加法定理を利用する問題について見ていきます。
(例題)
(1) \(\sin x-\sin y=\displaystyle\frac{1}{2}\), \(\cos x+\cos y\)\(=\displaystyle\frac{1}{3}\) のとき、\(\cos(x+y)\) の値を求めよ。
(2)\(\sinθ=\displaystyle\frac{1}{5}\) (\(0≦θ<2π\))であるとき、\(4\sin(θ-\displaystyle\frac{π}{3})\)\(+4\sin(θ+\displaystyle\frac{π}{3})\) の値を求めよ。
(3)\(\tanα=2\), \(\tanβ=-3\) のとき、\(α-β\) の値を求めよ。ただし、\(0°<α<90°\), \(-90°<β<0°\) とする。
(解答)
(1)
問題の2つの条件式を2乗して和をとれば、右辺がでてきます。
なお、\(\sin^2x+\cos^2x=1\) と \(\sin^2y+\cos^2y=1\) もあわせて利用すれば、具体的にすべての三角関数の値が出ますが、これは面倒です。
条件式を2乗すると
\((\sin x-\sin y)^2\)\(=\displaystyle\frac{1}{4}\)
\((\cos x+\cos y)^2\)\(=\displaystyle\frac{1}{9}\)
辺々足して
\(\sin^2x-2\sin x\sin y+\sin^2y\)\(+\cos^2x\)\(+2\cos x\cos y\)\(+\cos^2y\)
\(=\displaystyle\frac{13}{36}\)
\((\sin^2x+\cos^2x)\)\(+(\sin^2y+\cos^2y)\)\(-2\sin x\sin y\)\(+2\cos x\cos y\)
\(=\displaystyle\frac{13}{36}\)
\(2-2\sin x\sin y\)\(+2\cos x\cos y\)\(=\displaystyle\frac{13}{36}\)
よって
\(\cos x\cos y-\sin x\sin y\)\(=-\displaystyle\frac{59}{72}\)
したがって
\(\cos(x+y)\)\(=-\displaystyle\frac{59}{72}\)
(2)
本問では結果的に\(\cosθ\) の値は計算途中で消えるので必要ないですが、場合によっては求める必要があります。
\(4\sin(θ-\displaystyle\frac{π}{3})\)\(+4\sin(θ+\displaystyle\frac{π}{3})\)
\(=4(\sinθ\cos\displaystyle\frac{π}{3}-\cosθ\sin\displaystyle\frac{π}{3})\)\(+4(\sinθ\cos\displaystyle\frac{π}{3}\)\(+\cosθ\sin\displaystyle\frac{π}{3})\)
\(=8\sinθ\cos\displaystyle\frac{π}{3}\)
\(=8・\displaystyle\frac{1}{5}・\displaystyle\frac{1}{2}\)
\(=\)\(\displaystyle\frac{4}{5}\)
(3)
\(\tanα,\tanβ\) の値が与えられているので\(\tan(α-β)\)を考えていきます。最後に角を決定するときには、\(α-β\)の範囲に注意です。
\(\tan(α-β)\)\(=\displaystyle\frac{\tanα-\tanβ}{1+\tanα\tanβ}\) より
\(\tan(α-β)\)\(=\displaystyle\frac{2-(-3)}{1+2\cdot(-3)}\)\(=\displaystyle\frac{5}{-5}\)
よって
\(\tan(α-β)\)\(=-1\)・・・①
ここで
\(0°<α<90°\)・・・②, \(-90°<β<0°\) より
\(0<-β<90°\)・・・③ であるから、②③より
\(0°<α-β<180°\)
したがって①を満たす \(α-β\) の値は
\(α-β=135°\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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