無限級数の発散・収束②

無限級数の発散・収束にかんする例題です。

 

(例題1)
数列\(\{a_n\}\)の初項\(a_1\)から第\(n\)項までの和を\(S_n\)と表す。この数列が
\(a_1=1\), \(\displaystyle\lim_{n \to \infty}S_n=1\), \(n(n-2)a_{n+1}=S_n\)  (\(n≧1\))
を満たすとき、一般項\(a_n\)を求めよ。

 

3つ目の式で \(S_n-S_{n-1}=a_n\) を用いて、\(S_n,a_n\)の一方にまとめることになりますが、どの\(n\)で成り立つかには注意します(特に\(n=1,2\)あたりの小さい値) 。

(解答)
\(n(n-2)a_{n+1}=S_n\)・・・①  (\(n≧1\)) より
\((n-1)(n-3)a_{n}=S_{n-1}\)・・・② (\(n≧2\))

①-②から
\(n(n-2)a_{n+1}-(n-1)(n-3)a_{n}=a_{n}\) (\(n≧2\))
整理して
\(n(n-2)a_{n+1}=(n-2)^2a_{n}\)・・・③

\(n=2\) のときは両辺が\(0\)になってしまい、\(a_n\)の関係式が分からないので、\(n≧3\) と \(n=2\) に分けて考えます。

(ア)\(n≧3\) のとき
③より
\(na_{n+1}=(n-2)a_n\)

(両辺で1つずれた形にするために\((n-1)\)を掛けて)

\(n(n-1)a_{n+1}=(n-1)(n-2)a_n\) (\(b_{n+1}=b_n\)の形)
よって
\((n-1)(n-2)a_n=(3-1)(3-2)a_3\)
ゆえに
\(a_n=\displaystyle\frac{2a_3}{(n-1)(n-2)}\)

(\(a_3\)を求めていきます。)

与えられた漸化式を変形すると2項間漸化式で、初項が\(a_1=1\) と分かっているので、\(a_3\)は求まりそうな気もしますが、①(または③)で\(n=2\)とすると\(a_3\)の係数が\(0\)になるので漸化式だけでは求めることができません。よってまだ使っていない極限の条件式を使います。

①より
\(S_n=n(n-2)\displaystyle\frac{2a_3}{n(n+1)}=\displaystyle\frac{n-2}{n+1}\cdot2a_3\)

\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}S_n=1\) だから
\(1=2a_3\)
\(a_3=\displaystyle\frac{1}{2}\)

よって
\(a_n=\displaystyle\frac{1}{(n-1)(n-2)}\) (\(n≧3\))

(ii)\(n=2\) のとき
①で\(n=1\)として
\(-a_{2}=S_1\)
よって
\(a_2=\)\(-a_1=\)\(-1\)

以上から
\(a_1=1\), \(a_2=-1\)
\(a_n=\displaystyle\frac{1}{(n-1)(n-2)}\) (\(n≧3\))

\(n=1,2\) の場合を \(n≧3\) の式でまとめられないのでこのままにしておきます。

 

 

 

(例題2)
正の数\(a\)に対して、数列\(\{x_n\}\)を
\(x_1=a\), \(x_{n+1}=x_n(1+x_n)\)  (\(n=1,2,3,\cdots\))
によって定める。このとき

(1)\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}x_n=\infty\) であることを示せ。
(2)無限級数 \(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\displaystyle\frac{1}{x_n+1}\) は収束することを示し、その和を求めよ。

 

(解答)
(1)

解けない形の漸化式です。発散することは分かっているので、不等式による評価をして証明していきます。不等式は漸化式を変形することで作りますが、差\(x_{n+1}-x_{n}\) や 商 \(\displaystyle\frac{x_{n+1}}{x_n}\) を考えることになります。(解答では差にします)

\(x_{n+1}=x_n(1+x_n)\) より
\(x_{n+1}-x_n=x_n^2\)・・・① (階差型)

①と\(x_1=a\ (>0)\)より帰納的に\(\{x_n\}\)は単調増加数列になるから \(x_n>a\)。
また、\(x_n,a\)は正の数だから \(x_n^2>a^2\)・・・②

①②より\(n≧2\)のとき
\(x_n=x_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}x_k^2>x_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}a^2\)

よって
\(x_n>a+a^2(n-1)\)

\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}\{a+a^2(n-1)\}=\infty\) だから
\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}x_n=\infty\)

 

(参考)
\(x_{n+1}=f(x_n)\) 型なので、グラフを考えても極限が分かります。
\(y=f(x)=x(1+x)\) とおいて、\(y=x\) とあわせて図示すると次の通りです。

無限級数② 例題2

初項\(x_1=a\)は正の数で、\(x>0\) では \(y=f(x)\) のほうが上側にあるので、階段状の動きを追うと数列\(\{x_n\}\)が正の無限大に発散することが分かります。
また、例えば初項が \(-1<a<0\) の範囲にある場合は、同様に階段状の動きを追うことで2つのグラフの交点である原点に向かうことが分かるので、数列\(\{x_n\}\)は\(0\)に収束することが分かります。

 

(2)

漸化式で逆数をとると \(\displaystyle\frac{1}{x_n+1}\) の形が見えてきます。

(1)で \(x_n>0\) より
\(x_{n+1}=x_n(1+x_n)\) の逆数を取って

\(\displaystyle\frac{1}{x_{n+1}}=\displaystyle\frac{1}{x_n(1+x_n)}\)

(部分分数分解をして)
\(\displaystyle\frac{1}{x_{n+1}}=\displaystyle\frac{1}{x_n}-\displaystyle\frac{1}{1+x_n}\)

よって
\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}\displaystyle\frac{1}{1+x_k}=\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(\displaystyle\frac{1}{x_{k}}-\displaystyle\frac{1}{x_{k+1}})\)

(和において内側の項が打ち消されて)

\(=\displaystyle\frac{1}{x_{1}}-\displaystyle\frac{1}{x_{n+1}}\)

(1)より \(\displaystyle\lim_{n \to \infty}x_{n+1}=\infty\) だから

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\displaystyle\frac{1}{x_n+1}=\displaystyle\frac{1}{a}\) (収束する)

 

\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}x_{n+1}=\infty\) のところが気になるなら、\(x_{n+1}>x_n\) と \(\displaystyle\lim_{n \to \infty}x_{n}=\infty\) から結論付けてもよいです。

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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