逆関数ともとの関数の一致

もとの関数と逆関数の一致について見ていきます。

2関数\(f(x),g(x)\)が一致する条件は
(1)定義域が一致
(2)定義域内の任意の\(x\)について、\(f(x)=g(x)\)
(1)(2)のどちらも必要です。(2)は問題ないと思いますが、(1)については例えば、「\(f(x)=x^2\) (\(x\)は実数全体)」 と 「\(g(x)=x^2\) (\(x≧0\))」 では関数の式(形)は同じですが、定義域が違うので一致しているとは言えません。

 

(例題)
実数\(a,b,c,d\)が \(ad-bc≠0\) を満たすとき、関数
\(f(x)=\displaystyle\frac{ax+b}{cx+d}\)
について、次の問いに答えよ。

(1)\(f(x)\) の逆関数 \(f^{-1}(x)\) を求めよ。
(2)\(f^{-1}(x)=f(x)\) を満たし、\(f(x)≠x\) となる\(a,b,c,d\)の関係式を求めよ。

 

 

(解答)
(1)

\(ad-bc≠0\) は簡単にいうとこの分数関数が逆関数をもつための条件です。
\(ad-bc=0\) のときは、\(a:b=c:d\) となり約分されて定数関数になってしまうので逆関数が存在しません。このことを前面に出した解法(部分的別解)も最後に紹介します。

(\(x=\cdots\)の形に変形します)

\(y=\displaystyle\frac{ax+b}{cx+d}\) において
\(y(cx+d)=ax+b\)・・・(注)
\((cy-a)x=b-dy\)・・・①

ここで、\(cy-a=0\)・・・② とすると
①より \(b-dy=0\)・・・③
しかし②③より
\(ad-bc=cyd-dyc=0\) となり矛盾。

よって \(cy-a≠0\) だから①より
\(x=\displaystyle\frac{-dy+b}{cy-a}\)

\(x,y\)を入れ替えると
\(y=\displaystyle\frac{-dx+b}{cx-a}\)

したがって
\(f^{-1}(x)=\displaystyle\frac{-dx+b}{cx-a}\)

(注)について
正確には
\(y=\displaystyle\frac{ax+b}{cx+d}\)

\(y(cx+d)=ax+b\)・・・④ かつ \(cx+d≠0\)

が同じ方程式になります。しかし④で \(cx+d=0\) とすると

(ア)\(c=0\)のとき、\(d=0\) となるが、\(ad-bc=0\) となり不適
(イ)\(c≠0\)のとき、\(x=-\displaystyle\frac{d}{c}\) だから④より
\(0=-\displaystyle\frac{ad}{c}+b\)
\(0=\displaystyle\frac{-ad+bc}{c}\)
これも\(ad-bc=0\)となり不適

したがって、\(cx+d≠0\) はなくても大丈夫な条件です。

 

(部分的別解について)
\(cy-a≠0\) は次のように考えてもよいです。
\(y=\displaystyle\frac{ax+b}{cx+d}\)

を \(y=\displaystyle\frac{k}{x-p}+q\) の形に変形すると

(i)\(c≠0\)のとき
\(y=-\displaystyle\frac{ad-bc}{c(cx+d)}+\displaystyle\frac{a}{c}\)
であり、\(ad-bc≠0\) よりこの1次分数関数の値域から \(y≠\displaystyle\frac{a}{c}\)
よって \(cy≠a\)

(ii)\(c=0\)のとき
\(ad-bc≠0\) から、\(ad≠0\)。よって \(cy-a=-a≠0\) です。

 

(2)

逆関数ともとの関数が一致する条件を求める問題です。
式の一致なので恒等式となる条件を考えるとよいでしょう。(問題文では式の一致しか書かれていないので定義域の一致までは調べなくてもよいと思います)

\(f^{-1}(x)=f(x)\) より

\(\displaystyle\frac{-dx+b}{cx-a}=\displaystyle\frac{ax+b}{cx+d}\)

\((cx+d)(-dx+b)=(ax+b)(cx-a)\)・・・(注1)
整理して
\(c(a+d)x^2+(d^2-a^2)x-(a+d)b=0\)
\((a+d)\{cx^2+(d-a)x-b\}=0\)

ここで、\(\displaystyle\frac{ax+b}{cx+d}≠x\) より
\(cx^2+dx≠ax+b\)
よって \(cx^2+(d-a)x-b≠0\)

したがって求める関係式は・・・(注2)

\(a+d=0\)

 

(注1)
分母を払った式について恒等式となる(任意の\(x\)で成り立つ条件)を考えたので、分母がある形ではそこから\(x\)が一部除かれるだけなのでこちらも恒等式となります。

(注2)
\(a+d=0\) に関しては、\(f(x)≠x\) についての検討はしてないので気になる方は調べたほうがいいと思います(十分性の確認)。\(a+d=0\)のとき
\(f(x)=\displaystyle\frac{ax+b}{cx-a}\)
が \(f(x)=x\) となるためには \(c=b=0\) が必要ですが、このとき \(f(x)=-x\) なので、\(f(x)≠x\) です。

 

(参考)
\(f^{-1}(x)=f(x)\) (逆関数ともとの関数が一致)
というのは、グラフを考えると「もとの関数が \(y=x\) について対称」ということです。例えば、\(xy=1\) や \((x-2)(y-2)=4\) などの曲線の中心 (漸近線の交点) が\(y=x\)上にあるケースです。この例題では除かれる \(y=f(x)=x\) (対称軸と一致) もこのケースに含まれます。

逆関数 一致

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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