a(x-α)(x-β)の利用

 

2次方程式 \(ax^2+bx+c=0\) の解を\(α,β\)とすると
\(ax^2+bx+c=a(x-α)(x-β)\) と表すことができます。

 

・恒等式 \(ax^2+bx+c=a(x-α)(x-β)\)
2次方程式 \(ax^2+bx+c=0\)の解を\(α,β\)とすると、解と係数の関係から
\(α+β=-\displaystyle\frac{b}{a}\), \(αβ=\displaystyle\frac{c}{a}\) であるから

\(ax^2+bx+c\)
\(=a(x^2+\displaystyle\frac{b}{a}x+\displaystyle\frac{b}{c})\)
\(=a\{x^2-(α+β)x+αβ\}\)
\(=a(x-α)(x-β)\)

と、解を用いて因数分解できることなります。
なお \(ax^2+bx+c=a(x-α)(x-β)\)は\(x\)についての恒等式です。

 

2次方程式 \(ax^2+bx+c=0\)の解を\(α,β\)とする。
\(ax^2+bx+c=a(x-α)(x-β)\)

 

 

(例題1)
(1)2次方程式 \((x-8)(x-9)+(x-10)(x-12)=0\) の2解を\(α,β\)とするとき、
\(2(11-α)(11-β)\) の値を求めよ。

(2)2次方程式 \((x-a)(x-b)-2x+1=0\) の解を\(α,β\)とするとき、
\((x-α)(x-β)+2x-1=0\) の解を\(a,b\)を用いて表せ。

 

 

(解答)
(1)

「方程式を展開→\(α+β,αβ\)の値を調べる→\(2(11-α)(11-β)\)を展開して値を求める」としても解けますが、せっかくなので\(ax^2+bx+c=a(x-α)(x-β)\)を利用します。\(x^2\)の係数\(a\)に注意です。

\((x-8)(x-9)+(x-10)(x-12)=0\)の\(x^2\)の係数は\(2\)なので

\((x-8)(x-9)+(x-10)(x-12)=2(x-α)(x-β)\)・・・(A)

(A)は\(x\)の恒等式なので\(x\)に適当な数を代入できます。
求める値に着目すると\(x=11\)と代入すればよさそうです。

\(x=11\)を代入すると
\(3・2+1・(-1)=2(11-α)(11-β)\)

よって
\(2(11-α)(11-β)\)\(=\)\(5\)

 

(2)
\((x-a)(x-b)-2x+1=0\)の\(x^2\)の係数は\(1\)なので
\((x-a)(x-b)-2x+1=(x-α)(x-β)\)

\(-2x+1\)を移項すると
\((x-a)(x-b)=(x-α)(x-β)+2x-1\)

これは、\((x-α)(x-β)+2x-1=0\)の解が\(x=a,b\)であることを表している。

よって解は \(x=a,b\)

 

 

(例題2)
2次方程式 \(x^2-px+1=0\) の2つの解を\(α,β\)とし、2次方程式 \(x^2-x+q=0\) の2つの解を\(γ,δ\)とする。このとき
\((γ-α)(γ-β)(δ-α)(δ-β)\)を\(p,q\)を用いて表せ。

 

(例題1)と同様の方針で解いてみます。

(解答)
\(x^2-px+1=(x-α)(x-β)\) より\(x=γ,δ\)を代入して

\(γ^2-pγ+1=(γ-α)(γ-β)\)・・・①
\(δ^2-pδ+1=(δ-α)(δ-β)\)・・・②

 

①②の積をとればよいですが、\(γ^2\)と\(δ^2\) の次数下げをしておきます(\(γ,δ\)は\(x^2-x+q=0\)の解なので、代入して等式が成り立つので、\(γ^2=\)・・・ ,\(δ^2=\)・・・ と表せます)
また、解と係数の関係から、\(γ+δ\),\(γδ\)も出しておきます。

ここで、\(γ,δ\)は\(x^2-x+q=0\)の解なので
\(γ^2-γ+q=0\), \(δ^2-δ+q=0\)
解と係数の関係から
\(γ+δ=1\), \(γδ=q\)

①②より
\((γ-α)(γ-β)(δ-α)(δ-β)\)

\(=(γ^2-pγ+1)(δ^2-pδ+1)\)・・・(※)

\(=\{(1-p)γ+1-q\}\{(1-p)δ+1-q\}\)

\(=(1-p)^2γδ+(1-p)(1-q)(γ+δ)\)\(+(1-q)^2\)

\(=(1-p)^2q+(1-p)(1-q)\)\(+(1-q)^2\)

\(=q-2pq+p^2q\)\(+1-p-q+pq\)\(+1-2q+q^2\)

\(=\)\(p^2q-pq+q^2-p-2q+2\)

 

 

(別解)
1個目の方程式にも、解と係数の関係を利用すると
\(α+β=p\), \(αβ=1\) なので
\((γ-α)(γ-β)(δ-α)(δ-β)\)を2個ずつ展開して
\(\{γ^2-(α+β)γ+αβ\}\)\(\{δ^2-(α+β)δ\)\(+αβ\}\)
\(=(γ^2-pγ+1)(δ^2-pδ+1)\)
となり、(※)と同じになり以下同様です。

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。

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