e^x、無理関数の置換積分

丸ごと置換する置換積分について見ていきます。

 

(例題1)
次の不定積分を求めよ。
(1)\(\displaystyle\int(x-1)\sqrt[3]{x+2}dx\)
(2)\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{x}{\sqrt{3x+2}}dx\)
(3)\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{1}{(1+\sqrt{x})\sqrt{x}}dx\)
(4)\(\displaystyle\int\sqrt{1+2\sqrt{x}}dx\)

 

無理関数の1次式を含む積分は、無理関数の部分を\(t\)と置換するとうまくいくことが多いです。なぜなら、例えば \(\sqrt{x+1}=t\) とすると、\(x=t^2-1\) と表すことができて、調整用の部分は \(dx=2tdt\) となり、無理関数が解消されて\(t\)の積分に変換できるからです。

(解答)
以下積分定数を\(C\)とする。

(1)
\(\displaystyle\int(x-1)\sqrt[3]{x+2}dx\)
について

\(\sqrt[3]{x+2}=t\) とおくと
\(x+2=t^3\)
\(x=t^3-2\)
よって
\(dx=3t^2\)

ゆえに
\(\displaystyle\int(x-1)\sqrt[3]{x+2}dx\)
\(=\displaystyle\int(t^3-3)\cdot t\cdot3t^2dt\)
\(=\displaystyle\int(3t^6-9t^3)dt\)
\(=\displaystyle\frac{3}{7}t^7-\displaystyle\frac{9}{4}t^4+C\)

\(=\displaystyle\frac{3}{28}t^4(4t^3-21)+C\)
(もとの\(x\)に戻して)
\(=\displaystyle\frac{3}{28}(x+2)^{\frac{4}{3}}(4x-13)+C\)

(2)
\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{x}{\sqrt{3x+2}}dx\)
について

\(\sqrt{3x+2}=t\) とおくと
\(3x+2=t^2\)
\(x=\displaystyle\frac{1}{3}(t^2-2)\)
よって
\(dx=\displaystyle\frac{2}{3}tdt\)

ゆえに
\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{x}{\sqrt{3x+2}}dx\)

\(=\displaystyle\int\displaystyle\frac{1}{t}\cdot\displaystyle\frac{1}{3}(t^2-2)\cdot\displaystyle\frac{2}{3}tdt\)

\(=\displaystyle\int\displaystyle\frac{2}{9}(t^2-2)dt\)

\(=\displaystyle\frac{2}{9}(\displaystyle\frac{1}{3}t^3-2t)+C\)

\(=\displaystyle\frac{2}{27}t(t^2-6)+C\)

\(=\displaystyle\frac{2}{27}\sqrt{3x+2}(3x-4)+C\)

(3)
\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{1}{(1+\sqrt{x})\sqrt{x}}dx\)
について

\(\sqrt{x}=t\) とおくと
\(x=t^2\)
\(dx=2tdt\)

よって
\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{1}{(1+\sqrt{x})\sqrt{x}}dx\)
\(=\displaystyle\int\displaystyle\frac{1}{(1+t)t}\cdot2tdt\)

\(=\displaystyle\int\displaystyle\frac{2}{1+t}dt\)

\(=2\log|1+t|+C\)

\(=2\log(1+\sqrt{x})+C\)
(正なので絶対値を外した)

(4)

\(\sqrt{x}=t\) とおくと、再び外側のルートを置換する必要があって2度手間なので、最初から全体を\(t\)とおきます。

\(\displaystyle\int\sqrt{1+2\sqrt{x}}dx\)
について

\(\sqrt{1+2\sqrt{x}}=t\) とおくと
\(1+2\sqrt{x}=t^2\)
\(2\sqrt{x}=t^2-1\)
\(4x=(t^2-1)^2\)
\(4dx=2(t^2-1)\cdot2tdt\)
\(dx=t(t^2-1)dt\)

よって
\(\displaystyle\int\sqrt{1+2\sqrt{x}}dx\)
\(=\displaystyle\int t\cdot t(t^2-1)dt\)
\(=\displaystyle\int(t^4-t^2)dt\)

\(=\displaystyle\frac{t^5}{5}-\displaystyle\frac{t^3}{3}+C\)

\(=\displaystyle\frac{t^3}{15}(3t^2-5)+C\)

\(=\displaystyle\frac{2}{15}(1+2\sqrt{x})^{\frac{3}{2}}(3\sqrt{x}-1)+C\)

 

 

 

(例題2)
次の不定積分を求めよ。
(1)\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{e^x}{e^x+1}dx\)
(2)\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{e^{2x}}{e^{x}+1}dx\)

 

\(e^x\) を含む積分は、\(e^x=t\) と置き換えるとうまくいく場合が多いです。何故なら、\(e^xdx=dt\) となり、調整用の微分で\(e^x\)が再びでてくるので、これを\(t\)で置き換えることが可能で、\(t\)のみの式になるからです。

(解答)
(1)
\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{e^x}{e^x+1}dx\)
について
\(e^x=t\) とおくと
\(e^xdx=dt\)
よって
\(dx=\displaystyle\frac{1}{t}dt\)

ゆえに
\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{e^x}{e^x+1}dx\)

\(=\displaystyle\int\displaystyle\frac{t}{t+1}\cdot\displaystyle\frac{1}{t}dt\)

\(=\displaystyle\int\displaystyle\frac{1}{t+1}dt\)

\(=\log|t+1|+C\)

\(=\log(e^x+1)+C\)
(正なので絶対を外した)

(2)

同じく \(e^x=t\) とおきますが、分母を1項にするために \(e^x+1=t\) とおくとスムーズに計算できます。ただ最初なので \(e^x=t\) でやりたいと思います。

\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{e^{2x}}{e^{x}+1}dx\)

\(e^x=t\) とおくと
\(e^xdx=dt\)
よって
\(dx=\displaystyle\frac{1}{t}dt\)

ゆえに
\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{e^{2x}}{e^x+1}dx\)

\(=\displaystyle\int\displaystyle\frac{t^2}{t+1}\cdot\displaystyle\frac{1}{t}dt\)

\(=\displaystyle\int\displaystyle\frac{t}{t+1}dt\)

再び \(t+1=s\) と置換してもよいですが、(分子の次数)≧(分母の次数) なので、分子の次数を下げる方法を取りたいと思います。(割り算すればよい)

\(=\displaystyle\int\displaystyle\frac{t+1-1}{t+1}dt\)

\(=\displaystyle\int(1-\displaystyle\frac{1}{t+1})dt\)

\(=t-\log|t+1|+C\)

\(=e^x-\log(e^x+1)+C\)

 

※(1)(2)を
(1)\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{1}{e^x+1}\cdot e^xdx\)
(2)\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{e^{x}}{e^{x}+1}\cdot e^xdx\)

とみると、どちらも\(f×f’\)型になっています。これからも \(e^x=t\) と置換するとうまくいく理由が分かります。

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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