高次方程式と実数・虚数解②

引き続き、高次方程式と解に関する問題について見ていきます。

 

(例題1)
実数を係数とする3次方程式 \(x^3-ax^2+bx+c=0\)・・・①が\(1+i\)を解にもつ。
(1)①の実数解を\(a\)を用いて表せ。
(2)①と2次方程式 \(x^2-bx+3=0\) がただ1つの解を共有するとき、\(a,b,c\)の値を求めよ。

 

 

(解答)
(1)

①は実数係数の方程式なので、\(1-i\)も解となります。
よって①の左辺は、\(x-(1+i)\), \(x-(1-i)\) を因数にもちます。

①は実数係数の3次方程式だから、\(1-i\)も解である。
よって、①の左辺は \(x-(1+i)\), \(x-(1-i)\) を因数にもつので
\(\{x-(1+i)\}\{x-(1-i)\}\)\(=x^2-2x+2\) で割り切れる。

実際に\(x^2-2x+2\)で割ると
商は \(x-a+2\) 余りは\((b-2a+2)x+c+2a-4\)

余りが\(0\)となるので
\(b-2a+2=0\), \(c+2a-4=0\)

(2)で使うので \(b,c\)を\(a\)で表しておきます。

よって \(b=2a-2\), \(c=-2a+4\)

このとき
\(x^3-ax^2+bx+c\)\(=(x-a+2)(x^2-2x+2)\)
であるから
実数解は \(x=a-2\)

 

(2)

2次方程式の係数も実数なので、もし共通解が虚数だとその共役な複素数も共通解となってしまう(共通解が2個になる)ので、共通解は実数です。

①と2次方程式 \(x^2-bx+3=0\) がただ1つの解を共有するとき、それは実数解である。よって(1)より実数解は \(x=a-2\)

\(x=a-2\) を \(x^2-bx+3=0\)を代入して
\((a-2)^2-b(a-2)+3=0\)

ここで、(1)より \(b=2a-2\) だから
\((a-2)^2-(2a-2)(a-2)+3=0\)
整理して
\(a^2-2a-3=0\)
\((a+1)(a-3)=0\)
よって \(a=-1,3\)

(ア)\(a=-1\)のとき
\(b=2a-2=-4\), \(c=-2a+4=6\)

(イ)\(a=3\)のとき
\(b=2a-2=4\), \(c=-2a+4=-2\)

答え \((a,b,c)\)\(=(-1,-4,6)\)\(,(3,4,-2)\)

 

 

(例題2)
関数 \(f(x)=ax(1-x)\) を考える。ここで\(a\)は\(0\)でない実数である。
(1)方程式 \(f(x)=x\)の解 (虚数解を含む) をすべて求めよ。
(2)方程式 \(f(f(x))=x\) の解 (虚数解を含む) をすべて求めよ。

 

 

(解答)
(1)

2次方程式 \(ax(1-x)=x\) を解くだけです。左辺に集めて共通因数\(x\)でくくります。

\(ax(1-x)=x\) より
\(ax(1-x)-x=0\)
\(x(-ax+a-1)=0\)

よって解は \(x=0\), \(-ax+a-1=0\) より
\(x=0,\displaystyle\frac{a-1}{a}\)

 

(2)

具体的に \(f(f(x))\)を求めると
\(f(f(x))=af(x)(1-f(x))\)\(=a・ax(1-x)\)\(\{1-ax(1-x)\}\) です。
よって
\(a・ax(1-x)\{1-ax(1-x)\}=x\)  (4次方程式)
を解くことになります。左辺によせると因数\(x\)でくくれるので、3次方程式を解くことになりますが、ここで(1)を利用します。

\(f(f(x))=af(x)(1-f(x))\)\(=a・ax(1-x)\)\(\{1-ax(1-x)\}\) より

方程式 \(f(f(x))=x\) は
\(a・ax(1-x)\{1-ax(1-x)\}=x\)

\(a^2x(1-x)(ax^2-ax+1)-x=0\)
\(x\{a^2(1-x)(ax^2-ax+1)-1\}=0\)
{ }内を展開して両辺に\(-1\)をかけて
\(x\{a^3x^3-2a^3x^2+(a^3+a^2)x\)\(-a^2+1\}\)\(=0\)

 

3次式の部分の解を見つけるには、(1)を利用します。
\(f(x)=x\) のとき、\(f(f(x))=f(x)=x\) となり、\(f(f(x))=x\) が成り立つことから、\(f(x)=x\)の解が \(f(f(x))=x\)の解であることが分かります。
よって、3次式の部分は、因数 \(x-\displaystyle\frac{a-1}{a}\) をもちます。

\(f(x)=x\) のとき、\(f(f(x))=f(x)=x\) が成り立つので、\(f(x)=x\)の解は \(f(f(x))=x\)の解である。

よって(1)より{ }内の3次式は\(x-\displaystyle\frac{a-1}{a}\)を因数にもつ。
\(P(x)=\)\(a^3x^3-2a^3x^2+(a^3+a^2)x\)\(-a^2+1\) は \(x-\displaystyle\frac{a-1}{a}\) で割りきれ

\(P(x)=\)\((x-\displaystyle\frac{a-1}{a})\)\(\{a^3x^2-(a^3+a^2)x\)\(+a^2+a\}\) (組立除法を用いた)
よって
\(P(x)=\)\((ax-a+1)\)\(\{a^2x^2-(a^2+a)x+a+1\}\)

したがって方程式 \(f(f(x))=x\) は
\(x(ax-a+1)\)\(\{a^2x^2-(a^2+a)x+a+1\}\)\(=0\)

\(a^2x^2-(a^2+a)x+a+1=0\) を解くと
\(x=\displaystyle\frac{a^2+a±\sqrt{(a^2+a)^2-4a^2(a+1)}}{2a^2}\)

\(=\displaystyle\frac{a^2+a±\sqrt{a^2(a^2-2a-3)}}{2a^2}\)

\(=\displaystyle\frac{a^2+a±|a|\sqrt{(a+1)(a-3)}}{2a^2}\)

ここで
\(a>0\)のとき \(|a|=a\) より \(±|a|=±a\)
\(a<0\)のとき \(|a|=-a\) より \(±|a|=∓a\) だから
\(a\)の正負に関係なく

\(x=\displaystyle\frac{a^2+a±a\sqrt{(a+1)(a-3)}}{2a^2}\)

\(=\displaystyle\frac{a+1±\sqrt{(a+1)(a-3)}}{2a}\)

 

以上から解は
\(x=0,\displaystyle\frac{a-1}{a}\)\(,\displaystyle\frac{a+1±\sqrt{(a+1)(a-3)}}{2a}\)

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
next→高次方程式と重解 back→高次方程式と実数・虚数解①

タイトルとURLをコピーしました