2接線のなす角と交点の軌跡の例題です。
(例題)
放物線 \(C:y=x^2\) 上の異なる2点 \(P(t,t^2),\ Q(s,s^2)\) (\(s<t\)) における接線の交点を\(R(X,Y)\)とする。
(1)\(X,Y\)を\(t,s\)を用いて表せ。
(2)点\(P,Q\)が \(\angle PRQ=\displaystyle\frac{π}{4}\) を満たしながら\(C\)上を動くとき、点\(R\)は双曲線上を動くことを示し、かつ、その双曲線の方程式を求めよ。
(解答)
(1)
\(y=x^2\) について \(y’=2x\) より
\(P,Q\) における接線の方程式はそれぞれ
\(y=2t(x-t)+t^2\)
\(y=2s(x-s)+s^2\)
それぞれ整理して
\(y=2tx-t^2\)・・・①
\(y=2sx-s^2\)・・・②
①②より\(y\)を消去して
\(2tx-t^2=2sx-s^2\)
\(2(t-s)x=t^2-s^2\)
\(t≠s\) だから
\(x=\displaystyle\frac{t+s}{2}\)・・・③
③を①に代入して
\(y=t(t+s)-t^2\)\(=ts\)
したがって
\(X=\displaystyle\frac{t+s}{2}\)
\(Y=ts\)
(交点の\(X\)座標はちょうど平均になります。)
(2)
また、ベクトルの内積を用いても解けます(別解)。
\(P,Q\)における接線と\(x\)軸の正の部分となす角を\(α,β\) (\(0≦α,β≦π\)) とおくと
\(\tanα=2t\)、\(\tanβ=2s\)
\(β-α=\displaystyle\frac{π}{4}\)だから・・・(注)
\(\tan(β-α)=1\) より
\(\displaystyle\frac{2s-2t}{1+2s\cdot2t}=1\)
よって
\(2(s-t)=1+4ts\)・・・④
\(2X=t+s\)、\(Y=ts\)
が得られてるので、これが利用できるように④を2乗します。十分性の確保のために符号もチェックします。
\(s<t\) より、④の左辺は負の値になるから
\(1+4ts<0\)
(1)より \(Y=ts\) だから
\(Y<-\displaystyle\frac{1}{4}\)
このとき④の両辺を2乗して
\(4(s^2+t^2-2st)=(1+4ts)^2\)
\(4\{(s+t)^2-4st\}=(1+4ts)^2\)
(1)より \(2X=t+s\) だから
\(4(4X^2-4Y)=(1+4Y)^2\)
整理すると
\(16X^2-16Y^2-24Y=1\)
\(16X^2-16(Y+\displaystyle\frac{3}{4})^2+9=1\)
\(2X^2-2(Y+\displaystyle\frac{3}{4})^2=-1\)
今回は、\(t,s\)が異なるために2次方程式の異なる2つの実数解として調べます。(\(t,s\)の大小については2実解を大きい順に\(t,s\)に当てはめればよい)
また、
\(2X=t+s\)、\(Y=ts\)
より、\(t,s\)は2次方程式
\(u^2-2Xu+Y=0\)
の解である。判別式は
\(\displaystyle\frac{D}{4}=X^2-Y>0\) (∵\(Y<-\displaystyle\frac{1}{4}\))
となるから、\(t,s\)は異なる実数である。
したがって2接線の交点\(R\)は双曲線
\(2x^2-2(y+\displaystyle\frac{3}{4})^2=-1\) (\(y<-\displaystyle\frac{1}{4}\))
上を動く。
(注)
2接線のなす角としては\(\displaystyle\frac{π}{4}\)となる場合は他にもありますが、このとき\(\angle PRQ=\displaystyle\frac{3π}{4}\) (\(β-α=-\displaystyle\frac{π}{4}\) になる) となり不適です。
(別解)ベクトルの内積を利用
\(P(t,t^2), \ Q(s,s^2),\ R(\displaystyle\frac{t+s}{2},ts)\) より
\(\overrightarrow{RP}=(\displaystyle\frac{t-s}{2},t^2-ts)=(t-s)(\displaystyle\frac{1}{2},t)\)
\(\overrightarrow{RQ}=(\displaystyle\frac{-t+s}{2},s^2-ts)=(t-s)(-\displaystyle\frac{1}{2},-s)\)
(始点を合わせることに注意)
\(t-s>0\) だから \(\angle PRQ=\displaystyle\frac{π}{4}\) のとき、2つのベクトル
\(\vec{p}=(\displaystyle\frac{1}{2},t),\ \vec{q}=(-\displaystyle\frac{1}{2},-s)\)
のなす角が\(\displaystyle\frac{π}{4}\)である。
よって
\(\vec{p}\cdot\vec{q}=|\vec{p}||\vec{q}|\cos\displaystyle\frac{π}{4}\) より
\(-\displaystyle\frac{1}{4}-ts=\sqrt{\displaystyle\frac{1}{4}+t^2}\sqrt{\displaystyle\frac{1}{4}+s^2}\cdot\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\)・・・(i)
(i)の右辺は正の値なので
\(-\displaystyle\frac{1}{4}-ts>0\)
つまり
\(Y<-\displaystyle\frac{1}{4}\)
このとき(i)の両辺を2乗すると
\((-\displaystyle\frac{1}{4}-ts)^2=(\displaystyle\frac{1}{4}+t^2)(\displaystyle\frac{1}{4}+s^2)\cdot\displaystyle\frac{1}{2}\)
\(2(-\displaystyle\frac{1}{4}-ts)^2=t^2s^2+\displaystyle\frac{1}{4}(t^2+s^2)+\displaystyle\frac{1}{16}\)
\(2(-\displaystyle\frac{1}{4}-ts)^2=t^2s^2+\displaystyle\frac{1}{4}\{(s+t)^2-2ts\}+\displaystyle\frac{1}{16}\)
\(2X=t+s\)、\(Y=ts\) より
\(2(-\displaystyle\frac{1}{4}-Y)^2=Y^2+\displaystyle\frac{1}{4}(4X^2-2Y)+\displaystyle\frac{1}{16}\)
整理すると
\(X^2-(Y+\displaystyle\frac{3}{4})^2=-\displaystyle\frac{1}{2}\)
ここで、\(Y<-\displaystyle\frac{1}{4}\) のとき
\(s,t\)を解とする2次方程式
\(u^2-2Xu+Y=0\)
の判別式は
\(\displaystyle\frac{D}{4}=X^2-Y>0\)
となるので、\(s,t\)は異なる2つの実数となり題意を満たす。
したがって\(R\)は次の双曲線上を動く。
\(x^2-(y+\displaystyle\frac{3}{4})^2=-\displaystyle\frac{1}{2}\) (\(y<-\displaystyle\frac{1}{4}\))
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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