合成関数に関する例題③(方程式)

合成関数と方程式に関する例題です。

 

(例題1)
\(f(x)=x^2+2x+a\) について、\(x\)の方程式 \(f(x)=0\) が相異なる2つの実数解をもち、方程式 \(f(f(x))=0\) が重解\(γ\)をもつという。\(γ\)および\(a\)の値を求めよ。

 

色々解法はあると思いますが、例えば、\(f(x)=(x-α)(x-β)\) とおいて解と係数の関係を用いる方法があります。こうすると合成関数の方程式について因数分解された形で考えることができます。

(解答)
\(f(x)=x^2+2x+a\) において

\(x^2+2x+a=0\) の相異なる2つの実数解を\(α,β\) (\(α≠β\)) とすると、
\(αβ=a\) より\(a\)は実数。

判別式
\(\displaystyle\frac{D}{4}=1-a>0\) より
\(a<1\)

解と係数の関係から
\(α+β=-2\)・・・①
\(αβ=a\)・・・②

また \(f(x)=(x-α)(x-β)\) より
\(f(f(x))=(f(x)-α)(f(x)-β)\)

\((f(x)-α)(f(x)-β)=0\) が重解\(γ\)をもちますが、可能性として括弧の中身について
(ア)一方が重解をもつ (イ)それぞれ1つずつ共通解をもつ
場合があります。しかし(イ)は\(α≠β\)より不適です。

ここで、\(y=f(x)\)のグラフと、\(y=α\), \(y=β\) のグラフの交点の\(x\)座標を考えると、
\(f(x)-α=0\) と \(f(x)-β=0\) に共通解がないことが分かる。

よって\(α,β\)の対称性から
\(f(x)-α=0\)
つまり
\(x^2+2x+a-α=0\)
が重解\(γ\)をもつとしてよい。

\(γ=-1\) とこちらはすぐに求まります。\(a\)は判別式と先ほど求めた①②から決定します。

ゆえに
\(γ\)\(=-\displaystyle\frac{2}{2}\)\(=-1\)

\(\displaystyle\frac{D}{4}=\)\(1-(a-α)=0\)・・・③

③より
\(α=a-1\)
これと①より
\(β=-a-1\)
よって②より
\((a-1)(-a-1)=a\)
\(a^2+a-1=0\)
\(a=\displaystyle\frac{-1±\sqrt{5}}{2}\) (\(a<1\)を満たす)

 

 

 

 

 

(例題2)
\(x\)に関する方程式
\((x^2-2x+a)^2+(x^2-2x+a)+b=0\)
(\(a,b\)は実数の定数)
の実数解はちょうど2個であり、\(0<x<1\) の範囲にはただ1つの解しかないという。ただし、\(b<\displaystyle\frac{1}{4}\) とする。このとき、点\((a,b)\)の存在する範囲を図示せよ。

 

 

同じ形をしているところを、\(x^2-2x+a=X\) とおいて2次方程式を2段階で考えていきます。解の配置の問題なのでグラフを考えるとよいでしょう。

(解答)
\((x^2-2x+a)^2+(x^2-2x+a)+b=0\)・・・①において

\(x^2-2x+a=X\)・・・② とおくと、①は

\(X^2+X+b=0\)・・・③

まず③が\(b<\displaystyle\frac{1}{4}\)だとどのような解をもつか調べます。

③の判別式は
\(D=1-4b>0\) (∵\(b<\displaystyle\frac{1}{4}\))
となるから、③は異なる2つの実数解をもつ。

③の実数解を\(α,β\)とおくと、もとの方程式の解は
\(x^2-2x+a=α\),  \(x^2-2x+a=β\)
の解になります。問題の設定からこの2つの方程式のうち、「片方が実数解をもたず、片方が実数解を2つもち かつ その一方が\(0<x<1\)の範囲にある」ということになります。
解の配置なのでグラフを考えていきますが、③②の左辺のグラフ
\(f(X)=X^2+X+b\), \(g(x)=x^2-2x+a\)
において、\(x^2-2x+a=X\)・・・② から \(Y=f(X)\)の\(X\)座標が\(y=g(x)\)の\(y\)座標に対応していることに注意します。
以下グラフを参照しながら読んでください。\(y=g(x)\) のグラフは軸が\(x=1\)で固定で、\(g(0)=a\), \(g(1)=a-1\)。よって、\(f(X)=0\) の1つの実数解は \(a-1<X<a\) の範囲にあればよく、もう1つが \(X<a-1\) の範囲にあればよいことになります。

合成関数③ 例題2-1

\(X^2+X+b=0\) の2つの異なる実数解を\(α,β\) (\(α<β\)) とし

\(g(x)=x^2-2x+a\)
\(f(X)=X^2+X+b\)

とおく。\(X,x\)の関係式 \(x^2-2x+a=X\)・・・② より

\(x^2-2x+a=α\)
\(x^2-2x+a=β\)

の実数解がもとの方程式①の実数解になるので、問題文の条件から、\(y=g(x)\) と \(y=α\) のグラフが共有点をもたず、\(y=g(x)\) と \(y=β\) のグラフが異なる2つの共有点をもち、かつ\(0<x<1\)の範囲で1つだけ共有点をもてばよいから、上左図より
\(α<a-1<β<a\)

よって右上図より求める条件は
\(f(a-1)<0\) かつ \(f(a)>0\)

\((a-1)^2+(a-1)+b<0\)
かつ
\(a^2+a+b>0\)

ゆえに
\(-a^2-a<b<-a^2+a\)・・・④

\(b<\displaystyle\frac{1}{4}\) も合わせて④を図示すると次の通り。

合成関数③ 例題2-2

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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