微分した式が掛けられている、\(f×f’\)型の積分について見ていきます。
・\(f×f’\)型の積分
以前学んだ、置換積分の等式
\(\displaystyle\int f(x)dx=\displaystyle\int f(g(t))g'(t)dt\) (\(x=g(t)\))
について、両辺を入れ換えて、\(x,t\)を入れ換えると次のような等式が成り立ちます。
\(\displaystyle\int f(g(x))g'(x)dx=\displaystyle\int f(t)dt \ (=F(t)+C)\) (\(t=g(x)\))
この置換積分の等式が意味することは、中身の関数\(g(x)\)の導関数\(g'(x)\)が掛けられているときは、外側の関数だけをそのまま積分すればよいということですが、これは実質的に合成関数の微分の逆の操作を行っていることになります。
例えば
\(\{(x^3+2)^3\}’=3(x^3+2)^2\cdot3x^2\)
より、右辺の不定積分の1つは左辺の微分する前の式になりますが、右辺の不定積分は
\(\displaystyle\int3(x^3+2)^2\cdot3x^2dx\)
であり、中身の関数 \(x^3+2\) の導関数 \(3x^2\) が掛けられているので
外側の関数 \(3t^2\) (2次式) の積分を積分するだけでよいことになります。
この置換積分の利点は、わざわざ置換する必要なく瞬時に積分が可能な場合があることや、置換するにしても置換の目安をつけることができる点にあります。
なおこのタイプの積分でよく問題で扱われている形は
\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{g'(x)}{g(x)}dx=\log|g(x)|+C\) (\(\log|分母|\)型)
(1つ目だけ丁寧にやると、\(g(x)=t\) の置換をして、\(g'(x)dx=dt\) より
\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{1}{t}dt=\log|t|+C=\log|g(x)|+C\))
\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{f(\log x)}{x}dx=F(\log x)+C\) (\(\log x\)の導関数\(\displaystyle\frac{1}{x}\)がくっついてる)
\(\displaystyle\int f(e^x)e^xdx=F(e^x)+C\)
\(\displaystyle\int f(\sin x)\cos x dx=F(\sin x)+C\)
\(\displaystyle\int f(\cos x)(-\sin x)dx=F(\cos x)+C\)
\(\displaystyle\int f(\tan x)\displaystyle\frac{1}{\cos^2x}dx=F(\tan x)+C\)
などです。
(例題)
次の不定積分を求めよ。
(1)\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{x+1}{x^2+2x+2}dx\)
(2)\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{e^{x}+e^{-x}}{e^x-e^{-x}}dx\)
(3)\(\displaystyle\int x\sqrt{1-x^2}dx\)
(4)\(\displaystyle\int xe^{x^2}dx\)
(5)\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{1}{x\log x}dx\)
(6)\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{x}{x^2+1}\log(x^2+1)dx\)
慣れないうちは、置き換えをしても構いません。
(解答)
以下積分定数を\(C\)とする。
(1)
\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{x+1}{x^2+2x+2}dx\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}\displaystyle\int\displaystyle\frac{2x+2}{x^2+2x+2}dx\)
(分母を微分すると分子だから、\(\log|分母|\))
\(=\displaystyle\frac{1}{2}\log(x^2+2x+2)+C\) (\((x+1)^2+1>0\) より絶対値は外れる)
(2)
\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{e^{x}+e^{-x}}{e^x-e^{-x}}dx\)
(分母を微分すると分子になるので)
\(=\log|e^x-e^{-x}|+C\)
(3)
\(\displaystyle\int x\sqrt{1-x^2}dx\)
(\(1-x^2\)を微分すると、\(-2x\) になることを意識して)
\(=-\displaystyle\frac{1}{2}\displaystyle\int \sqrt{1-x^2}(-2x)dx\)
(\(\sqrt{t}\) の積分をして)
\(=-\displaystyle\frac{1}{2}\cdot\displaystyle\frac{2}{3}(1-x^2)^{\frac{3}{2}}+C\)
\(=-\displaystyle\frac{1}{3}(1-x^2)^{\frac{3}{2}}+C\)
(4)
\(\displaystyle\int xe^{x^2}dx\)
(\(x^2\) を微分すると \(2x\) になるから)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}\displaystyle\int e^{x^2}\cdot2xdx\)
(\(e^t\) の積分をして)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}e^{x^2}+C\)
(5)
\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{1}{x\log x}dx\)
\(=\displaystyle\int\displaystyle\frac{1}{\log x}\cdot\displaystyle\frac{1}{x}dx\)
(\(\displaystyle\frac{1}{t}\) の積分をして)
\(=\log|\log x|+C\)
(6)
\(\displaystyle\int\displaystyle\frac{x}{x^2+1}\log(x^2+1)dx\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}\displaystyle\int\displaystyle\frac{2x}{x^2+1}\log(x^2+1)dx\)
(\(t\) (1次式) の積分をして)
\(=\displaystyle\frac{1}{4}\{\log(x^2+1)\}^2+C\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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