合成関数に関する例題②(分数関数・2次関数)

引き続き合成関数に関する例題です。
今回は1次分数関数や2次関数の合成関数を扱っていきます。

 

(例題1)
\(-1<x<1\) を定義域とする関数
\(f_p(x)=\displaystyle\frac{x-p}{1-px}\), \(f_q(x)=\displaystyle\frac{x-q}{1-qx}\)
(\(-1<p<1\), \(-1<q<1\))
について、次の問いに答えよ。

(1)定義域内のすべての\(x\)に対して、\(-1<f_q(x)<1\) を示せ。
(2)定義域内のすべての\(x\)に対して、\(f_p(f_q(x))=\displaystyle\frac{x-r}{1-rx}\) を満たすとき、\(r\)を\(p\)と\(q\)を用いて表し、\(-1<r<1\) を示せ。
(3)定義域内のすべての\(x\)に対して、\(f_p(f_q(x))=f_q(x)\) を満たす\(p\)を求めよ。

 

 

(解答)
(1)

微分(数Ⅲ)や、分数関数のグラフの形状(\(q\)の正負で変わる)を考える方法もありますが、今回は単純に差をとって示します。

\(-1<f_q(x)<1\) について

(中辺)-(左辺)
\(=\displaystyle\frac{x-q}{1-qx}+1\)

\(=\displaystyle\frac{x-q+1-qx}{1-qx}\)

\(=\displaystyle\frac{(x+1)-q(x+1)}{1-qx}\)

\(=\displaystyle\frac{(x+1)(1-q)}{1-qx}>0\)
(∵ \(-1<x<1\), \(-1<q<1\), \(-1<qx<1\))

同様に
(右辺)-(中辺)
\(1-\displaystyle\frac{x-q}{1-qx}\)

\(=\displaystyle\frac{1-qx-x+q}{1-qx}\)

\(=\displaystyle\frac{(1-x)(1+q)}{1-qx}>0\)

よって
\(-1<f_q(x)<1\)

 

(2)

合成関数を求めて、恒等式となるように\(r\)を決定します。((1)の値域から合成関数が定義できる)

\(f_p(f_q(x))\)

\(=\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{x-q}{1-qx}-p}{1-p\cdot\displaystyle\frac{x-q}{1-qx}}\) (分母は\(0\)にならない)

\(=\displaystyle\frac{(x-q)-p(1-qx)}{(1-qx)-p(x-q)}\)

\(=\displaystyle\frac{(1+pq)x-(p+q)}{1+pq-(p+q)x}\)

(\(pq≠-1\) より)

\(=\displaystyle\frac{x-\displaystyle\frac{p+q}{1+pq}}{1-\displaystyle\frac{p+q}{1+pq}x}\)

よって
\(\displaystyle\frac{x-\displaystyle\frac{p+q}{1+pq}}{1-\displaystyle\frac{p+q}{1+pq}x}=\displaystyle\frac{x-r}{1-rx}\)・・・①

が\(-1<x<1\)の任意の\(x\)について成り立てばよい。

比較して \(r=\displaystyle\frac{p+q}{1+pq}\) が答えですが、少しだけ丁寧にやっておきます。

①に \(x=0\) を代入すると
\(-\displaystyle\frac{p+q}{1+pq}=-r\)
となるから
\(r=\displaystyle\frac{p+q}{1+pq}\) が必要。

逆にこのとき、①は定義域内のすべての\(x\)について成り立つ。
ゆえに
\(r=\displaystyle\frac{p+q}{1+pq}\)

また
\(\displaystyle\frac{p+q}{1+pq}+1\)

\(=\displaystyle\frac{p+q+1+pq}{1+pq}\)

\(=\displaystyle\frac{(p+1)(q+1)}{1+pq}>0\)

同様に
\(1-\displaystyle\frac{p+q}{1+pq}\)

\(=\displaystyle\frac{(p-1)(q-1)}{1+pq}>0\)

したがって
\(-1<r<1\)

 

(3)
\(f_p(f_q(x))=f_q(x)\) より

\(\displaystyle\frac{x-\displaystyle\frac{p+q}{1+pq}}{1-\displaystyle\frac{p+q}{1+pq}x}=\displaystyle\frac{x-q}{1-qx}\)

(2)と同様の議論により
\(\displaystyle\frac{p+q}{1+pq}=q\)・・・②

(このとき、\(-1<\displaystyle\frac{p+q}{1+pq}<1\) より \(-1<q<1\)を満たす)

よって②より
\(p+q=q+pq^2\)
\(p(1-q^2)=0\)

\(1-q^2≠0\) より
\(p=0\)

 

 

 

 

(例題2)
\(g(x)\)を整式、\(h(x)\)を\(2\)次式とし、\(f(x)=g(h(x))\) とおく。このとき、関数 \(y=f(x)\) のグラフは\(y\)軸または\(y\)軸に平行なある直線に関して対称であることを示せ。

 

 

\(x→-x\) (\(y\)軸について対称移動) させたときに同じ式になるように、グラフを平行移動させることを考えます。

(解答)
\(h(x)=k(x-p)^2+q\) (\(k≠0\)) とおける。

\(g(x)=a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_1x+a_0\) とおくと

\(f(x)=g(h(x))\)
\(=a_n\{k(x-p)^2+q\}^n+\cdots+a_1\{k(x-p)^2+q\}+a_0\)

\(-p\) の部分が邪魔なので、これを消すように平行移動させます。

ここで、\(y=f(x)\) のグラフを \(x\)軸方向に\(-p\)だけ平行移動させたグラフの関数を \(y=f_0(x)\) とおくと

\(f_0(x)=a_n(kx^2+q)^{n}+a_{n-1}(kx^2+q)^{n-1}+\cdots+a_1(kx^2+q)+a_0\)
(2次の部分を\(-x\)にしても変わらない形になっている)

よって
\(f_0(x)=f_0(-x)\) だから、\(y=f_0(x)\) のグラフは\(y\)軸対称である。

この対称軸はグラフをもとに戻すと、直線 \(x=p\) となるから
関数\(y=f(x)\)のグラフは、\(y\)軸または\(y\)軸に平行な直線\(x=p\)について対称である。
(\(p=0\)だと\(y\)軸になる)

 

合成関数の中身の関数である2次関数の軸がそのまま対称軸になっています。

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした
ここまで見て頂きありがとうございました。
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