三角形の辺と角の決定

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正弦定理や余弦定理を利用して、与えられたもの以外の三角形の辺と角を決定していきます。正弦定理・余弦定理をそれぞれ利用した今までも同じことをやっているのですが、答えが2個ある場合や1個しかない場合がありました。その解の個数の目安を正弦定理・余弦定理の長所や短所を交えて考えていきます。

 

(例題1)
\(△ABC\)において、\(b=\sqrt{6},c=\sqrt{3}-1,A=45°\) のとき、\(a,B,C\)を求めよ。

 

(解法1)余弦定理のみを利用する場合
\(a^2=(\sqrt{6})^2+(\sqrt{3}-1)^2-2\sqrt{6}(\sqrt{3}-1)\cos45°=4\)
\(a>0\) だから \(a=2\)

また、\(\cos B=\displaystyle\frac{(\sqrt{3}-1)^2+2^2-(\sqrt{6})^2}{2・(\sqrt{3}-1)・2}=-\displaystyle\frac{1}{2}\)
\(0°<B<180°-45°\) だから、\(B=120°\)

したがって、\(C=180°-(45°+120°)=\)\(15°\)

三角形 解く1

\(\cos C\)から求めた場合(15°の値を知らなければ求まらない)に、切り替えて\(\cos B\)を求める以外はすんなりいく解法です。

 

(解法2)余弦定理と正弦定理を両方使う場合
\(a^2=(\sqrt{6})^2+(\sqrt{3}-1)^2-2\sqrt{6}(\sqrt{3}-1)\cos45°=4\)
\(a>0\) だから \(a=2\)

正弦定理より、\(\displaystyle\frac{2}{\sin45°}=\displaystyle\frac{\sqrt{6}}{\sin B}\)
\(\sin B=\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\)
\(0°<B<180°-45°\) だから、\(B=60°,120°\)

\(B=60°\) のとき \(C=75°\)
\(B=120°\) のとき \(C=15°\)

2つ求まりました。おかしいですね。このように正弦定理では比の値に対して角度が2通り考えられることがあるため、吟味が必要な場合があります(辺と角の大小の関係を使う)。余弦定理の場合は比の値に対して角度は1通りなので、角度を求めることに関しては余弦定理のほうが優れています。
仮に(解法2)の方針で解いた場合には、2つ答えとしてしまいがちですが、問題文の条件から答えが1つしか考えれられないことが分かると、片方が不適であると見当がつきます。問題文で与えられた条件は、\(b,c,A\)です。これは2辺と挟まれる角なので、三角形の合同条件からこの条件で考えらえる三角形はすべて合同、すなわち1つしかありえません。他にも3辺が分かっている、1辺と2角(両端ではない2角でも内角の和が180°から両端が求まる)が分かっている場合も1通りしか考えられません。
しかし、\(c=\sqrt{3}-1\) は3辺の中で最も小さいので、対応する角\(C\)が3角の中で最も大きくなる\(C=75°\)は不適。
よって、\(B=120°\) \(C=15°\)

 

※辺と角の大小関係については (→(3-6)三角形の成立条件と辺と角の大小関係) を参照してください。辺の大小関係とその対角の大小関係は一致するので、最も小さい辺の対角が最も大きい角ではおかしいということです。

それと、余弦定理には3辺と1角が登場するので連立方程式などを除き、2辺が最低分かっていないと利用できません。あと正弦定理は計算が楽な場合が多いです。うまく使い分けましょう。

 

 

(例題2)
\(△ABC\)において、\(a=10,b=10\sqrt{3},A=30°\) のとき、\(c,B,C\)を求めよ。

 

2辺と挟まれてない1角なので、三角形が1通りに求まるかどうかは分かりません。(角と辺の大きさ次第で1通りに求まる場合もあります)
図を描いてみて判断します。
(解答)
余弦定理より
\(10^2=(10\sqrt{3})^2+c^2-2・10\sqrt{3}・c・\cos 30°\)
整理すると
\(c^2-30c+200=0\) \((c-10)(c-20)=0\) より
\(c=10,20\)
①\(c=10\)のとき
\(a=c=10\) の二等辺三角形なので、\(B=120°,C=30°\)
②\(c=20\)のとき
\(\cos B=\displaystyle\frac{20^2+10^2-(10\sqrt{3})^2}{2・20・10}=\displaystyle\frac{1}{2}\)
\(0°<B<180°-30°\) だから \(B=60°\)
よって、\(C=180°-(30°+60°)=90°\)
以上より、\(c=10,B=120°,C=30°\) または \(c=20,B=60°,C=90°\)

 

①②を合わせた図は下の通りです。

三角形 解く2

 

 

 

以上になります。お疲れ様でした。
ここまで見て頂きありがとうございました。

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