2次方程式が整数解をもつ条件に関する問題について見ていきます。
(例題)
2次方程式 \(x^2+(2+a)x+3-a=0\) が2つの整数解\(α,β\)をもつとき、\(a\)の値をすべて求めよ。
まずは解と係数の関係を用いた方法からです。
(解答1)解と係数の関係の利用
解と係数の関係から
\(α+β=-2-a\)・・・①
\(αβ=3-a\)・・・②
②-①から\(a\)を消去すると
\(αβ-α-β=5\)・・・③
\((α-1)(β-1)-1=5\)
\((α-1)(β-1)=6\)・・・④
\(α-1,β-1\)は整数で、④より
\((α-1,β-1)\)\(=(1,6),(6,1)\)\(,(2,3),(3,2)\)\(,(-3,-2),(-2,-3),\)\((-6,-1),(-1,-6)\)
よって
\((α,β)\)\(=(2,7),(7,2)\)\(,(3,4),(4,3)\)\(,(-2,-1),(-1,-2),\)\((-5,0),(0,-5)\)
①より、\(a=-2-(α+β)\) なので、それぞれの\(α,β\)を代入すると2個ずつ同じものとなり、
\(a=-11,-9,1,3\)
(解答2)解の公式で、\(D\)の部分を\(k^2\)とおく方法
\(x^2+(2+a)x+3-a=0\)を解くと
\(x=\displaystyle\frac{-(2+a)±\sqrt{(2+a)^2-4(3-a)}}{2}\)
\(=\displaystyle\frac{-(2+a)±\sqrt{a^2+8a-8}}{2}\)・・・(X)
解と係数の関係から
\(α+β=-(2+a)\) であり2解が整数のとき\(a\)も整数
よって2解が整数のとき
\(a^2+8a-8=k^2\)・・・(1) (\(k\)は0以上の整数)
(1)の左辺を平方完成して、因数分解できる形にします。
(1)より
\((a+4)^2-24=k^2\)
\((a+4)^2-k^2=24\)
\((a+4+k)(a+4-k)=24\)・・・(2)
まず大小関係に着目すると、\(k\)は\(0\)以上の整数なので、\(a+4+k≧a+4-k\)
次に偶奇に着目すると、\(a+4+k-(a+4-k)=2k\)=(偶数) なので、\(a+4+k\)と\(a+4-k\)の偶奇は一致します。
ここで、\(a+4+k-(a+4-k)=2k\) より、\(a+4+k≧a+4-k\) で、\(a+4+k\)と\(a+4-k\)の偶奇は一致。
よって(2)を満たす組合せは
\((a+4+k,a+4-k)\)\(=(12,2),(6,4),\)\((-2,-12),(-4,-6)\)
このうち例えば \(a+4+k=12\),\(a+4-k=2\)のときは辺々加えて
\(2a+8=14\) より \(a=3\)
他の場合も同様に求めると
\(a=1,-11,-9\)
よって、\(a=3,1,-11,-9\)が候補となる。
よって最後にこれらの\(a\)の値のときに、(X)が整数となるかどうか確かめます。
(X)にそれぞれの\(a\)の値を代入すると
\(a=3\) のとき \(x=\displaystyle\frac{-5±\sqrt{25}}{2}\) で適する。
\(a=1\) のとき \(x=\displaystyle\frac{-3±\sqrt{1}}{2}\) で適する。
\(a=-11\) のとき \(x=\displaystyle\frac{9±\sqrt{25}}{2}\) で適する。
\(a=-9\) のとき \(x=\displaystyle\frac{7±\sqrt{1}}{2}\) で適する。
以上より \(a=3,1,-11,-9\)
(解法3)\(a=・・・\)の形にする方法
すると\(x\)の分数式になるので、解と係数の関係から\(a\)が整数であることとあわせて\(a\)の値を求めます。
\(x^2+(2+a)x+3-a=0\)
解と係数の関係から \(α+β=-2(2+a)\)・・・(A) で、2解が整数のとき\(a\)も整数。
与式を\(a\)について整理すると
\((x-1)a=-x^2-2x-3\) であり、\(x=1\)とすると等式を満たさないため \(x≠1\)
よって
\(a=\displaystyle\frac{-x^2-2x-3}{x-1}\)\(=-x-3+\displaystyle\frac{-6}{x-1}\)・・・(B) (分子の次数が高いので割り算しました)
ここで\(x\)は整数で、\(a\)が整数となるとき、
\(x-1=1,2,3,6,-1,-2,-3,-6\)・・・(C) であり、(A)より1解が整数で\(a\)も整数だと、もう1解も整数なので、(C)のときの\(a\)の値はすべて条件を満たすことになる。
(C)より \(x=2,3,4,7,0,-1,-2,-5\) で、それぞれ(B)より\(a\)を求めると
\(a=-11,-9,-9,-11\)\(,3,1,1,3\)
以上より
\(a=1,3,-9,-11\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。