2次曲線と最大最小②

引き続き2次曲線の最大最小問題です。

 

(例題1)
楕円 \(\displaystyle\frac{x^2}{4}+\displaystyle\frac{y^2}{9}=1\) 上に \(x_1>0,\ y_1>0\) となるような点 \(P(x_1,y_1)\) をとる。点\(P\)における楕円の接線を\(l_1\)、法線を\(l_2\)とする。接線\(l_1\)が\(x\)軸と交わる点を\(Q\)、法線\(l_2\)が\(x\)軸と交わる点を\(S\)、\(l_2\)が\(y\)軸と交わる点を\(R\)とする。

(1)線分\(SQ\)の長さの最小値を求めよ。
(2)\(△OSR\)の面積の最大値を求めよ。

 

 

(解答)
(1)

まずは接線と法線の方程式を求めます。

2次曲線 最大② 例題1-1

\(\displaystyle\frac{x^2}{4}+\displaystyle\frac{y^2}{9}=1\) 上の点 \(P(x_1,y_1)\) における接線の方程式は

\(\displaystyle\frac{x_1x}{4}+\displaystyle\frac{y_1y}{9}=1\)・・・①

法線の方程式は、①の傾きが\(-\displaystyle\frac{9x_1}{4y_1}\)だから
\(y=\displaystyle\frac{4y_1}{9x_1}(x-x_1)+y_1\)
つまり
\(y=\displaystyle\frac{4y_1}{9x_1}x+\displaystyle\frac{5y_1}{9}\)・・・②

①で \(y=0\) とすると\(Q\)の座標は
\(Q(\displaystyle\frac{4}{x_1},0)\)
②で \(y=0\) とすると\(S\)の座標は
\(S(-\displaystyle\frac{5}{4}x_1,0)\)

よって
\(SQ=\left|\displaystyle\frac{4}{x_1}-(-\displaystyle\frac{5}{4}x_1)\right|\)

\(=\displaystyle\frac{4}{x_1}+\displaystyle\frac{5x_1}{4}\)

あとは最小値を求めるだけです。\(x_1\)が逆数となっていることと \(x_1>0\) より相加相乗平均を使うと楽です。微分してもよいです。
相加相乗平均を使う場合、等号成立には気を付けます。

ここで、\(P(x_1,y_1)\) は楕円の第1象限における点なので
\(0<x_1<2\)
相加相乗平均の不等式より
\(SQ≧2\sqrt{\displaystyle\frac{4}{x_1}\cdot\displaystyle\frac{5}{4}x_1}=2\sqrt{5}\)

等号は \(\displaystyle\frac{4}{x_1}=\displaystyle\frac{5}{4}x_1\)
つまり \(x_1=\displaystyle\frac{4}{\sqrt{5}}\)
のときに成り立ち、\(0<x_1<2\) を満たす。

したがって\(SQ\)の最小値は \(2\sqrt{5}\)

 

(2)

2次曲線 最大② 例題1-2

\(y=\displaystyle\frac{4y_1}{9x_1}x+\displaystyle\frac{5y_1}{9}\)・・・②
で \(x=0\) とすると、\(R(0,\displaystyle\frac{5y_1}{9})\)
\(S(-\displaystyle\frac{5x_1}{4},0)\)
より

\(△OSR=\displaystyle\frac{1}{2}\cdot\displaystyle\frac{5x_1}{4}\cdot\displaystyle\frac{5y_1}{9}\)
\(=\displaystyle\frac{25}{72}x_1y_1\)

\(\displaystyle\frac{x_1^2}{4}+\displaystyle\frac{y_1^2}{9}=1\) のもとでの\(x_1y_1\)の最大値を求めることになります。同様に相加相乗平均を使ってもよいですが(別解参照)、媒介変数を利用すると楽です。

ここで、\(P(x_1,y_1)\) は \(\displaystyle\frac{x^2}{4}+\displaystyle\frac{y^2}{9}=1\) 上の第1象限における点だから
\(x_1=2\cosθ\)、\(y_1=3\sinθ\) (\(0<θ<\displaystyle\frac{π}{2}\))
とおける。
このとき
\(△OSR=\displaystyle\frac{25}{72}\cdot6\sinθ\cosθ\)
\(=\displaystyle\frac{25}{24}\sin2θ\)

\(0<2θ<π\) より \(\sin2θ=1\) (\(θ=\displaystyle\frac{π}{4}\)) のとき
最大値 \(\displaystyle\frac{25}{24}\) をとる。

 

(別解)相加相乗平均
\(1=\displaystyle\frac{x_1^2}{4}+\displaystyle\frac{y_1^2}{9}≧2\sqrt{\displaystyle\frac{x_1^2}{4}\cdot\displaystyle\frac{y_1^2}{9}}=\displaystyle\frac{x_1y_1}{3}\)
となるから
\(x_1y_1≦3\)
これより
\(△OSR≦\displaystyle\frac{25}{72}\cdot3\)
\(△OSR≦\displaystyle\frac{25}{24}\)
であることが分かります。もちろん、等号成立の確認は必要です。
\(\displaystyle\frac{x_1^2}{4}=\displaystyle\frac{y_1^2}{9}\) (等号成立条件) と
\(\displaystyle\frac{x_1^2}{4}+\displaystyle\frac{y_1^2}{9}=1\)

より、\(x_1,y_1\)が正の実数としてとれるか (\(P(x_1,y_1)\) が第1象限に入っているか) を調べることになります。(この連立方程式を解いて\(x_1,y_1\)を具体的に求めればよいです)

 

 

 

(例題2)
楕円 \(\displaystyle\frac{x^2}{4}+\displaystyle\frac{y^2}{3}=1\) の周上で \(y≧0\) の部分を\(L\)、2つの円 \((x-1)^2+y^2=1\)、\((x+1)^2+y^2=1\) の周上で \(y≦0\) の部分をそれぞれ\(M,N\)とする。このとき、\(L,M,N\)上のそれぞれの動点\(P,Q,R\)に対し、\(PQ+PR\)の最大値を求めよ。

 

それぞれの動点を変数を用いて表して、\(PQ+PR\) を計算して・・・とやると大変そうです。そこで円周上の動点との距離の最大値は円の中心を通るときを考えるという定石を利用します。そしてこの例題では円の中心がちょうど楕円の焦点になっていることにも着目します。

(解答)

2次曲線 最大② 例題2-1

2円の中心をそれぞれ\(F,F’\)とおく。
\(P,F,Q\)がこの順に1直線上にあるときの点\(Q\)を特に\(Q’\)、\(P,F’,R\)がこの順に1直線上にあるときの点\(R\)を特に\(R’\) とすると
\(PQ≦PF+FQ=PF+FQ’\)
\(PR≦PF’+F’R=PF’+F’R’\)
よって
\(PQ+PR≦PF+PF’+2\)

ここで
楕円 \(\displaystyle\frac{x^2}{4}+\displaystyle\frac{y^2}{3}=1\)
の焦点は、\(\sqrt{4-3}=1\) より
\((-1,0),(1,0)\)
となるから、2円の中心と一致。
また
\(PF+PF’=2×2=4\) より
\(PQ+PR≦4+2=6\)

したがって\(PQ+PR\)の最大値は\(6\)
(\(P,F,Q\) および \(P,F’,R\) がこの順に一直線上にあるとき)

3点が順に一直線上にあればよいので、\(P\)は楕円の周上のどこにあっても最大値をとるようにすることができます。

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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