引き続き2次曲線の最大最小問題です。
(例題1)
楕円 \(\displaystyle\frac{x^2}{4}+\displaystyle\frac{y^2}{9}=1\) 上に \(x_1>0,\ y_1>0\) となるような点 \(P(x_1,y_1)\) をとる。点\(P\)における楕円の接線を\(l_1\)、法線を\(l_2\)とする。接線\(l_1\)が\(x\)軸と交わる点を\(Q\)、法線\(l_2\)が\(x\)軸と交わる点を\(S\)、\(l_2\)が\(y\)軸と交わる点を\(R\)とする。
(1)線分\(SQ\)の長さの最小値を求めよ。
(2)\(△OSR\)の面積の最大値を求めよ。
(解答)
(1)
\(\displaystyle\frac{x^2}{4}+\displaystyle\frac{y^2}{9}=1\) 上の点 \(P(x_1,y_1)\) における接線の方程式は
\(\displaystyle\frac{x_1x}{4}+\displaystyle\frac{y_1y}{9}=1\)・・・①
法線の方程式は、①の傾きが\(-\displaystyle\frac{9x_1}{4y_1}\)だから
\(y=\displaystyle\frac{4y_1}{9x_1}(x-x_1)+y_1\)
つまり
\(y=\displaystyle\frac{4y_1}{9x_1}x+\displaystyle\frac{5y_1}{9}\)・・・②
①で \(y=0\) とすると\(Q\)の座標は
\(Q(\displaystyle\frac{4}{x_1},0)\)
②で \(y=0\) とすると\(S\)の座標は
\(S(-\displaystyle\frac{5}{4}x_1,0)\)
よって
\(SQ=\left|\displaystyle\frac{4}{x_1}-(-\displaystyle\frac{5}{4}x_1)\right|\)
\(=\displaystyle\frac{4}{x_1}+\displaystyle\frac{5x_1}{4}\)
相加相乗平均を使う場合、等号成立には気を付けます。
ここで、\(P(x_1,y_1)\) は楕円の第1象限における点なので
\(0<x_1<2\)
相加相乗平均の不等式より
\(SQ≧2\sqrt{\displaystyle\frac{4}{x_1}\cdot\displaystyle\frac{5}{4}x_1}=2\sqrt{5}\)
等号は \(\displaystyle\frac{4}{x_1}=\displaystyle\frac{5}{4}x_1\)
つまり \(x_1=\displaystyle\frac{4}{\sqrt{5}}\)
のときに成り立ち、\(0<x_1<2\) を満たす。
したがって\(SQ\)の最小値は \(2\sqrt{5}\)
(2)
\(y=\displaystyle\frac{4y_1}{9x_1}x+\displaystyle\frac{5y_1}{9}\)・・・②
で \(x=0\) とすると、\(R(0,\displaystyle\frac{5y_1}{9})\)
\(S(-\displaystyle\frac{5x_1}{4},0)\) より
\(△OSR=\displaystyle\frac{1}{2}\cdot\displaystyle\frac{5x_1}{4}\cdot\displaystyle\frac{5y_1}{9}\)
\(=\displaystyle\frac{25}{72}x_1y_1\)
ここで、\(P(x_1,y_1)\) は \(\displaystyle\frac{x^2}{4}+\displaystyle\frac{y^2}{9}=1\) 上の第1象限における点だから
\(x_1=2\cosθ\)、\(y_1=3\sinθ\) (\(0<θ<\displaystyle\frac{π}{2}\))
とおける。
このとき
\(△OSR=\displaystyle\frac{25}{72}\cdot6\sinθ\cosθ\)
\(=\displaystyle\frac{25}{24}\sin2θ\)
\(0<2θ<π\) より \(\sin2θ=1\) (\(θ=\displaystyle\frac{π}{4}\)) のとき
最大値 \(\displaystyle\frac{25}{24}\) をとる。
(別解)相加相乗平均
\(1=\displaystyle\frac{x_1^2}{4}+\displaystyle\frac{y_1^2}{9}≧2\sqrt{\displaystyle\frac{x_1^2}{4}\cdot\displaystyle\frac{y_1^2}{9}}=\displaystyle\frac{x_1y_1}{3}\)
となるから
\(x_1y_1≦3\)
これより
\(△OSR≦\displaystyle\frac{25}{72}\cdot3\)
\(△OSR≦\displaystyle\frac{25}{24}\)
であることが分かります。もちろん、等号成立の確認は必要です。
\(\displaystyle\frac{x_1^2}{4}=\displaystyle\frac{y_1^2}{9}\) (等号成立条件) と
\(\displaystyle\frac{x_1^2}{4}+\displaystyle\frac{y_1^2}{9}=1\)
より、\(x_1,y_1\)が正の実数としてとれるか (\(P(x_1,y_1)\) が第1象限に入っているか) を調べることになります。(この連立方程式を解いて\(x_1,y_1\)を具体的に求めればよいです)
(例題2)
楕円 \(\displaystyle\frac{x^2}{4}+\displaystyle\frac{y^2}{3}=1\) の周上で \(y≧0\) の部分を\(L\)、2つの円 \((x-1)^2+y^2=1\)、\((x+1)^2+y^2=1\) の周上で \(y≦0\) の部分をそれぞれ\(M,N\)とする。このとき、\(L,M,N\)上のそれぞれの動点\(P,Q,R\)に対し、\(PQ+PR\)の最大値を求めよ。
(解答)
2円の中心をそれぞれ\(F,F’\)とおく。
\(P,F,Q\)がこの順に1直線上にあるときの点\(Q\)を特に\(Q’\)、\(P,F’,R\)がこの順に1直線上にあるときの点\(R\)を特に\(R’\) とすると
\(PQ≦PF+FQ=PF+FQ’\)
\(PR≦PF’+F’R=PF’+F’R’\)
よって
\(PQ+PR≦PF+PF’+2\)
ここで
楕円 \(\displaystyle\frac{x^2}{4}+\displaystyle\frac{y^2}{3}=1\)
の焦点は、\(\sqrt{4-3}=1\) より
\((-1,0),(1,0)\)
となるから、2円の中心と一致。
また
\(PF+PF’=2×2=4\) より
\(PQ+PR≦4+2=6\)
したがって\(PQ+PR\)の最大値は\(6\)。
(\(P,F,Q\) および \(P,F’,R\) がこの順に一直線上にあるとき)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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