積分方程式②

引き続き積分方程式の例題です。

 

(例題1)
関数\(f(x)\)が任意の実数\(u\)に対して、次の関係を満たすものとする。
\(\displaystyle\int_{-u}^{0}t\left\{\displaystyle\frac{d}{dt}f(t+u)\right\}dt=-e^{-u}\cos u+uf(0)-u+a\)
このとき、\(f(x)\)と定数\(a\)を求めなさい。

 

まず左辺の不定積分の形が複雑なので、部分積分を利用して簡単にします。一応断っておくと、積分変数は\(t\)です。(\(u\)は積分に無関係な変数)
その前に、\(u=0\) を代入すれば\(a\)は簡単に求まるので求めておきます。

(解答)
\(\displaystyle\int_{-u}^{0}t\left\{\displaystyle\frac{d}{dt}f(t+u)\right\}dt=-e^{-u}\cos u+uf(0)-u+a\)・・・①

①に\(u=0\)を代入すると
\(0=-1+a\)
よって \(a=1\)

また①の左辺について部分積分法を利用すると
\(\displaystyle\int_{-u}^{0}t\left\{\displaystyle\frac{d}{dt}f(t+u)\right\}dt\)

\(=[tf(t+u)]_{-u}^{0}-\displaystyle\int_{-u}^{0}1\cdot f(t+u)dt\)

(\(t\)に代入することに注意)

\(=0\cdot f(u)-(-u)f(0)-\displaystyle\int_{-u}^{0}f(t+u)dt\)

\(=uf(0)-\displaystyle\int_{-u}^{0}f(t+u)dt\)

よって①は
\(-\displaystyle\int_{-u}^{0}f(t+u)dt=-e^{-u}\cos u-u+1\)・・・②

②の定積分の下端は変数なので、\(u\)で微分することを考えますが、被積分関数が \(f(t+u)\) で \(u\) が混ざってしまっているのでこのままでは微分ができません(\(u\)を分離しないといけない)。ここで、必要になってくるのが置換積分です。

②の左辺について
\(t+u=y\)  とおくと (積分では\(u\)は定数扱い)
\(t:-u \to 0\) のとき \(y:0 \to u\)
また、\(dt=dy\) だから②は

\(-\displaystyle\int_{0}^{u}f(y)dy=-e^{-u}\cos u-u+1\)
つまり
\(\displaystyle\int_{0}^{u}f(y)dy=e^{-u}\cos u+u-1\)・・・③

(これでようやく微分できます)
③の両辺を\(u\)で微分すると
\(f(u)=-e^{-u}\cos u+e^{-u}(-\sin u)+1\)
\(=-e^{-u}\cos u-e^{-u}\sin u+1\)

したがって
\(f(x)=-e^{-x}\cos x-e^{-x}\sin x+1\)

 

 

(例題2)
連続な関数 \(y=y(x)\) が
\(y(x)=\sin x-2\displaystyle\int_{0}^{x}y(t)\cos(x-t)dt\)
(\(-\infty<x<\infty\)) を満たすとする。

(1)\(y”\)を\(y,y’\)を用いて表せ。
(2)\(z(x)=e^{x}y(x)\) とおくとき、\(z”\) を求めよ。
(3)\(y\)を求めよ。

 

 

(解答)
(1)

定石通り\(x\)で微分することを考えますが、\(\cos(x-t)\) の部分に\(x\)が混ざっているので、加法定理により\(x\)を分離します。(積分変数は\(t\)なので、積分に関しては\(x\)は定数扱い)

\(y(x)=\sin x-2\displaystyle\int_{0}^{x}y(t)\cos(x-t)dt\)
より

\(y(x)=\sin x-2\displaystyle\int_{0}^{x}y(t)(\cos x\cos t+\sin x\sin t)dt\)

よって
\(y(x)=\sin x-2\cos x\displaystyle\int_{0}^{x}y(t)\cos tdt-2\sin x\displaystyle\int_{0}^{x}y(t)\sin tdt\)・・・①

①の両辺を\(x\)で微分すると(2,3項目は積の微分)
\(y'(x)=\cos x-2(-\sin x)\displaystyle\int_{0}^{x}y(t)\cos tdt-2\cos x\cdot y(x)\cos x\)
\(-2\cos x\displaystyle\int_{0}^{x}y(t)\sin tdt-2\sin x\cdot y(x)\sin x\)

整理すると
\(y'(x)=\cos x+2\sin x\displaystyle\int_{0}^{x}y(t)\cos tdt-2\cos x\displaystyle\int_{0}^{x}y(t)\sin tdt\)
\(-2y(x)(\sin^2x+\cos^2x)\)

つまり
\(y'(x)=-2y(x)+\cos x+2\sin x\displaystyle\int_{0}^{x}y(t)\cos tdt-2\cos x\displaystyle\int_{0}^{x}y(t)\sin tdt\)・・・②

さらに②の両辺を\(x\)で微分して
\(y”(x)=-2y'(x)-\sin x+2\cos x\displaystyle\int_{0}^{x}y(t)\cos tdt+2\sin x\cdot y(x)\cos x\)
\(-2(-\sin x)\displaystyle\int_{0}^{x}y(t)\sin tdt-2\cos x\cdot y(x) \sin x\)

整理して
\(y”(x)=-2y'(x)-\sin x+2\cos x\displaystyle\int_{0}^{x}y(t)\cos tdt+2\sin x\displaystyle\int_{0}^{x}y(t)\sin tdt\)・・・③

③と①より
\(y”=-2y’-y\)

問題文で\(y”\)を計算するように誘導されていますが、これは三角関数を微分し続けるとループ性があることが由来です。(2回微分すると符号の違いはあれ元に戻る)

 

(2)

(1)で求めた\(y,y’,y”\)の方程式(微分方程式)を解けというのが(3)の趣旨です。しかし、微分方程式の解法は高校範囲外なので(2)で誘導がついています。
(ちなみにこの例題の形の微分方程式は、底を\(e\)とする指数関数が解の一部に現れるので、\(e^{x}y(x)\) という置換になっています)

\(z(x)=e^{x}y(x)\)
を\(x\)で微分すると

\(z'(x)=e^{x}y(x)+e^{x}y'(x)\)
\(=e^{x}\{y(x)+y'(x)\}\)

さらに\(x\)で微分して
\(z”(x)=e^{x}\{y(x)+y'(x)\}+e^{x}\{y'(x)+y”(x)\}\)

よって
\(z”(x)=e^{x}\{y(x)+2y'(x)+y”(x)\}\)

(1)より
\(y+2y’+y”=0\) だから
\(z”=0\)

(3)

(2)の結果 \(z”(x)=0\) を2回積分すると、\(z(x)\) を求めることができます。ただし積分定数があるので積分2回分の2つの積分定数を求める必要があります。2つの積分定数を求めるには積分方程式の\(x\)に適当な数値を代入 (\(x=0\) を代入) すればよいですが、1つはもともとの積分方程式で、もう1つは微分してできた積分方程式②から求めます。(微積分の必要十分性を意識すると使う式が見えやすい)
\(z(x)\)が求まればあとは、\(e^{x}\) で割るだけです。

\(z”(x)=0\) を積分して

\(z'(x)=C\) (\(C\)は定数)

さらに積分すると
\(z(x)=Cx+D\) (\(D\)は定数)

ここで①②に\(x=0\)を代入するとそれぞれ
\(y(0)=0\)・・・④
\(y'(0)=-2y(0)+1\)・・・⑤

④を⑤に代入して
\(y'(0)=1\)・・・⑥

\(C,D\)を求めるには、\(z(0),z'(0)\)が必要です。これらは(2)の途中式から求めます。

また(2)より
\(z(x)=e^{x}y(x)\)
\(z'(x)=e^{x}\{y(x)+y'(x)\}\)
だから④⑥より
\(z(0)=e^0y(0)=0\)
\(z'(0)=e^{0}\{y(0)+y'(0)\}=1\)

よって
\(C=z'(0)=1\)
\(D=z(0)=0\)

したがって
\(z(x)=x\)
となるから、\(z(x)=e^{x}y(x)\) より
\(y(x)=xe^{-x}\)

 

 

 

以上になります。お疲れ様でした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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