無限等比級数②

無限等比級数に関する例題です。

 

(例題1)
\(0≦θ<2π\) を満たす実数\(θ\)に対し\(\{a_n\}\) (\(n=1,2,3,\cdots\)) を初項\(1\)、公比 \(\sinθ-\sqrt{3}\cosθ-2\) の等比数列とする。

(1)\(θ=\displaystyle\frac{2}{3}π\) のとき、無限等比級数 \(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}a_n\) の和を求めよ。
(2)無限等比級数 \(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}a_n\) が収束する\(θ\)の値の範囲を求めよ。

 

(解答)
(1)
\(θ=\displaystyle\frac{2}{3}π\) のとき、公比は
\(\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}-\sqrt{3}\cdot(-\displaystyle\frac{1}{2})-2=\color{blue}{\sqrt{3}-2} \ (≒-0.27)\)

\(-1<\sqrt{3}-2<0\) だから、無限等比級数は収束し
\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}a_n=\displaystyle\frac{1}{1-(\sqrt{3}-2)}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{3-\sqrt{3}}\)

\(=\displaystyle\frac{3+\sqrt{3}}{6}\)

 

(2)

初項が\(1\)なので、収束する条件は \(-1<公比<1\) です。

初項\(1\)、公比 \(\sinθ-\sqrt{3}\cosθ-2\) だから、無限等比級数が収束する条件は

\(-1<\sinθ-\sqrt{3}\cosθ-2<1\)

\(1<\sinθ-\sqrt{3}\cosθ<3\)

(\(\sin,\cos\)と種類が違い、\(θ\)は共通なので合成します)

\(1<2\sin(θ-\displaystyle\frac{π}{3})<3\)

\(\displaystyle\frac{1}{2}<\sin(θ-\displaystyle\frac{π}{3})<\displaystyle\frac{3}{2}\)

三角関数の値は\(1\)以下なので
\(\displaystyle\frac{1}{2}<\sin(θ-\displaystyle\frac{π}{3})≦1\)・・・①
としてよい。

\(-\displaystyle\frac{π}{3}≦θ-\displaystyle\frac{π}{3}<\displaystyle\frac{5π}{3}\) だから、①を満たすのは

\(\displaystyle\frac{π}{6}<θ-\displaystyle\frac{π}{3}<\displaystyle\frac{5π}{6}\)

したがって
\(\displaystyle\frac{π}{2}<θ<\displaystyle\frac{7π}{6}\)

 

 

 

 

(例題2)
無限級数
\(x^2+\displaystyle\frac{x^2}{1+x^2-x^4}+\displaystyle\frac{x^2}{(1+x^2-x^4)^2}+\cdots+\displaystyle\frac{x^2}{(1+x^2-x^4)^{n-1}}+\cdots\)
が収束するような\(x\)の範囲を求めよ。またこのとき、無限級数の和\(f(x)\)を求めよ。

 

無限等比級数になっています。収束する条件は
「\(初項=0\) または  \(-1<公比<1\)」 です。今回は、公比の分母の正負で場合分けするのが面倒なので、絶対値のほうを採用します。

(解答)
初項\(x^2\)、公比\(\displaystyle\frac{1}{1+x^2-x^4}\) だから、無限級数が収束する条件は

①\(x^2=0\)
または
②\(\left|\displaystyle\frac{1}{1+x^2-x^4}\right|<1\)

①は \(x=0\)

②については
\(|1+x^2-x^4|>1\)
よって
\(1+x^2-x^4<-1\) または \(1+x^2-x^4>1\)
整理して
\(x^4-x^2-2>0\) または \(x^4-x^2<0\)
\((x^2-2)(x^2+1)>0\) または \(x^2(x^2-1)<0\)

ゆえに
\(x<-\sqrt{2}\) または \(x>\sqrt{2}\)
または
\(-1<x<0\), \(0<x<1\)

まとめると収束する\(x\)の範囲は
\(x<-\sqrt{2}\) または \(-1<x<1\) または \(x>\sqrt{2}\)

また、級数の和\(f(x)\)は、

\(x=0\) のとき \(f(x)=0\)

\(x<-\sqrt{2}\), \(-1<x<0\), \(0<x<1\), \(x>\sqrt{2}\) のとき
\(f(x)\)
\(=\displaystyle\frac{x^2}{1-\displaystyle\frac{1}{1+x^2-x^4}}\)

\(=\displaystyle\frac{x^2(1+x^2-x^4)}{(1+x^2-x^4)-1}\)

\(=\displaystyle\frac{x^2(1+x^2-x^4)}{x^2(1-x^2)}\)

\(=\displaystyle\frac{1+x^2-x^4}{1-x^2}\)

 

\(x=0\) のときは公比が\(1\)になるので、②にまとめることができません。
なお、\(f(x)\)は無限級数によって定められた関数になりますが、定義域が解答のように制限された形になっています。

 

 

 

(例題3)
次の無限級数の和を求めよ。ただし\(r\)を \(r>1\) を満たす定数とする。
\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\displaystyle\frac{1+r+r^2+\cdots+r^n}{(1+r)^n}\)

 

まずは分子を計算します。\(r\)はあくまでも定数であることに注意します。

(解答)

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\displaystyle\frac{1+r+r^2+\cdots+r^n}{(1+r)^n}\)

\(=\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{1-r^{\color{red}{n+1}}}{1-r}}{(1+r)^n}\) (分子の項数は\(n+1\))

\(=\displaystyle\frac{1}{1-r}\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\displaystyle\frac{1-r^{n+1}}{(1+r)^n}\)

(分子を分割して)

\(=\displaystyle\frac{1}{1-r}\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\left\{\left(\displaystyle\frac{1}{1+r}\right)^n-r\left(\displaystyle\frac{r}{1+r}\right)^n\right\}\)・・・①

ここで\(r>1\)より
\(0<\displaystyle\frac{1}{1+r}<\displaystyle\frac{1}{2}\)
また
\(\displaystyle\frac{r}{1+r}=1-\displaystyle\frac{1}{1+r}\) より
\(\displaystyle\frac{1}{2}<\displaystyle\frac{r}{1+r}<1\)
となるから、①は収束して

①\(=\displaystyle\frac{1}{1-r}\left\{\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{1}{1+r}}{1-\displaystyle\frac{1}{1+r}}-r\cdot\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{r}{1+r}}{1-\displaystyle\frac{r}{1+r}}\right\}\)

(分母分子 \(r+1\)倍 して)

\(=\displaystyle\frac{1}{1-r}\left\{\displaystyle\frac{1}{(r+1)-1}-r\cdot\displaystyle\frac{r}{(1+r)-r}\right\}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{1-r}\left(\displaystyle\frac{1}{r}-r^2\right)\)

\(=\displaystyle\frac{1}{1-r}\cdot\displaystyle\frac{1-r^3}{r}\)

\(=\displaystyle\frac{1+r+r^2}{r}\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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