文字式が因数分解できる不定方程式について学んでいきます。
・因数分解型の不定方程式
次の例を見ていきます。
\(x,y\)を実数とする。
\(xy=0\) を満たす\(x,y\)を求めよ。
解は \(x=0\) または \(y=0\) となり、限定されます。
\(x,y\)を実数とする。
\(xy=5\) を満たす\(x,y\)を求めよ。
\((x,y)=(1,5),(\sqrt5,\sqrt5)\)\(,(2,\displaystyle\frac{5}{2}),(-25,-\displaystyle\frac{1}{5})・・・\)
など、山ほどあります。
\(x,y\)を整数とする。
\(xy=5\) を満たす\(x,y\)を求めよ。
\((x,y)=\)\((1,5),(5,1),(-1,-5),(-5,-1)\)
と限定されます。
(積の形)=0
とならなくても、
(積の形)=整数
次の等式を満たす整数\(x,y\)の値を求めよ。
(1)\(xy-x-2y+4=0\)
(2)\(2xy-x-2y-1=0\)
(3)\(\displaystyle\frac{2}{x}+\displaystyle\frac{3}{y}=1\)
(1)
\(x,y\)の係数に着目して、\(□=-2\), \(△=-1\) となります。
あとは、余分な□×△の値を、除いて調整します。
\((x-2)(y-1)=-2\)
\((x,y)=(1,3),(4,0),(3,-1),(0,2)\)
\((x-1)(2y-1)=2\)
\((x-1,2y-1)=(1,2)\)\(,(2,1),(-1,-2),(-2,-1)\)
\((x,y)=(2,\displaystyle\frac{3}{2})\)\(,(3,1),(0,-\displaystyle\frac{1}{2}),(-1,0)\)
ただし\(x≠0,y≠0\) に注意してください。
\((x-2)(y-3)-6=0\)
\((x-2)(y-3)=6\)
こちらも大事になのでおさえておきましょう。
方針は、\(x=(y\)の式) (または \(y=(x\)の式) )と変形して分数の形にすることです。
(1)だけやってみますが、(2)(3)も全く同じように解けます。
((1)の別解)
\(x(y-1)=2y-4\)
\(y=1\) を代入すると、等式が成り立たないので、\(y≠1\)
よって
\(x=\displaystyle\frac{2y-4}{y-1}\)・・・①
分子の次数を下げるために、帯分数の形にします。(または分子を分母で割る(整式の除法 数Ⅱ))
このように分母の次数よりも分子の次数が大きい または 同じである場合は、分子の次数を下げることが有効なことが多いです。
\(x=\displaystyle\frac{2(y-1)-(-2)-4}{y-1}\)
\(x=\displaystyle\frac{2(y-1)-2}{y-1}\) より
\(x=2-\displaystyle\frac{2}{y-1}\)・・・②
\(x\)は整数なので、\(\displaystyle\frac{2}{y-1}\) も整数。
\(y-1\) は整数だから \(\displaystyle\frac{2}{y-1}\) が整数となるには
\(y-1=±1,±2\)
よって、\(y=2,0,3,-1\)
このとき②より
\(x=0,4,1,3\)
よって
\((x,y)=(0,2),(4,0),(1,3),(3,-1)\)
(例題2)
\(x,y\)を整数とするとき
(1)\(x^2-6xy+8y^2+3=0\) を満たす\(x,y\)の値を求めよ。
(2)\(4x^2-8xy-16x+3y^2+22y-5=0\) を満たす\(x,y\)の値を求めよ。
(解答)
(1)
\(x-4y,x-2y\) は整数なので
\((x-4y,x-2y)=(-1,3)\)\(,(-3,1),(1,-3),(3,-1)\)・・・①
ここで、\(x-4y=a\), \(x-2y=b\) として\(x,y\)について解くと
\(x=2b-a\),\(y=\displaystyle\frac{b-a}{2}\)
よって、\(a,b\)が①の場合を考えると
\((x,y)=(7,2),(5,2),(-7,-2),(-5,-2)\)
(2)
\(4x^2-8xy+3y^2=(2x-y)(2x-3y)\)
と因数分解できます。与式には\(x,y\)の項もあるので
\((2x-y+a)(2x-3y+b)\) と因数分解できるとして、この式を展開して、与式と比べます。(数Ⅱ 恒等式の考え方)
\((2x-y+a)(2x-3y+b)\)
\(=4x^2-8xy+3y^2\)\(+(2a+2b)x+(-3a-b)y+ab\) より
\(2a+2b=-16\), \(-3a-b=22\) を解くと
\(a=-7\), \(b=-1\) より
\((2x-y-7)(2x-3y-1)\)
\(=4x^2-8xy+3y^2\)\(-16x+22y+7\)
よって
\(4x^2-8xy+3y^2\)\(-16x+22y+7-7-5=0\) より
\((2x-y-7)(2x-3y-1)=12\)・・・②
工夫には、左辺の2つの数の偶奇の着目や、大小関係の着目などがあります。
ひとまず、この両方を調べるために、\(2x-y-7\)と\(2x-3y-1\)の差をとります。差が偶数なら偶奇は一致して、奇数なら偶奇は一致していないことにります。
ここで
\((2x-y-7)-(2x-3y-1)\)
\(=2y-6=2(y-3)\)・・・③
よって、\(2x-y-7\)と\(2x-3y-1\)の偶奇は一致し、②の右辺が偶数だから、
\(2x-y-7\)と\(2x-3y-1\)はともに偶数となる。
ゆえに
\((2x-y-7,2x-3y-1)=(6,2),(2,6),(-6,-2),(-2,-6)\)
③より差が \(2y-6\) なので
それぞれ、\(2y-6=4,-4,-4,4\) となり
\(y=5,1,1,5\)
このとき、\(2x-y-7=p\) とすると
\(x=\displaystyle\frac{y+7+p}{2}\) なので
それぞれ、\(x=9,5,1,5\) となる。
したがって
\((x,y)=(9,5),(5,1),(1,1),(5,5)\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。