正四面体と球

 

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正四面体に外接・内接する球について考えていきます。

 

 

(問題)
1辺の長さが\(a\)である正四面体\(ABCD\)について
(1)四面体に外接する球の半径\(R\)を求めよ。
(2)四面体の体積\(V\)を求めよ。
(3)四面体に内接する球の半径\(r\)を求めよ。

 

(解答)
(1)

外接する球とは四面体の4頂点\(ABCD\)をすべて通る球です。\(A\)から\(△BCD\)に垂線\(AH\)を下ろすと\(H\)は\(△BCD\)の外接円の中心です。外接球の中心\(O\)から垂線\(OH’\)を下ろしても\(OB=OC=OD\)より、\(△OBH’≡△OCH’≡△ODH’\) なので、\(BH’=CH’=DH’\)となり\(H’\)は外接円の中心となります。よって\(HとH’\)は一致します。さらに、\(AH⊥平面BCD\) かつ \(OH⊥平面BCD\) なので\(AOH\)は一直線上に存在します。
正四面体 外接球
\(A\)から\(△BCD\)に垂線\(AH\)を下ろすと、\(△ABH,△ACH,△ADH\)は、\(AB=AC=AD\) で\(AH\)共通の直角三角形なので、\(△ABH≡△ACH≡△ADH\)。ゆえに \(BH=CH=DH\)となり \(H\)は\(△BCD\)の外接円の中心である。
また、外接球の中心を\(O\)とすれば、同様に考えると\(O\)から\(△BCD\)に垂線を下ろすと垂線の足は\(H\)となる。さらに、\(AH⊥平面BCD\) かつ \(OH⊥平面BCD\) なので\(AOH\)は一直線上に存在する。

 

\(△BCD\)の外接円の半径を\(k\)とすると正弦定理により
\(2k=\displaystyle\frac{a}{\sin60°}\) だから
\(k=BH=\displaystyle\frac{a}{\sqrt{3}}\)

また、\(△ABH\)において三平方の定理より
\(AH=\sqrt{AB^2-BH^2}=\sqrt{a^2-(\displaystyle\frac{a}{\sqrt{3}})^2}=\displaystyle\frac{\sqrt{6}}{3}a\)

 

さらに、\(△OBH\)において三平方の定理より
\(OB^2=BH^2+OH^2\)で
\(OH=AH-AO=\displaystyle\frac{\sqrt{6}}{3}a-R\) だから
\(R^2=(\displaystyle\frac{a}{\sqrt{3}})^2+(\displaystyle\frac{\sqrt{6}}{3}a-R)^2\)
これを\(R\)について解くと
\(\displaystyle\frac{2\sqrt{6}}{3}aR=a^2\) で\(a≠0\)だから
\(R=\displaystyle\frac{\sqrt{6}}{4}a\)

 

 

(2)

(1)より四面体の高さ\(AH\)が分かっているので、簡単です。
(1)より \(AH=\displaystyle\frac{\sqrt{6}}{3}a\) であり
\(△BCD=\displaystyle\frac{1}{2}a・a・\sin60°\) だから\(V=\displaystyle\frac{1}{3}・△BCD・AH\)
\(=\displaystyle\frac{1}{3}・\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{4}a^2・\displaystyle\frac{\sqrt{6}}{3}a\)
\(=\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{12}a^3\)

 

 

(3)

四面体に内接する球とは、四面体の全ての面に接する球のことです。
(2)で正四面体の体積を求めたのでこれを利用してみます。内接球の中心を\(I\)とすると、\(I\)と底面\(△BCD\)と内接球の接点\(T\)を結ぶと、\(IT\)と平面\(BCD\)は垂直に交わります。ここで四面体\(IBCD\)を考えてやると、これは底面\(BCD\)、高さ\(IH=\)内接球の半径\(r\) の四面体です。他の側面3つも全く同じように考えると、合計同じ体積の四面体が4つできます。これら4つの四面体の体積の和が全体の四面体\(ABCD\)の和であることを利用します。
平面の三角形での内接円の半径を求める問題では、全体の三角形を3つの三角形に分けてその面積の和を考えましたが、それの応用です。
正四面体 内接球
内接球の中心を\(I\)とし、\(I\)と\(△BCD\)との接点\(T\)を結ぶと\(IT\)は平面\(BCD\)と垂直に交わり、\(IT=r\)となる。よって四面体\(I-BCD\)を考えると、底面\(△BCD\)、高さ\(r\)の四面体となる。
側面(図の面②~④)も同様に考えると、面②~④を底面として高さ\(r\)の四面体ができ、初めに考えたものを含め合計4つの同じ体積の四面体ができる。
これらの4つ四面体の四面体の体積の和が、四面体\(ABCD\)の体積となるので(2)より
\(\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{12}a^3=4×(I-BCD\)の体積\()\)
(2)より \(△BCD=\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{4}a^2\) だから
\(\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{12}a^3=4×(\displaystyle\frac{1}{3}・\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{4}a^2・r)\)
\(r\)について解くと
\(r=\displaystyle\frac{\sqrt{6}}{12}a\)

 

 

 

(1)で外接円の中心\(O\)と平面\(BCD\)の距離は\(OH\)です(\(OH\)と平面\(BCD\)は垂直に交わります)。他の面も同様に\(O\)との距離は\(OH\)と同じなので、中心\(O\)で\(OH\)を半径とする球を考えるとこれは内接球となります。よって外接球と内接球の中心は一致します。
なので体積の和を使わず、(1)で図形的に\(OH\)を求めても内接球の半径は求まります。
あえて球の中心\((O,I)\)と垂線の足\((H,T)\)と別の記号で書きましたが、結局は同じ点です。

 

 

 

※結構ハードな内容でしたね。何度か繰り返し練習すれば慣れますので頑張りましょう。

 

 

 

以上になります。お疲れ様でした。
ここまで見て頂きありがとうございました。

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