつ)
(iii)\(D<0\) \(\leftrightarrow\) 異なる2つの虚数解(互いに共役な複素数)をもつ
※\(D<0\)のとき、2解\(α,β\)は虚部の符号だけが違う互いに共役な複素数です。
なお、\(x\)の係数が\(2×\)の形のときは、\(b=2b’\)とすると
\(D=b^2-4ac=4b’^2-4ac=4(b’^2-ac)\)
より、\(b’^2-ac\) \((=\displaystyle\frac{D}{4})\) の符号を調べてもよいです。
(例題1)次の2次方程式の解を判別せよ。
(1)\(2x^2-3x+5=0\)
(2)\(16x^2-24x+9=0\)
(解答)
(1)
\(D=(-3)^2-4・2・5=9-40=-31<0\)
よって、異なる2つの虚数解をもつ。
(2)
\(b’=-12\)として
\(\displaystyle\frac{D}{4}=(-12)^2-16・9=144-144=0\)
よって、実数の重解をもつ。
(例題2)
\(k\)を実数の定数とする。\(x\)の2次方程式
\(2x^2-2kx+k^2-3k+4=0\)
の解を判別せよ。また、重解のときはその解を求めよ。
\(x\)の係数が\(2×□\)の形なので\(\displaystyle\frac{D}{4}\)を考えます。
重解は\(D=0\)のときなので、解の公式より、\(x=\displaystyle\frac{-b}{2a}(=\displaystyle\frac{-b’}{a})\) となります。
(解答)
\(\displaystyle\frac{D}{4}\)
\(=k^2-2(k^2-3k+4)\)
\(=-k^2+6k-8\)
\(=-(k^2-6k+8)\)
\(=-(k-2)(k-4)\)
(i)\(D>0\)のとき
\((k-2)(k-4)<0\) より \(2<k<4\)
このとき異なる2つの実数解をもつ
(ii)\(D=0\)のとき
\((k-2)(k-4)=0\) より \(k=2,4\)
このとき重解をもつ。
重解は \(x=\displaystyle\frac{2k}{2・2}=\displaystyle\frac{k}{2}\) だから
\(k=2\)のとき \(x=1\)
\(k=4\)のとき \(x=2\)
(iii)\(D<0\)のとき
\((k-2)(k-4)>0\) より \(k<2\), \(k>4\)
このとき異なる2つの虚数解をもつ。
以上から
\(2<k<4\) のとき 異なる2つの実数解
\(k=2,4\) のとき 重解
\(k<2\), \(k>4\) のとき 異なる2つの虚数解
重解は\(k=2\)のとき \(x=1\), \(k=4\)のとき \(x=2\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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