常用対数の値

 

・常用対数
底を\(10\)とする対数 \(\log_{10}M\) を常用対数といいます。

ところで、任意の正の数\(x\)は、
\(5310=5.31×10^3\),  \(0.021=2.1×10^{-2}\)
のように

\(x=a×10^{n}\)  (\(n\)は整数, \(1≦a<10\))

の形で表すことができるので、\(x\)の常用対数は次のようになります。

\(\log_{10}x=\log_{10}(a×10^{n})\)\(=n+\log_{10}a\)  (整数+小数部分)

なお、\(1≦a<10\) より、 \(0≦\log_{10}a<1\) となる。

したがって、\(1.00\)から\(9.99\)までの数\(a\)の常用対数の値をすべて網羅しておけば、あらゆる正の数についてその常用対数の値(近似値)が分かることになります。この網羅された値が載った表を常用対数表とよびます。

常用対数に関する問題では、問題文に常用対数の値が与えられていたり、常用対数表そのものが与えられたりすることが多いですが、特に、\(\log_{10}2=0.3010\), \(\log_{10}3=0.4771\) は覚えておくと役に立つと思います。(私は ログにいさん ログさんはしなない と覚えてます)

 

以上が常用対数に関する知識ですが、結局常用対数は何に使うかというと、「桁数 と 大きな位の数」を求めるときに使います。詳しくは次回以降扱いますが、例えば\(2^{50}\)のようなとても計算できないような数でも、\(\log_{10}2^{50}\) を計算することで、その桁数や最高位の数(精度を高めれば上から2桁目,3桁目・・・)を求めることができます。
常用対数をとれば、\(n+\log_{10}a\) と整数部分と小数部分に分けることができて、整数部分\(n\)が桁数、小数部分\(\log_{10}a\) が各位の数(最高位やその次の位のような大きな位の数)を決める要素となります。

 

では次回以降の準備として常用対数の値がいくつか与えられた場合の、他の常用対数の値を求める演習をしていきます。

 

(例題1)
\(\log_{10}2=0.3010\), \(\log_{10}3=0.4771\) とするとき次の値を求めよ。

(1)\(\log_{10}72\)
(2)\(\log_{10}\displaystyle\frac{6}{\sqrt[3]{12}}\)
(3)\(\log_{10}5\)

 

 

\(\log_{10}2\), \(\log_{10}3\) を組み合わせます。(3)では若干工夫が必要です。

(解答)
(1)
\(\log_{10}72\)
\(=\log_{10}(2^3\cdot3^2)\)
\(=3\log_{10}2+2\log_{10}3\)
\(=3×0.3010+2×0.4771\)
\(=1.8572\)

(2)
\(\log_{10}\displaystyle\frac{6}{\sqrt[3]{12}}\)
\(=\log_{10}(2\cdot3)-\log_{10}\sqrt[3]{2^2\cdot3}\)
\(=\log_{10}2+\log_{10}3-\displaystyle\frac{1}{3}(2\log_{10}2+\log_{10}3)\)
\(=\displaystyle\frac{1}{3}(\log_{10}2+2\log_{10}3)\)
\(=\displaystyle\frac{1}{3}(0.3010+2×0.4771)\)
\(=0.4184\)

(3)

\(\log_{10}10=1\) を利用すれば、\(10÷2=5\) より
\(\log_{10}5=\log_{10}\displaystyle\frac{10}{2}=1-\log_{10}2\) です。

\(\log_{10}5\)
\(=\log_{10}\displaystyle\frac{10}{2}\)
\(=1-\log_{10}2\)
\(=1-0.3010\)
\(=0.6990\)

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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