ある区間で成り立つ不等式

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前回 (→(7-7))では、すべての実数で成り立つ不等式について考えましたが、今回はある一部の区間で常に成り立つ不等式について考えます。

 

(問題)
\(-2≦x≦2\) であるすべての\(x\)に対して、\(k≦x^2+kx+3\) であるための定数\(k\)の値の範囲を求めよ。

 

与式を変形すると、\(x^2+kx+3-k≧0\)で左辺の2次関数を考えると、\(-2≦x≦2\)の範囲で、ある\(x=α\)で最小値をとる場合に (最小値)\(≧0\) ならば、他の\(x\)でも不等式は成り立つので、左辺の \(-2≦x≦2\) における最小値を考えればよさそうです。軸が動くパターンで、下に凸のグラフの最小値なので、区間に軸を含むか含まないか、含まない場合も区間の左右どちらに軸があるかで場合分けします。

(解答)
与式の不等式から、\(x^2+kx+3-k≧0\)
\(f(x)=x^2+kx+3-k\) とおくと
\(f(x)=(x+\displaystyle\frac{k}{2})^2-\displaystyle\frac{k^2}{4}-k+3\)

(1)\(-\displaystyle\frac{k}{2}<-2\) つまり \(k>4\)のとき
\(f(x)\)の最小値は \(f(-2)=-3k+7\)
求める条件は \(-3k+7≧0\) より \(k≦\displaystyle\frac{7}{3}\)
これは\(k>4\)を満たさず不適

(2)\(-2≦-\displaystyle\frac{k}{2}≦2\) つまり \(-4≦k≦4\) のとき
\(f(x)\)の最小値は \(f(-\displaystyle\frac{k}{2})=-\displaystyle\frac{k^2}{4}-k+3\)
求める条件は、\(-\displaystyle\frac{k^2}{4}-k+3≧0\)
これを解くと、\(k^2+4k-12≦0\) \((k+6)(k-2)≦0\) より
\(-6≦k≦2\)  \(-4≦k≦4\) との共通範囲は
\(-4≦k≦2\)

(3)\(-\displaystyle\frac{k}{2}>2\) つまり \(k<-4\) のとき
\(f(x)\)の最小値は \(f(2)=k+7\)
求める条件は \(k+7≧0\) すなわち \(k≧-7\)
\(k<-4\) とあわせて \(-7≦k<-4\)

以上(1)~(3)より
\(-7≦k≦2\)

 

\(a>0\)のとき \(ax^2+bx+c>0\) がすべての実数で成り立つ条件は 判別式\(D<0\)でしたが、この条件も (最小値)\(>0\) から導くことができます。
\(y=ax^2+bx+c=a(x+\displaystyle\frac{b}{2a})-\displaystyle\frac{b^2-4ac}{4a}\) なので
下に凸のグラフから、最小値は \(-\displaystyle\frac{b^2-4ac}{4a}\) です。
よって求める条件は、\(-\displaystyle\frac{b^2-4ac}{4a}>0\) で、\(a>0\) より \(-(b^2-4ac)>0\) すなわち \(b^2-4ac=D<0\) となります。

 

 

以上になります。お疲れ様でした。
ここまで読んで頂きありがとうございました。

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