無限等比級数を利用して、循環小数を分数に直す方法について見ていきます。
・循環小数と有理数
有理数\(\displaystyle\frac{m}{n}\) (\(m,n\)は整数で、\(n≠0\)) について
\(\displaystyle\frac{m}{n}\) が整数でない場合は、\(m÷n\) を計算することで小数で表すと、有限小数(途中で割り切れる)か、循環小数(途中で割り切れないので無限に続くが、繰り返しの配列になる)のどちらかになります。
「有理数 \(⇔\) 整数 または 有限小数 または 循環小数」・・・①
(解説)
\(→\) について
\(m÷n\) を計算すると、途中で割り切れる場合には整数または有限小数になる。
途中で割り切れない場合には、割る数\(n\)について余りが\(n-1\)通り(割り切れないので\(n\)より1つ小さい)しかないので、筆算計算するといつか同じ余りが出てくる。すると以降は前に同じ余りになったときの繰り返しになるので商は循環小数(循環する無限小数)になる。
\(←\) について
整数ならば、\(\displaystyle\frac{m}{1}\) の形にできる。
有限小数ならば、\(\displaystyle\frac{a}{10^k}\) の形に簡単にできて、有理数となることが分かる。例えば\(1.538\) の場合だと \(\displaystyle\frac{1538}{1000}\)。
循環小数のときは、例えば \(4.\dot{2}\dot{6}\) の場合だと、\(x=4.\dot{2}\dot{6}\) とおいて、\(100x-x\) を計算することで有理数\(\displaystyle\frac{m}{n}\)の形にできる(数ⅠA)。
もしくは、無限等比級数を利用しても、有理数\(\displaystyle\frac{m}{n}\)の形にできる(例題参照)。
また、①の対偶をとることで無理数と小数については次の関係になる。
「無理数 \(⇔\) 循環しない無限小数」
(例題)
\(0.2\dot{4}\dot{6}\) を既約分数で表せ。
(解答1)無限等比級数を利用する方法
\(0.2\dot{4}\dot{6}=0.2\color{blue}{46464646}\cdots\)
\(=0.2+0.046+0.00046+0.0000046+\cdots\)
となり、無限等比級数(公比\(\displaystyle\frac{1}{100}\))になっています。
\(0.2\dot{4}\dot{6}=0.2\color{blue}{46464646}\cdots\)
\(=0.2+0.046+0.00046+0.0000046+\cdots\)
\(=0.2+0.046+0.046\cdot\displaystyle\frac{1}{100}+0.046\cdot(\displaystyle\frac{1}{100})^2+\cdots\)
\(=\displaystyle\frac{2}{10}+\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{46}{1000}}{1-\displaystyle\frac{1}{100}}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{5}+\displaystyle\frac{46}{1000-10}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{5}+\displaystyle\frac{23}{495}\)
\(=\displaystyle\frac{122}{495}\)
(解答2)\(x=0.2\dot{4}\dot{6}\)とおいて差をとる方法
\(x=0.2\dot{4}\dot{6}\)とおく。
\(\hspace{16pt}x=\hspace{4pt} 0.2\color{blue}{46464646}\cdots\)・・・①
\(100x=24.6\color{blue}{46464646}\cdots\)・・・②
②-①より
\(99x=24.4\)
よって
\(x=\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{244}{10}}{99}\)
\(=\displaystyle\frac{122}{495}\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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