2次曲線の媒介変数表示①(三角関数型)

三角関数を利用した2次曲線の媒介変数表示について見ていきます。

 

・円・楕円の媒介変数表示
ある変数、例えば\(t\)によって平面上の曲線が
\(x=f(t)\)、\(y=g(t)\)
で表されるとき、これをこの曲線の媒介変数表示といい、変数\(t\)を媒介変数とよびます。
\(P(x,y)\)とすると、点\(P\)の\(x,y\)座標は\(t\)による制約を受けながら(\(t\)によって媒介されながら)、平面上のある曲線を描くことになります。

以下、三角関数を利用した2次曲線の媒介変数表示を考えていきます。
まず円・楕円については、\(\cos^2θ+\sin^2θ=1\) が肝となる式です。

(円の媒介変数表示)

2次曲線 媒介1

円 \(x^2+y^2=r^2\) の媒介変数表示は、\((\displaystyle\frac{x}{r})^2+(\displaystyle\frac{y}{r})^2=1\) と \(\cos^2θ+\sin^2θ=1\) を比べることにより次のように導かれます。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x = r\cosθ \\ y = r\sinθ \end{array} \right. \end{eqnarray}\)
これは三角関数の定義と同じです。

(楕円の媒介変数表示)
楕円 \(\displaystyle\frac{x^2}{a^2}+\displaystyle\frac{y^2}{b^2}=1\) は、\((\displaystyle\frac{x}{a})^2+(\displaystyle\frac{y}{b})^2=1\) と \(\cos^2θ+\sin^2θ=1\) を比べることにより次のように導かれます。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x = a\cosθ \\ y = b\sinθ \end{array} \right. \end{eqnarray}\)

2次曲線 媒介1-2

1つ注意点があり、それは \(P(a\cosθ,b\sinθ)\) とすると\(OP\)と\(x\)軸の正の方向のなす角が\(θ\)ではないことです(係数が\(a,b\)で違うため)。\(P'(a\cosθ,a\sinθ)\) とすると、\(OP’\)と\(x\)軸の正の方向のなす角が\(θ\)になります。

 

 

・双曲線の媒介変数表示
双曲線の媒介変数表示は \(\tan^2θ+1=\displaystyle\frac{1}{\cos^2θ}\) つまり
\(\displaystyle\frac{1}{\cos^2θ}-\tan^2θ=1\)  (\(\tan^2θ-\displaystyle\frac{1}{\cos^2θ}=-1\))
を利用します。

横開き型:\(\displaystyle\frac{x^2}{a^2}-\displaystyle\frac{y^2}{b^2}=1\)
は、\(\displaystyle\frac{1}{\cos^2θ}-\tan^2θ=1\) と比較して
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x = \displaystyle\frac{a}{\cosθ} \\ y = b\tanθ \end{array} \right. \end{eqnarray}\)

縦開き型:\(\displaystyle\frac{x^2}{a^2}-\displaystyle\frac{y^2}{b^2}=-1\)
は、\(\tan^2θ-\displaystyle\frac{1}{\cos^2θ}=-1\) と比較して
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x = a\tanθ \\ y = \displaystyle\frac{b}{\cosθ}\end{array} \right. \end{eqnarray}\)

となります。なお\(θ\)がグラフ上でどの角を表しているかは例えば横開き型だと、斜辺\(\displaystyle\frac{a}{\cosθ}\)、底辺\(a\)である直角三角形を意識すると、\(P'(\displaystyle\frac{a}{\cosθ},0)\) から原点を中心とする半径\(a\)の円に接線を引きその接点を\(T\)とすると、\(\angle P’OT=θ\) です。縦開き型も半径\(b\)の円で同様に考えます。

2次曲線 媒介1-3

 

以上により2次曲線(円・楕円・双曲線)上の点を媒介変数1文字によって表すことが可能になります。しかも根号や\(±\)も入っていない形なので、有用な場面が多いです。

 

 

・放物線の媒介変数表示
放物線では、2乗になっている文字の方でもう一方の文字(1乗の文字)を表すことができるので2乗の文字を例えば\(t\)とおけば媒介変数表示は完了です。よって特に特殊な知識は必要ないですが、分数の形などを避けるために少し工夫は可能です。

\(y^2=4px\) については、\(y\)のほうを文字\(t\)でおけばよいのですが、係数\(4\)と分数の形になるのを避けるために \(y=2pt\) とすると、\(4p^2t^2=4px\) より次のような媒介変数表示になります。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x = pt^2 \\ y =2pt\end{array} \right. \end{eqnarray}\)

\(x^2=4py\) も同様に、\(x=2pt\) とおくと次のような表示になります。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x = 2pt\\ y =pt^2 \end{array} \right. \end{eqnarray}\)

 

 

・媒介変数表示による平行移動

2次曲線 媒介1-4

\(x=f(t)\)、\(y=g(t)\) で表される曲線を「\(x\)軸方向に\(p\)、\(y\)軸方向に\(q\)」だけ平行移動させた曲線の媒介変数表示は、\((x,y)\) が \((x+p,y+q)\) に動くことにより次のようになります。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} X = f(t)+p・・・①\\ Y =g(t)+q・・・② \end{array} \right. \end{eqnarray}\)
(あえて\(X,Y\)を使っています。通常は\(x,y\)として表します)

移動前の曲線
\(F(x,y)=0\)・・・③  (\(x=f(t)\)、\(y=g(t)\))
を「\(x\)軸方向に\(p\)、\(y\)軸方向に\(q\)」だけ平行移動させた曲線の方程式は
\(F(X-p,Y-q)=0\)・・・④
ですが、①②より
\(f(t)=X-p\)、\(g(t)=Y-q\)
であり、これらを③に代入することで④と同じ式が得られ結果が一致します。

 

 

(例題)
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x= 2\cosθ+3 \\ y =\sinθ+4 \end{array} \right. \end{eqnarray}\)
で表された曲線は、どのような曲線か。

 

\(x-3=2\cosθ\)、\(y-4=\sinθ\) より、楕円を平行移動したものであることは分かりますが、\(θ\)を消去すると分かりやすいでしょう。

(解答)
\(\displaystyle\frac{x-3}{2}=\cosθ\)、\(y-4=\sinθ\) より
\(\displaystyle\frac{(x-3)^2}{4}+(y-4)^2=1\) (楕円)

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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