相反方程式について見ていきます。
・相反方程式
\(2x^4+x^3+3x^2+x+2=0\) のように、係数が左右対称な方程式を相反方程式(そうはんほうていしき)といいます。
相反方程式の解き方は次の通りです。
①偶数次(\(2n\)次)の場合には、両辺を\(x^n\)で割り、\(t=x+\displaystyle\frac{1}{x}\) とおき、次数が下がった\(t\)の方程式を解く
②奇数次の場合は、\(x=-1\)を代入して両端を順に足していくと\(x=-1\)が解であることがわかるので、\(x+1\)を因数にもつ。\(x+1\)でくくると、偶数次の相反方程式に帰着できる
※奇数次(最高次の係数は\(1\))の相反方程式を\(x+1\)でくくると、
\((x+1)(x^{n-1}+ax^{n-2}+・・・+bx+1)=0\)
となりますが、もとの方程式の\(x^{n-1}\)の係数と\(x\)の係数が等しいので、\(a+1=b+1\) よって\(a=b\)で、これを繰り返すと
\(x^{n-1}+ax^{n-2}+・・・+bx+1=0\) が相反方程式であることがわかります。
(例題1)次の方程式を解け。
(1)\(2x^4+x^3+x^2+x+2=0\)
(2)\(x^5+3x^4+x^3+x^2+3x+1=0\)
文字で割るので\(0\)でないことを断っておきます。
(解答)
(1)
\(x=0\)は、方程式の解ではないので \(x≠0\)
両辺を\(x^2\)で割ると
\(2x^2+x+1+\displaystyle\frac{1}{x}+\displaystyle\frac{2}{x^2}=0\)
\(2(x^2+\displaystyle\frac{1}{x^2})+(x+\displaystyle\frac{1}{x})+1=0\)
\(t=x+\displaystyle\frac{1}{x}\) とおくと
\(x^2+\displaystyle\frac{1}{x^2}=(x+\displaystyle\frac{1}{x})^2-2\) より 方程式は
\(2(t^2-2)+t+1=0\)
\(2t^2+t-3=0\)
\((2t+3)(t-1)=0\)
\(t=-\displaystyle\frac{3}{2},1\)
①\(t=-\displaystyle\frac{3}{2}\)のとき
\(x+\displaystyle\frac{1}{x}=-\displaystyle\frac{3}{2}\)
両辺\(2x\)倍して整理すると
\(2x^2+3x+2=0\)
よって \(x=\displaystyle\frac{-3±\sqrt{7}i}{4}\)
②\(t=1\) のとき
\(x+\displaystyle\frac{1}{x}=1\)
両辺\(x\)倍して整理すると
\(x^2-x+1=0\) だから
\(x=\displaystyle\frac{1±\sqrt{3}i}{2}\)
以上より
\(x=\displaystyle\frac{-3±\sqrt{7}i}{4}\),\(\displaystyle\frac{1±\sqrt{3}i}{2}\)
(2)
\(x^5+3x^4+x^3+x^2+3x+1=0\) の左辺に\(x=-1\)を代入すると
\(-1+3-1+1-3+1=0\) より\(x=-1\)は解である。よって\(x+1\)を因数にもち
\((x+1)(x^4+2x^3-x^2+2x+1)=0\) (組立除法を利用)
ここで、\(x^4+2x^3-x^2+2x+1=0\) について
\(x=0\)は解ではないので \(x≠0\) 両辺を\(x^2\)で割ると
\(x^2+2x-1+\displaystyle\frac{2}{x}+\displaystyle\frac{1}{x^2}=0\)
\((x^2+\displaystyle\frac{1}{x^2})+2(x+\displaystyle\frac{1}{x})-1=0\)
\(t=x+\displaystyle\frac{1}{x}\) とおくと
\(x^2+\displaystyle\frac{1}{x^2}=(x+\displaystyle\frac{1}{x})^2-2\) より
\(t^2-2+2t-1=0\)
\(t^2+2t-3=0\)
\((t+3)(t-1)=0\)
\(t=-3,1\)
\(x+\displaystyle\frac{1}{x}=-3\), \(x+\displaystyle\frac{1}{x}=1\) を整理すると
\(x^2+3x+1=0\), \(x^2-x+1=0\)
よって
\(x=\displaystyle\frac{-3±\sqrt{5}}{2}\),\(\displaystyle\frac{1±\sqrt{3}i}{2}\)
(例題2)
\(x^4-4x^3+2x^2+4x+1=0\) を解け
相反方程式の解き方と同様に、\(x^2\)割ってみると、今度は\(t=x-\displaystyle\frac{1}{x}\) と置き換えるとうまくいきそうです。
(解答)
\(x=0\)は解ではないので、\(x≠0\) \(x^2\)で両辺を割ると
\(x^2-4x+2+\displaystyle\frac{4}{x}+\displaystyle\frac{1}{x^2}=0\)
\(x^2+\displaystyle\frac{1}{x^2}-4(x-\displaystyle\frac{1}{x})+2=0\)
ここで、\(t=x-\displaystyle\frac{1}{x}\) とおくと
\(x^2+\displaystyle\frac{1}{x^2}=(x-\displaystyle\frac{1}{x})^2+2\) より
\(t^2+2-4t+2=0\)
\(t^2-4t+4=0\)
\((t-2)^2=0\)
\(t=2\) (重解)
よって \(x-\displaystyle\frac{1}{x}=2\) だから
\(x^2-2x-1=0\) を解いて
\(x=1±\sqrt{2}\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
next→実数係数の方程式と共役な複素数 back→高次方程式②