連立三角方程式

連立三角方程式の問題について見ていきます。

 

(例題1)次の連立方程式を解け。

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} \sin x +\sin y= 1 \\ \cos x + \cos y =1 \end{array} \right. \end{eqnarray}
ただし \(0°≦x≦180°\), \(0°≦y≦180°\)

 

 

 

三角関数に限らず、
①連立方程式では文字を減らす(消去する)
②方程式を最終的に 「(積)=0」の形にする
が原則です。これに加えて連立三角方程式では、三角関数特有の色々な公式(倍角、和積など)を使いますが、なるべく三角関数の種類や角を統一するということが基本となります。

 

(解法1)

1つ目の解法は、\(\sin^2y+\cos^2y=1\) を用いることで、\(y\)を消去する方法です。

\(\sin y= 1-\sin x\)・・・①
\(\cos y =1-\cos x\)・・・② より

\(\sin^2y+\cos^2y=1\) に代入して
\((1-\sin x)^2+(1-\cos x)^2\)\(=1\)
展開して整理すると
\(\sin x+\cos x\)\(=1\)
合成して、両辺\(\sqrt{2}\)で割ると
\(\sin(x+45°)\)\(=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\)

\(45°≦x+45°≦225°\) だから
\(x+45°=45°,135°\)
よって
\(x=0°,90°\)

 

あとは\(y\)を決定するだけですが、\(y\)を消去するときに①②を2乗していて十分性が怪しいので、①②片方だけでなく、ちゃんと両方を満たすような\(y\)を決定していきます。

\(x=0°\) のとき ①②より
\(\sin y= 1\)
\(\cos y =0\)
これらを満たすのは \(y=90°\)

\(x=90°\)のとき ①②より
\(\sin y= 0\)
\(\cos y =1\)
これらを満たすのは \(y=0°\)

以上から
\((x,y)\)\(=(0°,90°)\),\((90°,0°)\)

 

 

(解法2)

係数が1で等しく、和積の公式が利用できます。それぞれの等式を和積により変形すると共通部分がでてくるので、そこに着目します。

和積の公式より与式はそれぞれ

\(2\sin\displaystyle\frac{x+y}{2}\cos\displaystyle\frac{x-y}{2}\)\(=1\)・・・③
\(2\cos\displaystyle\frac{x+y}{2}\cos\displaystyle\frac{x-y}{2}\)\(=1\)・・・④

共通部分を消去します。③÷④をすることで消去できるうえに三角関数の種類も\(\tan\)1つに統一できます。ただし割るものが\(0\)でないことを確認するのを忘れずに。

④の右辺は\(1\)なので、左辺は\(0\)でないから③÷④をして
\(\tan\displaystyle\frac{x+y}{2}=1\)
\(0°≦\displaystyle\frac{x+y}{2}≦180°\) だから
\(x+y=90°\)・・・⑤

④に⑤を代入して
\(2\cdot\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\cos\displaystyle\frac{x-y}{2}\)\(=1\)
\(\cos\displaystyle\frac{x-y}{2}\)\(=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\)
\(-90°≦\displaystyle\frac{x-y}{2}≦90°\) だから
\(x-y=±90°\)・・・⑥

⑤⑥から
\((x,y)\)\(=(0°,90°)\),\((90°,0°)\)

 

この連立方程式は対称式なので、ある\((x,y)\)が解のときは、それを入れ替えたものも当然解になります。

 

 

(例題2)次の連立方程式を解け。
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} \sin x =\sqrt{2}\sin y \\ \tan x =\sqrt{3}\tan y \end{array} \right. \end{eqnarray}
ただし \(0°<x<180°\), \(0°<y<180°\)

 

 

\(\sin\) の係数が違うので和積は使えません。
よって、文字消去&三角関数の種類の統一 をします。

(解答)
2つ目の式は
\(\displaystyle\frac{\sin x}{\cos x}=\sqrt{3}\cdot\displaystyle\frac{\sin y}{\cos y}\)・・・①
ただし、\(x≠90°\), \(y≠90°\)

\(\sin x =\sqrt{2}\sin y\) を①に代入して
\(\displaystyle\frac{\sqrt{2}\sin y}{\cos x}=\sqrt{3}\cdot\displaystyle\frac{\sin y}{\cos y}\)

\(0°<y<180°\) より \(\sin y≠0\) だから、両辺\(\sin y\) で割って整理すると
\(\cos y=\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{2}}\cos x\)・・・②

与式の1番目の式と②と\(\sin^2y+\cos^2y=1\) より\(y\)を消去します。

\(\sin^2y+\cos^2y=1\) に②と、与式の1番目の式を代入して

\((\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\sin x)^2+(\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{2}}\cos x)^2\)\(=1\)

\(\sin^2x+3\cos^2x=2\)

\((1-\cos^2x)+3\cos^2x=2\)

\(\cos^2x=\displaystyle\frac{1}{2}\)

\(\cos x=±\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\)

よって
\(x=45°,135°\)

最後に\(y\)の検討をします。今回も十分性の確認のために、
与式の1番目の式と、2番目の式を変形した②両方を満たす\(y\)を決定します。

与式の1番目の式 \(\sin y=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\sin x\)
② \(\cos y=\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{2}}\cos x\) より

\(x=45°\)のとき
\(\sin y=\displaystyle\frac{1}{2}\), \(\cos y=\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\) だから
\(y=30°\)

\(x=135°\)のとき
\(\sin y=\displaystyle\frac{1}{2}\), \(\cos y=-\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\) だから
\(y=150°\)

以上から
\((x,y)\)\(=(45°,30°)\), \((135°,150°)\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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