等差数列の和

等差数列の和の公式について見ていきます。

 

・等差数列の和
19世紀の数学者ガウスが少年時代に、学校の先生から出題された次の問題を一瞬で解いてしまったという逸話があります。

問: \(1+2+3+\cdots+99+100\) を計算せよ。

彼はどのように計算したかというと、両側の数字を順に組み合わせて和をとると同じ数になることに着目して

\(1+2+3+\cdots+99+100\)
\(=(1+100)+(2+99)+\cdots+(50+51)\)
\(=101×50\)
\(=5050\)

と解いたそうです。

この考え方を応用して等差数列の和がどうなるかを考えてみます。
(この考え方をそのまま利用すると項数の偶奇で場合分けが必要なので、少し工夫します)

初項\(a\)、公差\(d\) である等差数列において、第\(n\)項の数を\(l\)として、初項から第\(n\)項までの和を\(S_n\)とおくと、

\(S_n=a+(a+d)+(a+2d)+\cdots+(l-d)+l\)・・・①

となり、加える順を逆にすると

\(S_n=l+(l-d)+(l-2d)+\cdots+(a+d)+a\)・・・②

①+②より
\(2S_n=(a+l)+(a+l)+(a+l)+\cdots+(a+l)+(a+l)\)・・・③

ここで、項数\(n\)についての和だから、③の右辺には \(a+l\) が\(n\)個あるので

\(2S_n=n(a+l)\)

したがって
\(S_n=\displaystyle\frac{1}{2}n(a+l)\)・・・④ (等差数列の和,初項・末項型)

目的の和の2倍分を考えてるので、最後に2で割る形になります。
この④を日本語で表すなら、(和)=1/2×(項数)×(初項+末項) となります。

また第\(n\)項の数\(l\)は

\(l=a+(n-1)d\)

と表されるので④に代入すると

\(S_n=\displaystyle\frac{1}{2}n\{2a+(n-1)d\}\)・・・⑤ (等差数列の和,一般項型)

とも表すことができます。

さらに、⑤を展開して\(n\)について整理すると
\(S_n=\displaystyle\frac{1}{2}dn^2+\displaystyle\frac{1}{2}(2a-d)n\)

となるので、\(d≠0\) (公差が\(0\)でない) のときは、\(S_n\)は\(n\)の2次式で表されることになります。\(d=0\) のときは、2次式になりませんが、このとき数列は公差が\(0\)であることから、すべての項が同じ数である数列(等差数列ではある)になっています。

 

 

 

 

(例題1)
初項が\(6\)、公差が\(d\)の等差数列がある。
(1)初項から第4項までの和と、初項から第12項までの和が等しいとき、\(d\)の値を求めよ。
(2) (1)において、第\(n\)項から第\((n+7)\)項までの和を\(T_n\)とするとき、\(|T_n|\)の最小値とそのときの\(n\)の値を求めよ。

 

 

(解答)
(1)

条件から等式を立てれば求まります。ただ、初項が\(6\)で正の値なので、\(d≧0\) だと項数が増えるにつれて和もどんどん増えていくので、\(d<0\)であることは分かります。

この等差数列の一般項は
\(a_n=6+(n-1)d\)

初項から第\(n\)項までの和を\(S_n\)とおくと
\(S_4=S_{12}\) より

\(\displaystyle\frac{1}{2}\cdot4\cdot(12+3d)=\displaystyle\frac{1}{2}\cdot12\cdot(12+11d)\)

よって
\(d=-\displaystyle\frac{4}{5}\)

 

(2)

まずは\(T_n\)を求めます。なお 第\(n\)項~第\((n+7)\)項までの項数は
\((n+7)-n+1=8\)
です。これは第1項から第5項までの項数が
\(5-1+1=5\)
と表されることと対応させてください。

\(a_n=6-\displaystyle\frac{4}{5}(n-1)=-\displaystyle\frac{4}{5}n+\displaystyle\frac{34}{5}\) より

\(a_{n+7}=-\displaystyle\frac{4}{5}(n+7)+\displaystyle\frac{34}{5}=-\displaystyle\frac{4}{5}n+\displaystyle\frac{6}{5}\)

よって項数が\(8\)であることから
\(T_n=\displaystyle\frac{1}{2}\cdot8\cdot\left\{(-\displaystyle\frac{4}{5}n+\displaystyle\frac{34}{5})+(-\displaystyle\frac{4}{5}n+\displaystyle\frac{6}{5})\right\}\)

\(=-\displaystyle\frac{32}{5}(n-5)\)

したがって
\(|T_n|=|-\displaystyle\frac{32}{5}(n-5)|\)
\(=\displaystyle\frac{32}{5}|n-5|\)

\(|T_n|\)の最小値は
\(n=5\) のとき \(0\)

 

\(T_n\)は1次式ですが、これは項数が\(8\)と少ないからです。

 

 

 

 

(例題2)
\(a,b\) は \(a<b\) を満たす正の整数とする。このとき、\(a\)以上\(b\)以下の整数の総和が\(500\)となる整数の組\((a,b)\)を全て求めよ。

 

 

公差\(1\)の等差数列の和になっています。項数は \(b-a+1\) です。
なお途中からは整数問題になります。

(解答)
数列
\(a,a+1,\cdots,b-1,b\)
は、項数 \(b-a+1\) (公差\(1\)) の等差数列なので、その和は
\(\displaystyle\frac{1}{2}(b-a+1)(a+b)\)

よって
\(\displaystyle\frac{1}{2}(b-a+1)(a+b)=500\)
\((b-a+1)(a+b)=1000\)
\((b-a+1)(a+b)=2^3\cdot5^3\)・・・①

素因数\(2,5\)の分配ですが、全てのパターンを考えるのは面倒なので絞っていきます。
まず正負については、\(a>b\) より \(b-a+1≧2\)、また \(a+b≧3\) 。
続いて\(b-a+1\), \(a+b\) の大小と偶奇ですがこれは差をとることで
\(a+b-(b-a+1)=2a-1\) (正の奇数) となるから、\(a+b\) のほうが大きくて、偶奇が異なることになります。偶奇が異なるので、素因数\(2\)は一方に全部振り分けられます。

ここで
\(a+b-(b-a+1)=2a-1\)
で、\(a≧1\) より \(2a-1\) は正の奇数となるから
\(a+b>b-a+1\) であり \(a+b,b-a+1\) の偶奇は異なる。

また、\(a<b\) より \(b-a+1≧2\)、\(a+b≧3\) となるから①より

(ア)
\(a+b=2^3\cdot5^2\)
\(b-a+1=5\)

(イ)
\(a+b=2^3\cdot5\)
\(b-a+1=5^2\)

(ウ)
\(a+b=5^3\)
\(b-a+1=2^3\)

それぞれ、\(a,b\)について解くと
\((a,b)=(98,102),(8,32),(59,66)\)

 

 

 

以上なります。お疲れ様でした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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