対数不等式

対数不等式の問題について見ていきます。

 

基本的には対数方程式を解く要領で解きますが、底が1より小さいと大小関係が入れ替わることには注意してください。

 

 

(例題1)次の不等式を解け。

(1)\(1+\log_{\frac{1}{2}}(x-3)>\log_{\frac{1}{4}}x\)

(2)\((\log_{2}x)^2-\log_{2}4x>0\)

 

 

(解答)
(1)

まず底と真数条件から調べて、底が揃っていない場合には揃えます。

\(1+\log_{\frac{1}{2}}(x-3)>\log_{\frac{1}{4}}x\)・・・①

真数条件から
\(x-3>0\) かつ \(x>0\)
よって \(x>3\)

①から
\(1+\log_{\frac{1}{2}}(x-3)>\displaystyle\frac{\log_{\frac{1}{2}}x}{2}\)

\(2+2\log_{\frac{1}{2}}(x-3)>\log_{\frac{1}{2}}x\)

底は\(\frac{1}{2}\) で統一されたので、あとは真数を比べるために左辺を1つにまとめます。定数のところは \(\log_{a}a=1\) を利用して\(\log\)に変換します。

\(\log_{\frac{1}{2}}(\displaystyle\frac{1}{2})^2+\log_{\frac{1}{2}}(x-3)^2>\log_{\frac{1}{2}}x\)

\(\log_{\frac{1}{2}}\displaystyle\frac{1}{4}(x-3)^2>\log_{\frac{1}{2}}x\)

底が1より小さいので

\(\displaystyle\frac{1}{4}(x-3)^2\color{red}{<}x\)
\(x^2-10x+9<0\)
\((x-1)(x-9)<0\)
\(1<x<9\)

\(x>3\) と合わせて
\(3<x<9\)

 

(2)
\((\log_{2}x)^2-\log_{2}4x>0\)・・・②

真数条件より
\(x>0\)

底は揃っているのでそのまま変形していきます。
\(\log_{2}4x=\log_{2}4+\log_{2}x\)
となるので、この不等式は \(\log_{2}x\) の2次不等式となっていることが分かります。
(\(\log_{2}x=t\) とおけば、\(t\)の2次不等式)

②より
\((\log_{2}x)^2-(\log_{2}4+\log_{2}x)>0\)
\((\log_{2}x)^2-\log_{2}x-2>0\)
\((\log_{2}x+1)(\log_{2}x-2)>0\)

よって
\(\log_{2}x<-1\), \(\log_{2}x>2\)
\(\log_{2}x<\log_{2}2^{-1}\), \(\log_{2}x>\log_{2}2^2\)

底は1より大きいので
\(x<\displaystyle\frac{1}{2}\),  \(x>4\)

\(x>0\) と合わせて
\(0<x<\displaystyle\frac{1}{2}\),  \(x>4\)

 

 

 

(例題2)
(1)\(\log_{2}x+\log_{16}x<\log_{x}2+\log_{x}16\) を解け。

(2)\(a\)は正の定数で、\(a≠1\) とする。\(x\)に関数する不等式
\(\log_{a}(2a^2-x^2)≧1+\log_{a}x\)
を解け。

 

 

例題1と同様に、底と真数の条件を調べて、底を統一します。もちろん底が1より小さいときには注意です。

 

(解答)
(1)
\(\log_{2}x+\log_{16}x<\log_{x}2+\log_{x}16\)・・・① において

底と真数の条件から
\(0<x<1\),  \(x>1\)

①より
\(\log_{2}x+\displaystyle\frac{\log_{2}x}{4}<\displaystyle\frac{1}{\log_{2}x}+\displaystyle\frac{4}{\log_{2}x}\)

整理して
\(\log_{2}x<\displaystyle\frac{4}{\log_{2}x}\)・・・②

このまま進めてもよいですが分かりやすくするために、\(\log_{2}x=t\) とおくと②は
\(t<\displaystyle\frac{4}{t}\) となります。
分母を払って整理したくなりますが、\(t\)は\(x\)の値によって正負どちらもとりうるために場合分けが必要になります。(負の場合には不等号が入れ替わる)

ここで、\(\log_{2}x=t\) とおくと②は
\(t<\displaystyle\frac{4}{t}\)・・・③

(ア)\(t>0\) (\(x>1\)) のとき

③は \(t^2<4\)
\(-2<t<2\)
\(t>0\) より
\(0<\log_{2}x<2\)
よって
\(1<x<4\)

(イ)\(t<0\) (\(0<x<1\)) のとき

③は
\(t^2>4\)
\(t<-2\),  \(t>2\)
\(t<0\) より
\(\log_{2}x<-2\)
よって
\(0<x<\displaystyle\frac{1}{4}\)

以上より
\(0<x<\displaystyle\frac{1}{4}\), \(1<x<4\)

 

(2)

底はそろっているので、あとは例題1(1)のように\(\log\)1つに(係数は1にする)まとめます。

\(0<a<1\), \(a>1\)
\(\log_{a}(2a^2-x^2)≧1+\log_{a}x\) において

真数条件から
\(2a^2-x^2>0\), \(x>0\)
\(-\sqrt{2}a<x<\sqrt{2}a\), \(x>0\)
よって
\(0<x<\sqrt{2}a\)・・・④

\(\log_{a}(2a^2-x^2)≧\log_{a}a+\log_{a}x\)
\(\log_{a}(2a^2-x^2)≧\log_{a}ax\)・・・⑤

⑤の真数を比べますが底が文字になっていて、\(a\)が\(1\)より小さいか大きいかで不等号の向きが変わるので場合分けします。

(ア)\(0<a<1\) のとき
⑤より
\(2a^2-x^2≦ax\)
\(x^2+ax-2a^2≧0\)
\((x+2a)(x-a)≧0\)
\(x≦-2a\), \(x≧a\)
④と合わせて
\(a≦x<\sqrt{2}a\)

(イ)\(a>1\) のとき
⑤より
\(2a^2-x^2≧ax\)
\(x^2+ax-2a^2≦0\)
\((x+2a)(x-a)≦0\)
\(-2a≦x≦a\)
④と合わせて
\(0<x≦a\)


\(0<a<1\) のとき \(a≦x<\sqrt{2}a\)
\(a>1\) のとき \(0<x≦a\)

 

 

 

以上になります。おつかれさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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