隣接しない項の漸化式

隣接しない項の漸化式について見ていきます。

 

(例題)
\(a_1=1\)
\(a_{2n}=2a_{2n-1}\),  \(a_{2n+1}=a_{2n}+2^{n-1}\) (\(n=1,2,3,\cdots\))
で定義される数列\(a_{n}\)について

(1)第\(2n\)項\(a_{2n}\)と第\((2n+1)\)項\(a_{2n+1}\)を求めよ。
(2)\(\displaystyle\sum_{k=1}^{2n}a_k\) を求めよ。

 

 

\(a_{2n}=2a_{2n-1}\) は隣どうしの項の漸化式になっていますが、\(2n\)の\(n\)を1つ下げたのは \(2(n-1)=2n-2\) なので1つずれた形になっていないのでこのままでは漸化式を解くことができません。よってもう1つの漸化式と組み合わせることでまず1つずれた形にすることを目指します。

(解答)
(1)
\(a_1=1\)

\(a_{2n}=2a_{2n-1}\)・・・①
\(a_{2n+1}=a_{2n}+2^{n-1}\)・・・②

①で\(n→n+1\) とすると
\(a_{2(n+1)}=2a_{2n+1}\)
これと②より
\(a_{2(n+1)}=2a_{2n}+2^{n}\)・・・③

1つずれた形にできました。\(n=1,2\)などを③に代入すると分かりますが、③から求まるのは、\(a_2,a_4,a_6,\cdots\) という偶数番目の項なので③は1つとばしの漸化式 (\(a_{2n}=b_n\)とおけば隣接した漸化式にはなる) になっています。奇数番目についても①②より同様に漸化式が得られますが、\(a_{2n}\)が分かれば②より\(a_{2n+1}\)も分かるので、漸化式からは\(a_{2n}\)のみを求めていきます。

\(a_{2n}=b_n\) とおくと③は

\(b_{n+1}=2b_n+2^{n}\)・・・④ (指数型)
また①より \(a_2=2a_1=2\) だから
\(b_1=a_2=2\)

④の両辺を\(2^{n}\)で割って
\(\displaystyle\frac{b_{n+1}}{2^{n}}=\displaystyle\frac{b_{n}}{2^{n-1}}+1\) (等差型)

よって
\(\displaystyle\frac{b_{n}}{2^{n-1}}=\displaystyle\frac{b_{1}}{2^{0}}+(n-1)\cdot1\)\(=n+1\)

したがって
\(b_n=(n+1)\cdot2^{n-1}\) だから
\(a_{2n}=(n+1)\cdot2^{n-1}\)

これと②より
\(a_{2n+1}\)\(=(n+1)\cdot2^{n-1}+2^{n-1}\)
\(=(n+2)\cdot2^{n-1}\)

\(a_{2n+1}\) は \(n=1\) スタートだと \(a_3\)スタートになりますが、
\(a_{2n+1}=(n+2)\cdot2^{n-1}\) に\(n=0\) を代入すると \(a_1=2\cdot2^{-1}=1\) となり \(n=0\) でも成り立つので、\(a_1\)スタートにできます。

 

(2)

\(2n\)項までの和です。(1)で求めた奇遇で場合分けされた一般項から
\(a_1+a_3+a_5+\cdots+a_{2n-1}\) と \(a_2+a_4+a_6+\cdots+a_{2n}\) で一旦分けて求めます。\(a_{2n+1}\)の一般項は \(n=0\) でも成り立つので、\(a_{2n-1}\) (\(n=1,2,3,\cdots\)) と\(n=1\)スタートにして統一しておきます。

\(a_{2n+1}=(n+2)\cdot2^{n-1}\) は\(n=0\) でも成り立つので
\(a_{2n-1}=(n+1)\cdot2^{n-2}\) (\(n=1,2,3,\cdots\))

\(\displaystyle\sum_{k=1}^{2n}a_k\)
\(=\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(a_{2k-1}+a_{2k})\)
\(=\displaystyle\sum_{k=1}^{n}\{(k+1)\cdot2^{k-2}+(k+1)\cdot2^{k-1}\}\)
\(=\displaystyle\sum_{k=1}^{n}\{(k+1)\cdot2^{k-2}+2(k+1)\cdot2^{k-2}\}\)
\(=3\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(k+1)\cdot2^{k-2}\) (等差×等比型の数列の和)

\(S=\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(k+1)\cdot2^{k-2}\) とおくと

\(S=2\cdot2^{-1}+3\cdot2^{0}+4\cdot2^{1}+\cdots+(n+1)2^{n-2}\)
\(2S=\hspace{26pt}+2\cdot2^{0}+3\cdot2^{1}+\cdots+n2^{n-2}+\ (n+1)2^{n-1}\)

\(S-2S\) より
\(-S=1+(2^{0}+2^{1}+2^{2}+\cdots+2^{n-2})-(n+1)2^{n-1}\)
(等比数列の部分は項数\(n-1\))
\(-S=1+\displaystyle\frac{2^{n-1}-1}{2-1}-(n+1)2^{n-1}\)
よって
\(S=n2^{n-1}\)

したがって
\(\displaystyle\sum_{k=1}^{2n}a_k=3S\)
\(=3n\cdot2^{n-1}\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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