接線と面積③(面積・面積比まとめ)

曲線と接線で囲む図形の面積や面積比のまとめです。

 

・2次関数(2つの接線と囲む面積)

接線面積 まとめ1
放物線 \(y=f(x)=ax^2+bx+c\) (\(a≠0\)) 上の2点\(A,B\) (点\(A\)の\(x\)座標のほうが小さい) における接線と \(y=f(x)\) とで囲まれる図形の面積を\(S_1\)、直線\(AB\)と\(y=f(x)\)とで囲まれる図形の面積を\(S_2\)とする。\(A,B\)の\(x\)座標をそれぞれ\(α,β\) (\(α<β\)) とすると
\(S_1=\displaystyle\frac{|a|}{12}(β-α)^3\)
\(S_2=\displaystyle\frac{|a|}{6}(β-α)^3\)
\(S_1:S_2=1:2\)

(証明)
<流れは、「2接線を求める→2接線の交点\(C\)の\(x\)座標\(γ\)を求める→積分する」です>

\(f'(x)=2ax+b\)

点\(A\)における接線 \(y=l_A(x)\) は
\(y=(2aα+b)(x-α)+aα^2+bα+c\)
整理して
\(y=2aαx-aα^2+c\)・・・①

点\(B\)における接線 \(y=l_B(x)\) は
\(y=(2aβ+b)(x-β)+aβ^2+bβ+c\)
整理して
\(y=2aβx-aβ^2+c\)・・・②

①-②より
\(2a(α-β)x-a(α^2-β^2)=0\)
\(2a(α-β)x=a(α+β)(α-β)\)
よって2接線の交点の\(x\)座標\(γ\)は
\(x=γ=\displaystyle\frac{α+β}{2}\)

したがって
\(S_1=\displaystyle\int_α^γ|f(x)-l_A(x)|dx+\displaystyle\int_γ^β|f(x)-l_B(x)|dx\)
\(=\displaystyle\int_α^γ|a(x-α)^2|dx+\displaystyle\int_γ^β|a(x-β)^2|dx\) (接するので2乗の形になる)
\(=|a|\displaystyle\int_α^γ(x-α)^2dx+|a|\displaystyle\int_γ^β(x-β)^2dx\)
\(=|a|\left[\displaystyle\frac{(x-α)^3}{3}\right]_α^γ+|a|\left[\displaystyle\frac{(x-β)^3}{3}\right]_γ^β\)
\(=|a|\displaystyle\frac{(β-α)^3}{24}-|a|\displaystyle\frac{(α-β)^3}{24}\)
\(=|a|\displaystyle\frac{(β-α)^3}{24}+|a|\displaystyle\frac{(β-α)^3}{24}\)
\(=\displaystyle\frac{|a|}{12}(β-α)^3\)

また、直線\(AB\)の方程式を \(y=l_{AB}(x)\) とおくと
\(S_2=\displaystyle\int_α^β|l_{AB}(x)-f(x)|dx\)
\(=\displaystyle\int_α^β|-a(x-α)(x-β)|dx\)
\(=|-a|\displaystyle\int_α^β|(x-α)(x-β)|dx\) (\(α≦x≦β\) で絶対の中身は\(0\)以下)
\(=|a|\displaystyle\int_α^β-(x-α)(x-β)dx\)
\(=\displaystyle\frac{|a|}{6}(β-α)^3\)

以上より
\(S_1:S_2=\displaystyle\frac{1}{12}:\displaystyle\frac{1}{6}\)
\(=1:2\)

 

 

・2次関数(2つの2次関数と共通接線)

接線面積 まとめ2

2次の係数が同じである 放物線 \(y=f(x)=ax^2+bx+c\) と \(y=g(x)=ax^2+b’x+c’\)  (\(b≠b’\)) の共通接線を \(y=l(x)\) とする。接点を\(x\)座標の小さいほうから点\(A,B\)とし、それぞれの\(x\)座標を\(α,β\) (\(α<β\)) とする。2つの放物線と接線で囲まれる面積\(S\)は、
\(S=\displaystyle\frac{|a|}{12}(β-α)^3\)

(証明)
<流れは「2つの放物線の交点\(C\)の\(x\)座標\(γ\)を求める→積分する」です。>

2つの放物線の交点を\(C\)とし、その\(x\)座標を\(γ\)とする。
\(ax^2+bx+c=ax^2+b’x+c’\) より
\((b-b’)x=c’-c\)
\(x=γ=\displaystyle\frac{c’-c}{b-b’}\)・・・①

\(A\)における接線は、\(y’=2ax+b\) より
\(y=(2aα+b)(x-α)+aα^2+bα+c\)
整理して
\(y=(2aα+b)x-aα^2+c\)・・・②

\(B\)における接線は、\(y’=2ax+b’\) より
\(y=(2aβ+b’)(x-β)+aβ^2+b’β+c’\)
整理して
\(y=(2aβ+b’)x-aβ^2+c’\)・・・③

②③が一致するから
\(2aα+b=2aβ+b’\)・・・④
\(-aα^2+c=-aβ^2+c’\)・・・⑤

④より
\(b-b’=2a(β-α)\)
⑤より
\(c’-c=a(β^2-α^2)\)

これらを①に代入して
\(γ\)\(=\displaystyle\frac{a(β^2-α^2)}{2a(β-α)}\)\(=\displaystyle\frac{α+β}{2}\)

したがって面積\(S\)は
\(S=\displaystyle\int_α^γ|f(x)-l(x)|dx+\displaystyle\int_γ^β|g(x)-l(x)|dx\)
\(=\displaystyle\int_α^γ|a(x-α)^2|dx+\displaystyle\int_γ^β|a(x-β)^2|dx\)
\(=|a|\displaystyle\int_α^γ(x-α)^2dx+|a|\displaystyle\int_γ^β(x-β)^2dx\)
\(=|a|\left[\displaystyle\frac{(x-α)^3}{3}\right]_α^γ+|a|\left[\displaystyle\frac{(x-β)^3}{3}\right]_γ^β\)
\(=|a|\displaystyle\frac{(β-α)^3}{24}-|a|\displaystyle\frac{(α-β)^3}{24}\)
\(=|a|\displaystyle\frac{(β-α)^3}{24}+|a|\displaystyle\frac{(β-α)^3}{24}\)
\(=\displaystyle\frac{|a|}{12}(β-α)^3\)

 

 

・3次関数

接線面積 まとめ3

3次関数 \(y=f(x)=ax^3+bx^2+cx+d\) 上の点\(A\)における接線 \(y=l_A(x)\) と \(y=f(x)\) の交点を\(B\)、点\(B\)における接線 \(y=l_B(x)\) と \(y=f(x)\) の交点を\(C\) とする。点\(A,B,C\)が互いに異なるとき、\(y=l_A(x)\) と \(y=f(x)\) で囲まれる図形の面積を\(S_1\), \(y=l_B(x)\) と \(y=f(x)\) で囲まれる図形の面積を\(S_2\)とし、点\(A,B\)の\(x\)座標をそれぞれ\(α,β\) とすると
\(S_1=\displaystyle\frac{|a|}{12}(β-α)^4\)
\(S_2=\displaystyle\frac{|a|}{12}\cdot16(β-α)^4\)
\(S_1:S_2=1:16\)

(証明)
<流れは「接点\(C\)の\(x\)座標\(γ\)を求める→積分する」です>

3次関数の形状や接点の位置によって、\(α,β\)の大小が変わります。場合分けしてもよいですが、3次関数と接線の方程式の差の符号が積分する範囲で変わらないことから、積分全体に絶対値をつけてまとめて処理していきます(積分結果が負の値で出てきたら絶対値をとるだけで面積の値になるので)。 なお、前述の2次関数においても同じように処理できます。

\(f'(x)=3ax^2+2bx+c\) より

点\(A\)における接線の方程式は
\(y=(3aα^2+2bα+c)(x-α)+aα^3+bα^2+cα+d\)
整理して
\(y=(3aα^2+2bα+c)x-2aα^3-bα^2+d\)

\(y=f(x)\) と連立して
\(ax^3+bx^2+cx+d=(3aα^2+2bα+c)x-2aα^3-bα^2+d\)
整理して
\(ax^3+bx^2-(3aα^2+2bα)x+2aα^3+bα^2=0\)

(\(x=α\) が重解になることに着目して)

\(a(x-α)^2(x+2α+\displaystyle\frac{b}{a})=0\)

よって点\(B\)の\(x\)座標\(β\)は、\(α\)を用いて

\(β=-(2α+\displaystyle\frac{b}{a})\)・・・①

と表せる。

同様に考えると点\(C\)の\(x\)座標は\(γ\)は、①で \(α→β\) にすればよいので
\(γ=-(2β+\displaystyle\frac{b}{a})\)・・・②

面積\(S_1\)は
\(S_1=\left|\displaystyle\int_{α}^{β}\{l_A(x)-f(x)\}dx\right|\)
\(=\left|\displaystyle\int_{α}^{β}-a(x-α)^2(x-β)dx\right|\)
\(=|a|\left|\displaystyle\int_{α}^{β}-(x-α)^2\{(x-α)+α-β\}dx\right|\)
\(=|a|\left|-\displaystyle\int_{α}^{β}(x-α)^3dx+(β-α)\displaystyle\int_{α}^{β}(x-α)^2dx\right|\)
\(=|a|\left|-\left[\displaystyle\frac{(x-α)^4}{4}\right]_α^β+(β-α)\left[\displaystyle\frac{(x-α)^3}{3}\right]_α^β\right|\)
\(=|a|\left|\displaystyle\frac{(β-α)^4}{12}\right|\)
\(=\displaystyle\frac{|a|}{12}(β-α)^4\)

面積\(S_2\)については、上端と下端を入れ替えても、被積分関数の差を入れ替えても符号が変わるだけなので、\(S_1\)において 「\(α→β\), \(β→γ\) 」とすればよく

\(S_2=\displaystyle\frac{|a|}{12}(γ-β)^4\)

ここで①②より
\(γ-β=2(α-β)\) だから

\(S_2=\displaystyle\frac{|a|}{12}\cdot2^4(α-β)^4\)
\(=\displaystyle\frac{|a|}{12}\cdot16(β-α)^4\)

したがって
\(S_1:S_2=1:16\)

 

 

・4次関数(二重接線)

接線面積 まとめ4

4次関数 \(y=f(x)=ax^4+bx^3+cx^2+dx+e\) と異なる2点\(A,B\)で接する接線を \(y=l(x)\)とする。\(y=f(x)\) と 接線 \(y=l(x)\) で囲まれる図形の面積\(S\)は、\(A,B\)の\(x\)座標を\(α,β\) (\(α<β\)) とすると
\(S=\displaystyle\frac{|a|}{30}(β-α)^5\)

面積\(S\)は
\(S=\displaystyle\int_{α}^{β}|f(x)-l(x)|dx\)
\(=\displaystyle\int_{α}^{β}|a(x-α)^2(x-β)^2|dx\)
\(=|a|\displaystyle\int_{α}^{β}(x-α)^2(x-β)^2dx\)
\(=|a|\displaystyle\int_{α}^{β}(x-α)^2\{(x-α)+α-β\}^2dx\)
\(=|a|\left\{\displaystyle\int_{α}^{β}(x-α)^4dx+(α-β)\displaystyle\int_{α}^{β}2(x-α)^3dx+(α-β)^2\displaystyle\int_{α}^{β}(x-α)^2dx\right\}\)
\(=|a|\left\{\left[\displaystyle\frac{(x-α)^5}{5}\right]_α^β-(β-α)\left[\displaystyle\frac{(x-α)^4}{2}\right]_α^β+(β-α)^2\left[\displaystyle\frac{(x-α)^3}{3}\right]_α^β\right\}\)
\(=|a|(β-α)^5(\displaystyle\frac{1}{5}-\displaystyle\frac{1}{2}+\displaystyle\frac{1}{3})\)
\(=\displaystyle\frac{|a|}{30}(β-α)^5\)

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
next→面積の最大・最小 back→接線と面積②

タイトルとURLをコピーしました