関数(原始関数)の決定

積分を利用した関数の決定問題について見ていきます。

 

(例題1)
曲線 \(y=f(x)\) が点 \((1,0)\) を通り、更に 点\((x,f(x))\) における接線の傾きが \(x^2-1\) であるとき、\(f(x)\)を求めよ。

 

 

 

\(f'(x)=x^2-1\) より積分をすると \(f(x)\)が積分定数\(C\)込みで求まります。\(C\)の値は\((1,0)\)を通ることから求まります。

(解答)
\(f'(x)=x^2-1\) より

\(f(x)=\displaystyle\int(x^2-1)dx=\displaystyle\frac{1}{3}x^3-x+C\)
(\(C\)は定数)

\(y=f(x)\) が \((1,0)\) を通るから
\(0=\displaystyle\frac{1}{3}-1+C\)
よって \(C=\displaystyle\frac{2}{3}\)

したがって
\(f(x)=\displaystyle\frac{1}{3}x^3-x+\displaystyle\frac{2}{3}\)

 

 

 

(例題2)
\(x\)の整式で表された関数 \(f(x)\), \(g(x)\)について

\(\displaystyle\frac{d}{dx}\{f(x)+g(x)\}=2x+1\)
\(\displaystyle\frac{d}{dx}\{f(x)g(x)\}=3x^2-2x+2\)
\(f(0)=2\),  \(g(0)=-1\)

という関係がある。\(f(x)\) と \(g(x)\) を求めよ。

 

 

 

まずは積分して、\(f(x)+g(x)\) と \(f(x)g(x)\)を求めます。

(解答)
\(f(x)+g(x)=\displaystyle\int(2x+1)dx=x^2+x+C_1\)
\(f(x)g(x)=\displaystyle\int(3x^2-2x+2)dx=x^3-x^2+2x+C_2\)

\(f(0)=2\),  \(g(0)=-1\) より

\(f(0)+g(0)=2-1=C_1\)
\(f(0)g(0)=2\cdot(-1)=C_2\)

よって
\(C_1=1\), \(C_2=-2\) だから

\(f(x)+g(x)=x^2+x+1\)・・・①
\(f(x)g(x)=x^3-x^2+2x-2\)・・・②

\(f(x),g(x)\)は整式であることに注意して、
②に着目すると積が3次式になっているので、(2次式)×(1次式) or (3次式)×(定数) のどちらかになりますが、①より (3次式)×(定数) のほうは不適です。

②より \(f(x),g(x)\)が 3次式,1次式の組合せだと、①を満たさないので不適。

また②より
\(f(x)g(x)=(x-1)(x^2+2)\)

\((x^2+2)\) はこれ以上因数分解すると虚数が出てきて、これ以外の因数分解だと、\(f(0)=2\),  \(g(0)=-1\) (定数部分が実数) を満たさないので、\(f(x)\), \(g(x)\) は、\(x-1\) or \(x^2+2\) です。

したがって、\(f(0)=2\),  \(g(0)=-1\) より

\(f(x)=x^2+2\)
\(g(x)=x-1\)

これは①を満たす。

 

 

(例題3)
\(c\) を正の定数とする。\(0≦t≦c\) において関数 \(f(t)\), \(g(t)\) を次の式が成立するように定める (\(f'(t)\) などは\(t\)に関する微分を表す)。

\(f'(t)=-1\), \(f(0)=2\), \(g'(t)=f(t)\), \(g(0)=7\)

更に、\(c≦t\) において関数 \(h(t)\), \(k(t)\) を次の式が成立するように定める。

\(h'(t)=1\), \(h(c)=f(c)\), \(k'(t)=h(t)\), \(k(c)=g(c)\)

(1) 点 \((f(t),g(t))\) の軌跡を求めよ。
(2) 点 \((h(t),k(t))\) の軌跡が原点を通るとき、\(c\)を求めよ。

 

 

(解答)
(1)

色々条件式がありますが、1個づつ処理していきます。(1)については \(f(t),g(t)\) についてなので、前半部分の条件式を使います。

\(f'(t)=-1\) より
\(f(t)=\displaystyle\int(-1)dt=-t+C_1\)

\(f(0)=C_1=2\) だから
\(f(t)=-t+2\)・・・①

\(g'(t)=f(t)\) より
\(g(t)=\displaystyle\int(-t+2)dt=-\displaystyle\frac{1}{2}t^2+2t+C_2\)

\(g(0)=C_2=7\) だから
\(g(t)=-\displaystyle\frac{1}{2}t^2+2t+7\)・・・②

①②より \(t\)を消去すると軌跡が得られます(解答では \(X=f(t)\), \(Y=g(t)\) として分かりやすくしておきます)。ただし、\(0≦t≦c\) の条件があるので、定義域 (\(X\)の範囲)を忘れずに。

\(X=-t+2\)・・・③
\(Y=-\displaystyle\frac{1}{2}t^2+2t+7\)・・・④
とおくと

③より \(t=-X+2\) を④に代入して
\(Y=-\displaystyle\frac{1}{2}(-X+2)^2+2(-X+2)+7\)
整理すると
\(Y=-\displaystyle\frac{1}{2}X^2+9\)

また、\(0≦t≦c\) より
\(0≦-X+2≦c\)
つまり、\(2-c≦X≦2\)

以上から軌跡は
放物線 \(y=-\displaystyle\frac{1}{2}x^2+9\) (\(2-c≦x≦2\))

 

(2)

同様に条件式を処理して、\(h(t),k(t)\) を求めます。

\(h'(t)=1\) より
\(h(t)=\displaystyle\int(1)dt=t+C_3\)

①より \(h(c)=f(c)=-c+2\) だから
\(-c+2=c+C_3\)
よって \(C_3=2-2c\) となるから

\(h(t)=t+(2-2c)\)・・・⑤

\(k'(t)=h(t)\) より
\(k(t)=\displaystyle\int\{t+(2-2c)\}dt=\displaystyle\frac{1}{2}t^2+(2-2c)t+C_4\)

②より \(k(c)=g(c)=-\displaystyle\frac{1}{2}c^2+2c+7\) だから
\(-\displaystyle\frac{1}{2}c^2+2c+7=\displaystyle\frac{1}{2}c^2+(2-2c)c+C_4\)
よって
\(C_4=c^2+7\) となるから

\(k(t)=\displaystyle\frac{1}{2}t^2+(2-2c)t+c^2+7\)・・・⑥

あとは \((h(t),k(t))\) が原点(\(0,0)\)を通る条件から\(c\)を求めます。⑤より
\(0=t+(2-2c)\) だから \(t=2c-2\)・・・⑦ と、そのときの\(t\)の値が分かるので、これを⑥に代入します。ただし(1)でもやった通り、\(t\)の範囲が制限されているので、求めた\(c\)について⑦の\(t\)が、\(c≦t\) を満たしているか確認が必要です。

\((h(t),k(t))=(0,0)\) を満たす\(c\)を求めると

\(0=t+(2-2c)\) より
\(t=2c-2\)・・・⑦

⑦を⑥に代入すると
\(0=\displaystyle\frac{1}{2}(2c-2)^2-(2-2c)^2+c^2+7\)
整理して
\(c^2-4c-5=0\)
\((c+1)(c-5)=0\)
\(c=-1,5\)

ここで、\(t=2c-2≧c\) より
\(c≧2\)

したがって
\(c=5\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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