はさみうちと関数の極限

はさみうちの原理を利用する関数の極限の例題です。

 

(例題)
\(a>0\)とする。このとき、3次方程式 \(\displaystyle\frac{1}{2}(x^3+3x)=a\) はただ1つの実数解 \(x(a)\ (>0)\) をもつ。正の数\(R\)に対し、\(0<a≦R\) の範囲で\(a\)を動かすとき、対応する実数解\(x(a)\)が整数となるような\(a\)の個数を\(N(R)\)とする。

(1)\(N(R)=1\) となるような\(R\)の範囲を求めよ。
(2)\(x=u-\displaystyle\frac{1}{u}\) とおくとき、\(\displaystyle\frac{1}{2}(x^3+3x)\) を\(u\)で表せ。また、\(x(a)\)を\(a\)で表せ。
(3)\(L=\displaystyle\lim_{R \to \infty}R^{-C}N(R)\) が有限な正の値となるとき、\(C\)の値を求めよ。また、このときの\(L\)の値を求めよ。

 

\(0<a≦R\) の範囲で\(a\)を動かすので、\(y=\displaystyle\frac{1}{2}(x^3+3x)\) (固定されたグラフ)と \(y=a\) (動くグラフ) を考えるとよいでしょう。具体例を挙げると\(R=10\) とすれば、\(y=0\) (こちらは含まない) から \(y=10\) まで動かすときの、交点の\(x\)座標が整数となるような箇所を探すということです。

(解答)
(1)

関数の極限 はさみうち 例題1-1

\(f(x)=\displaystyle\frac{1}{2}(x^3+3x)\) とおいて微分を用いると、グラフは図の通りになる。
\(y=f(x)\) と \(y=a\) の交点の\(x\)座標が\(x(a)\)であり、
\(f(1)=2\)、\(f(2)=7\)である。

\(0<a≦R\) の範囲でグラフ \(y=a\)を動かすので、\(N(R)=1\) となるような\(R\)の範囲は
\(2≦R<7\)

(\(R=7\)だと、\(x(a)=1,2\) の2個になるため含まない)

 

(2)

要するに、3次方程式 \(\displaystyle\frac{1}{2}(x^3+3x)=a\) を解けということです。その誘導が、\(x=u-\displaystyle\frac{1}{u}\) のおきかえです。(カルダノの公式)

\(x=u-\displaystyle\frac{1}{u}\) より

\(\displaystyle\frac{1}{2}(x^3+3x)\)

\(=\displaystyle\frac{1}{2}\left\{(u-\displaystyle\frac{1}{u})^3+3(u-\displaystyle\frac{1}{u})\right\}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{2}(u^3-\displaystyle\frac{1}{u^3})\)

これより、3次方程式 \(\displaystyle\frac{1}{2}(x^3+3x)=a\) は
\(\displaystyle\frac{1}{2}(u^3-\displaystyle\frac{1}{u^3})=a\)
となる。整理すると
\(u^6-2au^3-1=0\)
\((u^3)^2-2au^3-1=0\) (\(u^3\)の2次方程式とみる)

よって
\(u^3=a±\sqrt{a^2+1}\)
\(u=\sqrt[3]{a±\sqrt{a^2+1}}\)

(あとはこの\(u\)を代入して\(x\)を求めるだけです)

(ア)\(u=\sqrt[3]{a+\sqrt{a^2+1}}\) のとき
\(x=\sqrt[3]{a+\sqrt{a^2+1}}-\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{a+\sqrt{a^2+1}}}\)

(イ)\(u=\sqrt[3]{a-\sqrt{a^2+1}}\) のとき
\(x=\sqrt[3]{a-\sqrt{a^2+1}}-\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{a-\sqrt{a^2+1}}}\)

(\(\displaystyle\frac{1}{a-\sqrt{a^2+1}}=\displaystyle\frac{a+\sqrt{a^2+1}}{a^2-(a^2+1)}=-(a+\sqrt{a^2+1})\) より)

\(=-\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{a+\sqrt{a^2+1}}}+\sqrt[3]{a+\sqrt{a^2+1}}\) ((ア)と同じになる)

したがって
\(x(a)=\sqrt[3]{a+\sqrt{a^2+1}}-\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{a+\sqrt{a^2+1}}}\)

 

(3)

例えば \(x(R)=6.2\) とすれば、\(x(a)\)が整数となるのは\(1~6\)なので、\(N(R)=6\) です。つまり整数部分を考えればよいことなります(ガウス記号と同様に考えればよい)。

関数の極限 はさみうち 例題1-2

\(x(R)\)の整数部分が\(N(R)\)となるから
\(N(R)≦x(R)<N(R)+1\)
よって
\(x(R)-1<N(R)≦x(R)\)
\(R^{-C}(x(R)-1)<R^{-C}N(R)≦R^{-C}x(R)\)

(2)より
(左辺)
\(=R^{-C}\left(\sqrt[3]{R+\sqrt{R^2+1}}-\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{R+\sqrt{R^2+1}}}-1\right)\)

\(R \to \infty\) のとき、括弧内で極限を決定づけるのは \(\sqrt[3]{R+\sqrt{R^2+1}}(=\sqrt[3]{2R})\) で、オーダーは \(\sqrt[3]{R}\) なので、これを打ち消すように \(R^{-C}\) から \(R^{-\frac{1}{3}}\) をもってきます。

\(=R^{\frac{1}{3}-C}\left(\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{R}}\cdot\sqrt[3]{R+\sqrt{R^2+1}}-\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{R}\sqrt[3]{R+\sqrt{R^2+1}}}-\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{R}}\right)\)

\(=R^{\frac{1}{3}-C}\left(\sqrt[3]{1+\sqrt{1+\displaystyle\frac{1}{R^2}}}-\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{R}\sqrt[3]{R+\sqrt{R^2+1}}}-\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{R}}\right)\)

同様に
(右辺)
\(=R^{\frac{1}{3}-C}\left(\sqrt[3]{1+\sqrt{1+\displaystyle\frac{1}{R^2}}}-\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{R}\sqrt[3]{R+\sqrt{R^2+1}}}\right)\)

括弧内はどちらも \(\sqrt[3]{1+\sqrt{1}}=\sqrt[3]{2}\)に収束するので、\(R^{\frac{1}{3}-C}\) が\(0\)でない正の有限値に収束すればよいです。よって\(C=\displaystyle\frac{1}{3}\) です。

ここで\(R \to \infty\)のとき、(左辺)、(右辺)のどちらも括弧内は\(\sqrt[3]{2}\)に収束するから、\(R^{\frac{1}{3}-C}\) が\(0\)でない正の有限値に収束すればよい。

\(C>\displaystyle\frac{1}{3}\) のとき \(\displaystyle\lim_{R \to \infty}R^{\frac{1}{3}-C}=\displaystyle\lim_{R \to \infty}\displaystyle\frac{1}{R^{C-\frac{1}{3}}}=0\)

\(C<\displaystyle\frac{1}{3}\) のとき \(\displaystyle\lim_{R \to \infty}R^{\frac{1}{3}-C}=\infty\)

\(C=\displaystyle\frac{1}{3}\) のとき \(\displaystyle\lim_{R \to \infty}R^{\frac{1}{3}-C}=\displaystyle\lim_{R \to \infty}1=1\)

だから、\(C=\displaystyle\frac{1}{3}\)

またこのとき
\(L=\displaystyle\lim_{R \to \infty}R^{-C}N(R)=\sqrt[3]{2}\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
next→関数の連続・不連続 back→極限と条件式

タイトルとURLをコピーしました