ある桁の数

最高位の数、(最高位の次の数)、小数首位の数、1の位の数 などの求め方について見ていきます。

 

・最高位(小数首位)の数の求め方
正の数\(x\) は

\(x=a×10^n\)  (\(n\)は整数  \(1≦a<10\))

と表され、常用対数をとると、\(0≦\log_{10}a<1\) だから

\(\log_{10}x=\log_{10}a+n\) ・・・①  (小数部分+整数部分)

となることは以前やりました。ここで改めて①式より \(x\) を表すと

\(x\)\(=10^{\log_{10}a+n}\)\(=10^{\log_{10}a}×10^n\) (\(10^{小数}×10^n\) の形)

となり、\(10^{\log_{10}a}\) (\(=a\)) が各位の数を決定していることが分かります。

 

実際に各位は、不等式で評価することにより決定します。

ここで、\(\log_{10}a\) が \(\log_{10}k\)で定まるある範囲に収まる、例えば

\(\log_{10}2<\log_{10}a<\log_{10}3\)

と不等式で評価できるとすると、

\(10^{\log_{10}2}<10^{\log_{10}a}<10^{\log_{10}3}\)

つまり

\(2<10^{\log_{10}a}<3\)・・・②

となるので、\(x\)の最高位の数は \(2\) であると決定できるわけです。

さらに、②式の精度を高めることで
\(2.3<10^{\log_{10}a}<2.4\) などとできれば
上から2桁目が \(3\) であると決定できます。

 

小数で、初めて現れる\(0\)でない数を求める場合も同じ議論になります。

 

 

・1の位の数の決定
対数を利用しません。(対数は大きい位の数の評価に使えるので)

\(\mathrm{mod}\) (剰余類) , 2項定理 ,規則性 などを考えます。

10の位、100の位 なども同様です。

 

仮に \(10\)桁の数の1の位の数を対数で求めるとすると、
\(10^{\log_{10}a}\) の値が上から10桁必要になるので現実的でないです(無理です)。

 

 

(例題1)
\(\log_{10}2=0.3010\), \(\log_{10}3=0.4771\) とする。

(1)\(12^{60}\) の最高位の数を求めよ。
(2)\(12^{60}\) の1の位の数を求めよ。
(3)\((0.15)^{70}\) を小数で表すと初めて現れる\(0\)でない数字を求めよ。

 

 

(解答)
(1)
\(\log_{10}12^{60}\)
\(=60\log_{10}12\)
\(=60(2\log_{10}2+\log_{10}3)\)
\(=64.746\)

よって
\(12^{60}=10^{64.746}=10^{0.746}×10^{64}\)

以下 \(10^{0.746}\) について評価していきます。
指数の \(0.746\) と \(\log_{10}k\) (\(k=1,2,3・・・)\) を比べていくと、
\(\log_{10}3=0.4771\) なので、もっと大きい数を考えて
\(\log_{10}4=2\log_{10}2=0.6020\)
\(\log_{10}5=1-\log_{10}2=0.6990\)
\(\log_{10}6=\log_{10}2+\log_{10}3=0.7781\)
したがって、\(\log_{10}5\) と \(\log_{10}6\) の間にあります。

\(\log_{10}5=1-\log_{10}2=0.6990\)
\(\log_{10}6=\log_{10}2+\log_{10}3=0.7781\)
より

\(\log_{10}5<0.746<\log_{10}6\)

\(5<10^{0.746}<6\)
\(5×10^{64}<10^{0.746}×10^{64}<6×10^{64}\)

したがって 最高位の数は \(5\)

 

(2)

積 \(a×b\) の1の位は、\(a\)と\(b\) それぞれの1の位どうしの積でしか生み出されないので、\(12^{60}\) の1の位は、\(2^{60}\) の1の位と同じです。あとは具体的に\(2^{1},2^{2},2^{3}・・・\) を計算して規則性を見つけます。

\(12^{n}\) の1の位は、\(2^{n}\) の1の位と同じだから \(n=1\)から順に

\(2,4,8,6,2,4,8・・・\)

と \(2,4,8,6\) の繰り返しとなる。

\(n=60=4×15\) だから、\(60\)番目は \(6\)

したがって、\(12^{60}\) の1の位は \(6\)

 

(3)

小数でも同じです。常用対数をとって不等式評価します。

\(\log_{10}(0.15)^{70}\)
\(=70\log_{10}0.15\)
\(=70\log_{10}\displaystyle\frac{3}{20}\)
\(=70(\log_{10}3-\log_{10}2-\log_{10}10)\)
\(=-57.673\)

よって
\((0.15)^{70}=10^{-57.673}=10^{0.327}×10^{-58}\) (小数部分は\(0\)以上にする)

\(\log_{10}2<0.327<\log_{10}3\) より

\(2<10^{0.327}<3\)
\(2×10^{-58}<10^{0.327}×10^{-58}<3×10^{-58}\)

したがって、初めて現れる\(0\)出ない数は \(2\)

 

 

(例題2)
\(\log_{10}2=0.3010\), \(\log_{10}3=0.4771\), \(\log_{10}7=0.8451\) とする。

(1)\(7^{70}\) の最高位の数字を求めよ。
(2)\(7^{70}\) の最高位の次の数字を求めよ。

 

 

(解答)
(1)
\(\log_{10}7^{70}\)
\(=70\log_{10}7\)
\(=59.157\)

よって
\(7^{70}=10^{59.175}=10^{0.157}×10^{59}\)

\(\log_{10}1<0.157<\log_{10}2\) より

\(1<10^{0.157}<2\)
\(1×10^{59}<10^{0.157}×10^{59}<2×10^{59}\)

したがって最高位の数字は \(1\)

 

(2)

(1)で最高位の数は\(1\)と分かったので、\(10^{0.157}\) は、1.〇 です。
先ほどは \(\log_{10}1\), \(\log_{10}2\) と比べて最高位の数を求めましたが、この〇を求めるには、\(\log_{10}1.1\), \(\log_{10}1.2\), \(\log_{10}1.3\)・・・ と比べて、さらに不等式の精度を上げることになります。
真数が小数のまま考えてもよいですが、計算しやすいように10倍した、\(\log_{10}11\), \(\log_{10}12\), \(\log_{10}13\)・・・(全て\(1\)より大きい数)を考えていきます。これに合わせて、
\(7^{70}=10^{0.157}×10^{59}\)\(=10^{1.157}×10^{58}\)
と、\(10^{0.157}\) も1つ10を借りてきて、10倍しておきます。なお \(10^{1.157}\) は、十の位が\(1\)の 「1〇.・・・」という数になります。
ちなみに与えられた常用対数から値が求まるのは
\(\log_{10}12\), \(\log_{10}14\), \(\log_{10}15\), \(\log_{10}16\), \(\log_{10}18\) くらいです。これらの値から判断していきます。

\(7^{70}=10^{0.157}×10^{59}\)\(=10^{1.157}×10^{58}\)

ここで、
\(\log_{10}14=\log_{10}2+\log_{10}7=1.1461\)
\(\log_{10}15=\log_{10}3+\log_{10}5\)
\(=\log_{10}3+1-\log_{10}2=1.1761\)
より

\(\log_{10}14<1.157<\log_{10}15\)

\(14<10^{1.157}<15\)
\(14×10^{58}<10^{1.157}×10^{58}<15×10^{58}\)

(\(1.4×10^{59}<10^{0.157}×10^{59}<1.5×10^{59}\))

したがって、最高位の次の数字は \(4\)

 

 

(例題3)
\(\log_{10}2=0.3010\),  \(\log_{10}3=0.4771\) とする。

\(2^{26}+3^{16}\) の桁数と最高位の数字を求めよ。

 

 

そのまま \(\log_{10}(2^{26}+3^{16})\) としても計算できないので、
\(2^{26}\), \(3^{16}\) それぞれの常用対数を計算します。

(解答)
\(\log_{10}2^{26}=26\log_{10}2=7.8260\)
\(\log_{10}3^{16}=16\log_{10}3=7.6336\)

\(2^{26}\), \(3^{16}\) はどちらも\(8\) 桁の数字です。
ざっくりと考えると、\(2^{26}\), \(3^{16}\) それぞれの最高位の数の和が繰り上がれば\(9\)桁になり、繰り上がらなければ\(8\)桁です。そしてその和が\(2^{26}+3^{16}\)の最高位の数に関わってきますが、もちろん最高位の次の位の和の繰り上がりもあり得るためにそれも考慮しないといけません。
よって、解答としては不等式評価してスッキリと示すことにします。

\(2^{26}=10^{0.8260}×10^{7}\)
\(3^{16}=10^{0.6336}×10^{7}\)
において

\(\log_{10}4=0.6020\)
\(\log_{10}5=0.6990\)
\(\log_{10}6=0.7781\)
\(\log_{10}8=0.9030\)
より

\(\log_{10}6<0.8260<\log_{10}8\)
\(\log_{10}4<0.6336<\log_{10}5\)

\(6<10^{0.8260}<8\)
\(4<10^{0.6336}<5\)

よって
\(6×10^{7}<2^{26}<8×10^{7}\)・・・①
\(4×10^{7}<3^{16}<5×10^{7}\)・・・②

①+②より
\(1×10^{8}<2^{26}+3^{16}<1.3×10^{8}\)

(左側の不等式から繰り上がりが起こっていることが分かる)

したがって、桁数は\(9\)最高位の数字は\(1\)

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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